産業医科大学医学部精神医学教室 吉村 玲児 教授

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増える医療者の精神疾患心の健康を保つためには?

【よしむら・れいじ】 1988 大分医科大学卒業 産業医科大学精神医学教室入局 2001 米ロチェスター大学メディカルセンター薬理学生理学部門Research Associate 2015 産業医科大学精神医学教室教授

 労働者の健康を管理する産業医。一定の基準に当てはまれば、医療機関も専属の産業医を選任しなければならない。長時間労働や患者からの要求水準の上昇で、医療現場での精神疾患者は年々増加。自院の産業医に相談する人も多いという。

 現状について、産業医科大学の吉村玲児教授に語ってもらった。

―医療機関にも、産業医がいるのですね。

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 もちろんです。勤労者の健康を守るのが産業医ですからね。

 常勤のスタッフが1000人以上の医療機関の場合、専属の産業医をつけなければなりません。産業医科大学にも、専属の産業医がいます。医療機関でも一般企業でも、従業員からの相談は約9割がうつ病や適応障害などメンタルの問題。産業医学の分野で、精神科医への期待が年々高まっています。

―医療機関に勤める医師や看護師がかかる精神疾患の現状を教えてください。

 多くの病院で重労働、長時間労働の問題があります。医師や看護師がうつ状態になったり頑張りすぎてバーンアウトしたり、不眠症になったりすることがあるのです。その数は年々増えていると実感しています。

 医療ミスに対する世間の目が厳しくなり、医療従事者に、これまでよりさらに高いスキルと知識が要求されるようになりました。以前は治療法を医師に一任する患者さんが多かったのですが、今は病状と状況を十分に説明するようになっています。治療を進めるにも患者さんや家族の納得が必要です。

 昔と比べると、新聞で医療過誤などの記事を目にすることも多くなりました。患者の命を預かる責任とミスを起こしてはならないという緊張感。これらの重圧に耐えきれず精神疾患をひきおこす医療関係者が多くいるのが現状です。

―防ぐにはどうすればよいのでしょうか。

 一次予防として一般的によく言われているのは、「適度な運動」「十分な睡眠」「健康的な食事」「人間関係の改善」「趣味の充実」などです。ただ、本や雑誌、ネット記事などで目にするこれらの予防策は、実際にどれだけ病気の発症を抑えるのか科学的根拠は実証されていません。

 他にも「仕事のオンオフにメリハリをつけなさい」「職場の風通しをよくしなさい」と聞きます。世間では「働き方改革」が注目されていますが、病院では具体的な対策はとれません。救急の患者さんだと、時間帯にかかわらずいつでも対応する必要がありますよね。医療の世界に反映させるのは難しいので、医師も「働きやすさ」については関心が低いんです。

 長時間労働によって、医療の質が落ちると事故にもつながります。まずは医療従事者が心の健康を維持することを意識するのが重要だと思います。

 考えられる具体的な対策としては、仕事と休日をしっかりと区切ることでしょう。患者さんとの信頼関係があるので難しい部分もありますが、休日も常時オンコール体制だと医師も疲へいしてしまいます。

 大学病院に勤める医師は、開業したり他の病院に移ったりと、入れ替わりが激しい。当科の患者さんは、あらかじめ理解してくれているので、トラブルになったことは今までにありません。

―精神科産業医が目指すゴールを教えてください。

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 人の顔が全員違うように、性格やバックグラウンド、遺伝など、患者さんにもさまざまな違いがあります。そう考えると、一人ひとり治療法が違うのは当たり前です。

 患者さんの性格、仕事内容、考え方などを総合的に分析し、患者さんの特徴に結びつく一次予防法の提案。これが今後の産業精神医学が目指す場所です。

 性格や職場環境により注目して、予防や治療を提供する産業医学を構築していきたいですね。

産業医科大学医学部精神医学教室
福岡県北九州市八幡西区医生ケ丘1-1
TEL:093-603-1611(代表)
http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/seisin/


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