安らぎを感じさせ癒やしを与える病院に
国家公務員共済組合連合会が運営する病院は全国に33施設。東京共済病院は1930年開設の歴史ある病院だ。「地域に根ざし、患者さんの心が安らぐ、癒やしを与えられる病院を目指したい」という久保田俊郎院長の思いを聞いた。
―病院の特徴は。
緑豊かな中目黒公園や桜並木で知られる目黒川に隣接しており、東京都心にありながら四季を感じることができる素晴らしい療養環境の中にあります。
目黒は若い人たちに人気のエリアで交通アクセスも良好です。特に看護師の採用では多数の応募があります。
急性期医療を中心に、健診業務や介護老人保健施設の併設など地域の医療ニーズに応える幅広い機能を備えています。
区西南部2次医療圏には大学病院をはじめ大規模な急性期病院が多く、病院間の競争が厳しさを増しています。350床の当院のような中規模病院は、他院にはない強みをどう打ち出していくのかが重要なポイントだと考えています。
がん診療に力を入れており、東京都の乳がん、大腸がんのがん診療連携協力病院に指定。特に乳がんに関しては早くから患者サロンやヨガ教室を開催するなど、さまざまな患者サポートにも力を入れてきました。
地域医療支援病院の承認を受けていますので、地元目黒区医師会など開業医の先生方との病診連携や、在宅医療を支えるためのケアマネジャーなどとの連携も図っています。
―2年前に院長就任。力を入れたことは。
私が着任してまず手がけたのは新しい診療科の開設です。救急科、血液内科、心療内科、低侵襲外科、緩和ケア内科を開設しました。幅広い診療科をそろえることで患者さんの期待に応えたいと考えています。
診療科を開設することで新しい人材も加わりますので、組織としても活性化すると考えました。職員同士が切磋琢磨することは、医療レベルの向上にもつながるでしょう。
今年4月、目黒区で初めての緩和ケア病棟19床を開設しました。長年緩和ケア医療に携わってきた専任の医師など、2人体制で診療に当たっています。西館5階の療養病棟を改装し、4人部屋だった多床室を個室にしたり、内装を明るい雰囲気に変えたりしました。開設した4月に43%だった稼働率は、6月には約80%となりました。
周辺の病院の緩和ケアの室料を調べたところ、個室の場合、差額室料が1泊当たり約4万円であることが分かりました。
当院はその半分程度の料金設定です。長期入院の場合でも、利用しやすいよう心がけています。
―今後の課題についてどうとらえていますか。
より質の高い医療を目指したいと考えています。しっかりと競争力を高めていけるよう、積極的に新しいことにチャレンジしていきたいと思います。
いかに職員の意識を変化させていくかという点も私の大切な役割です。前職では大学教授を長く務め、組織におけるコミュニケーションを重視していました。それは病院運営にも通じるに違いありません。
これまで経営改善委員会を設置し、診療者責任者会議を開くなど組織の見直しを進めてきました。経営改善委員会には国家公務員共済組合連合会の本部の役員も参加しており、活発な議論を重ねています。
新たな仕組みを取り入れた際の、職員の理解力や対応力も上がっていると感じています。着実な意識の変化が表れ始めていますので、手応えを得ているところです。
地域の医師会や自治会の方々とも、より密接な関係を構築していきます。地域に代々住み続け、当院に親しみを抱いてくださっている方は多い。この病院を大切に守っていかなければならないという責任を感じています。
国家公務員共済組合連合会東京共済病院
東京都目黒区中目黒2-3-8
TEL:03-3712-3151(代表)
http://www.tkh.meguro.tokyo.jp/