自分らしい生活を多くの人が送れるように
80人を超えるセラピストが365日体制でリハビリテーションを実施。今年4月に就任した西川公一郎病院長は「より多くの患者さんにリハビリテーションの機会を届けたい」と語る。
―今春、病院長に就任されました。
これまで25年間勤務していた広島市立広島市民病院は急性期病院。「いかに早く退院していただくか」という命題と向き合い診療と手術を行う日々で、患者さんが退院した後のことをじっくりと考える機会は多くはありませんでした。
回復期を担う当院の入院患者は、すべて急性期または他の回復期病院からの紹介です。一日も早い自宅や社会への復帰を目指してリハビリを中心とした診療をしています。患者さんと向き合う気持ちが変わり、毎日がとても新鮮です。
―病院の強みは。
急性期病院や回復期病院を中心とする地域の医療機関と密に連携。特に同じ広島市立病院機構である広島市立広島市民病院、安佐市民病院、舟入市民病院とは毎月、話し合いの場を設けています。運営に関することも含めて、さまざまな情報をやり取りしています。
週に1度、私は広島市立広島市民病院の整形外科で診療と手術を担当しています。また、同院のリハビリテーション科の診療を当院の医師がバックアップすることもあります。
その際、当院への転院を予定している患者さんがいればベッドサイドへ行き、身体の状態や入院中の様子を確認します。
手術の後すぐに動いて良いのか、しばらく安静が必要なのか。事前に患者さんと接して、紹介状や電話だけでは分からない情報を細かく把握することができる。こうした動きも当院の特徴と言っていいでしょう。
―リハビリの体制や内容については。
当院の病床数は100床で、セラピストは80人を超えます。2014年から365日体制でリハビリを実施しています。今年1月に2回目の更新のために受審した病院機能評価では「若いセラピストが多く、病院全体に活気がある」という評価をいただきました。
限界を決めつけることなく「まだまだやれる」「もっと良くなるはず」という気持ちで患者さん一人ひとりと懸命に向き合う。そんな熱意にあふれたセラピストたちが数多く在籍しているのも、当院らしいところだと思います。
併設の「広島市立自立訓練施設」では病院でのリハビリを終えてもなお、自宅や職場に復帰するには不安が残る人に自立訓練(機能訓練・生活訓練)を提供しています。
利用者の中心は、当院を退院した高次脳機能障害のある方や、病気や事故で体に障害が残り身体障害者手帳の交付を受けた方です。通所のほか、50人まで入所が可能です。
「体力向上プログラム」や、パソコンの基本動作を学ぶなどの認知機能の改善を図る「学習力向上プログラム」、調理、家事などに必要な動作を訓練する「生活力向上プログラム」といった多様なプログラムを通して、一人ひとりに合った「自分らしい生活の実現」を目指します。
退院後、社会復帰を果たしたものの、不自由さを感じている人は少なくないと思うのです。福祉制度が複雑であることもその一因でしょう。分かりやすい広報に力を入れて、自立訓練施設をより多くの人に利用してもらいたいですね。
当院としても、パーキンソン病や神経難病など回復期病院の対象疾患でない人にも一定のリハビリテーションを提供できるよう、環境の整備を考えています。
職員には、目の前の患者さんと向き合うことで社会に貢献しているのだと意識し、自分の仕事に誇りを持って楽しく働いてほしいですね。回復期および生活期リハビリの活発な利用を図り、日本の将来のロールモデルを目指します。
地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立リハビリテーション病院
広島市安佐南区伴南1-39-1
TEL:082-848-8001(代表)
http://soriha-hiroshima.jp/