2021年 新病院開設へ 建築プロジェクト始動
新居浜病院は1975年に建設された。時代に即した医療の提供を目指し、今年2月、新病院の建設が決定。来年度の着工、2021年の開設を予定している。プロジェクトリーダーとして建設計画の指揮をとるのは、4月に着任した北條禎久新院長だ。
―地域での役割は。
愛媛県内には当院、今治病院、中央病院、南宇和病院の四つの県立病院があります。当院はおよそ22万人が暮らす新居浜・西条医療圏の中核病院です。
東予地域の3次救急と周産期医療に貢献すべく救命救急センターと地域周産期母子医療センターを有しています。分娩件数は年間300件を超え、また小児の2次救急を担っています。西条中央病院、四国中央病院とともに輪番制を敷くなど、連携を図っています。
当医療圏は30%を超える高齢化率。高まる地域のニーズに応えようと、当院では2016年、地域包括ケア病棟を開設。急性期後の患者さんを受け入れる体制も整えました。
―新病院の主な特徴を教えてください。
現病院の敷地内、北側100mほどの場所に6階建ての建物を建設します。現在の当院は外来と病棟のある本館、外来の一部がある別館、そして救命救急センターの三つの建物に分かれています。新病院ではこれらの機能を一つの建物に集約。患者さんと職員の利便性や効率性を高めます。
当院は1997年に災害拠点病院に指定され、DМAT指定医療機関でもあります。南海トラフ地震などの大規模災害に備えるためにも、新病院は免震構造を取り入れる計画です。屋上にはヘリポートを設置。有事には、既存のヘリポートと合わせて2カ所で運用する計画です。
現在、一部の外来はカーテンで仕切られた空間で診療しています。新病院ではすべて個室化し、患者さんのプライバシーに配慮した診療環境を整えます。
病棟は4階から6階までの3フロアです。中央部にスタッフステーションを配置することで、病室へのアクセス性を向上させます。これまでは診療科ごとに病棟を分けていましたが、新病院開院後は混合病棟として運用します。
多様な疾患の患者さんが同じ病棟に入院しますので、各科の連携がいっそう促進されるだろうと考えています。新しいシステムにスムーズに移行するためにも、しっかりと準備しておきたいと思っています。
―どんな病院づくりを目指しますか。
当院には47人の常勤医がおり、そのうち9人が女性です。近年の医学部の入学者を見ても女性の比率が高まっていますので、いかに「女性が働きやすい職場」に向けた取り組みを進められるかが、これからの病院運営の重要なポイントだととらえています。
これまでにも、妊娠・出産後の復帰を後押しするために、院内保育所の開設など、さまざまな支援を充実させてきました。
今回の新病院建設にあたり、職員の意見を募りました。「パウダールームを設けてはどうか」「男女別に当直室をつくっては」など、続々とアイデアが集まっています。多様な職員が働きやすい病院として付加価値を高めていきたいですね。
「良質な医療」を提供していくことが当院の使命です。医療の質を保つためには医師の確保が必要。大学医学部との連携についてはこれからも引き続き力を入れていきます。
救命救急センターは要の部門です。現在は2人の専任医師がいます。高齢化の進行に伴う脳神経疾患や心臓疾患などの患者さんの増加に対応していくために、センターのさらなる充実を探っていきます。
職員の教育、研修も重要なテーマです。特に医師の国内留学を推進したい。職員一人ひとりのスキルアップが、病院全体の力を引き上げるはずです。
愛媛県立新居浜病院
愛媛県新居浜市本郷3-1-1
TEL:0897-43-6161(代表)
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