病院全体が一つのチーム意識の徹底で躍進を
2001年、昭和大学8番目の附属病院として開院した昭和大学横浜市北部病院。設立前から携わり、診療科を越えた「総合医局」の運営などにも奮闘してきた門倉光隆病院長に、チーム医療について聞いた。
―これまでの歩みと病院の特徴について聞かせてください。
当時の都筑区には急性期病院がほとんどなかったことから横浜市の要請を受けて開院しました。開院当初は428床でしたが、2002年には全病床がフルオープンし、2012年には西棟に陣痛室・分娩室・回復室が一体となったLDRルームを備えた「マタニティハウス」を開設。現在は689床にまで増えました。
救急の受け入れはほぼ100%。国際消化器内視鏡センターがあり、海外からの視察や研修も多数訪れています。脳血管疾患に対する治療も強みの一つ。小児周産期医療、AIによる診断の研究にも力を入れています。
大学病院として一通りの診療科をそろえているだけでなく、消化器、呼吸器、循環器、こども、メンタルケア、救急の六つのセンターを有しているのも特徴です。さまざまな診療科が知識と技術を結集し、治療にあたっています。
地域の先生方とのカンファレンスを行うなど連携も強めています。
当院ならではのシステムとして、急性期の患者受け入れに対して地域の医療機関の先生方と担当診療科の医師が直接電話で連絡を取り合う「ドクター・ツー・ドクター」があります。患者さんの状態をヒアリングし、受け入れる体制を整えることができるので、迅速に治療を開始できるというメリットがあります。
―チーム医療を推進するための具体的な方法は。
大学病院には通常、診療科ごとの医局があります。しかし、当院は開院時にその枠をなくし、総合医局という大きな枠組みの医局にしました。
私は初代の総合医局運営委員長でした。最初は、抵抗もありましたね。開院したばかりのころは100人に満たない医師で420床を診ていたわけです。各診療科の医師は数人しかいない中で、どう当直体制を組むのか、というのが最初の課題でしたが、それによって垣根は低くなっていったと思います。
センター制もチーム医療を円滑にする仕組みです。センター長をトップとして、多診療科が連携。大学の講座の影響を受けつつも、スムーズに診療ができるよう人事調整がなされています。医師以外の看護師やメディカルスタッフも「連携」を念頭に置いて仕事をしています。
―今後の展望は。
これまでの方向性を変えることなく続けていくことでしょう。
まずはチーム医療の徹底。これに関しては、まだまだ進めないといけないと思っています。医師同士の連携もあるし、医師とスタッフもある。私がよく言うのは「病院全体が一つのチームですよ」と。どこかの診療科が大変な思いをしているとしたら、ほかの科や部署が手伝ってもいいじゃないですか。「みんなで頑張っていきましょう」「一人ひとりが北部病院の一員」と言い続けています。
病院内で働く人の労務管理もしっかりやっていきます。そのために、2017年7月、医師のシフト管理を導入しました。4週8休の中で勤務を考えてもらっています。
「先輩が残っているから」などの理由で、仕事をしているわけではないのに院内にいるようなことは止めましょう、と。今日は比較的、患者さんが少ないという日は早く帰って、ほかの忙しい日に、その分働いてくれればいいという考え方です。
ある時間帯をカバーする人を決めることで、余計な勤務時間が省かれるなど、一定の成果が出てきていると思います。
昭和大学横浜市北部病院
横浜市都筑区茅ケ崎中央35-1
TEL:045-949-7000(代表)
http://www.showa-u.ac.jp/SUHY/