改革を重ねた10年間 真に必要とされる病院へ
4月、医療法人亀岡病院の救急医療がスタート。サブアキュートの受け入れ強化が目的だ。就任以来10年間、大槻克一理事長が取り組んできた院内改革の「集大成」でもある。
―4月以降の体制について教えてください。
当院に通院中、あるいは当院の訪問診療を受けている患者さんの症状増悪時にきちんと対応したいという長年の思いから、24時間365日の診療体制を整えました。
これまでは診療時間外の血液検査などを外部に委託していたために、当院で救急患者さんを受け入れることができませんでした。「状態が悪化したときに診てもらいたい」という患者さんの声に応えるべく、体制の見直しに着手したのです。院内で検査体制を整備し、放射線技師は診療時間外もオンコールで対応。「信頼され真に地域で必要とされる病院」を目指します。
同じくこの4月に、入退院支援チームも立ち上げました。入院決定時に看護部や地域連携室が治療内容などを確認して退院までのオリエンテーションを実施。安心して在宅療養に移行できるよう支援します。
入院中はセラピストと一緒にリハビリに取り組むが、退院後、患者さんが一人でリハビリを継続するのは簡単ではなく、ADLが低下することがあります。当院ではケアマネも含む多職種で退院前カンファレンスを実施することで、ケアプランの早期決定を促しています。
―注力している点は。
大学で臨床、研究に携わったのち、ある縁で10年前に、理事長補佐・副院長に着任。初めて病院運営に関わりました。私が赴任したころの亀岡病院は、高齢者が多い慢性期中心の病院でした。
高齢化の進行とともに国は長期入院を抑制し、在宅医療への移行を推進。当院も長期にわたって入院患者さんを受け入れることが難しくなり、機能や役割を地域のニーズに合わせて変化させる必要がありました。
ちょうど老朽化に伴って建て替えの話が浮上。旅籠町から古世町へ移転し、2013年、新病院がオープン。軽度急性期、回復期、慢性期の医療ニーズに応えながら、法人が持つ入所系、通所系、訪問系の介護事業所と連携して切れ目のない医療・介護サービスを提供する体制を構築しました。
現在は強化型在宅療養支援病院として在宅医療に注力。高度急性期、急性期の基幹病院との役割分担や連携を重視し、地域包括ケアシステムの核となる地域密着型病院を目指します。
―現状は。
移転後に内科、整形外科、皮膚科、眼科に加え新たに神経内科、脳神経外科、泌尿器科を開設。医師の増員や機器の充実に注力してきた成果が実り、患者さんの数は増加傾向です。診察室を4診から7診に増やしたほか、透析センター増床、リハビリセンター拡張など、状況に合わせた柔軟な変化を心がけています。
3年前、地域の基幹病院から来ていただいた現看護部長は、指導や教育に熱心で皆のやる気を引き出しています。
以前なら学会などはやや敬遠気味だった職員たちも、今は積極的に出席して発表。自信ややりがいにつながっていると思います。結果、昨年11月、移転後に初めて受審した病院機能評価でも、当院の教育や研修システムについて高い評価をいただくことができました。
大切なのは、医療制度や病院を取り巻く環境が変化しても、法人が選択した同じ方向を組織全体でともに目指すこと。そのためにも意思決定の過程も含めて職員が理解できるよう、常にメッセージを発信し、意思疎通が図りやすい環境づくりを心掛けています。
3年前に始めた市民向けの公開健康講座もその一環。準備はなかなか大変ですが、みんなで一緒にやり遂げることで団結力が生まれています。
医療法人 亀岡病院
京都府亀岡市古世町3-21-1
TEL:0771-22-0341(代表)
http://www.kameokahp.com/