社会と患者をつなぎ 信頼される医療を目指す
三原市西部地域を拠点に障害がある人の社会復帰や認知症治療に注力する医療法人仁康会。独自の取り組みと今後の方向性を、山岡信明小泉病院院長と谷本佳弘法人副本部長に聞いた。
―どのような取り組みを。
山岡信明・院長(以下、院長) 小泉病院は病床数392床の精神科専門病院です。1961年に精神科を開設して以降、訪問看護に力を入れてきました。
2017年には、訪問看護ステーション「こいずみ」を開設し、小泉病院による訪問看護と合わせて、最近は月800件を超える利用があります。島しょ部も訪れており、因島で月1回、瀬戸田で月2回の出張診療も行っています。
広島県精神科救急医療システムで、県東部を三原病院、福山友愛病院とともに担当しており、1カ月ごと年に4回の、輪番制で精神科救急に対応しています。当番月は24時間体制で患者を受け入れ、措置入院の要否を判断する措置診察にも積極的に協力しています。
谷本佳弘・法人本部副本部長(同、副本部長) 厚生労働省の目標「2020年までに精神科の病床を3万9000床減」に照準を定めて当法人が進めているプロジェクトが「NEXT仁康会」です。
精神科と歯科医療を小泉病院、一般診療をグループ病院の本郷中央病院が担い、連携して精神障害、合併症、嚥下(えんげ)指導に対応できる地域包括ケアの構築に向けて動いています。
仁康会は1990年から広島県でいち早く、精神障害がある方の就労支援や社会復帰に向けた支援を始めました。隣接する就労支援事業所「ワークハウスさくら草」の製パン所で製造したパンは、地域のレストランにも卸しています。農場では「さくら草」の利用者が季節の野菜を育てて法人内の病院で販売。いつもすぐに売り切れてしまうほど地域の方に人気です。
―今後は。
院長 当院は50床の認知症治療病棟を備え、週に1度「もの忘れ外来」を開設するなど、前院長の時代から認知症治療を推進してきました。県内でもトップクラスの質の高い認知症治療。そう評価していただけるよう努めます。
私たちが目指すのは、地域の人に「信頼され選ばれる病院」です。適正医療や医療安全の遵守はもちろんのこと、患者さんやその家族の思いをくみとり、「患者満足」の視点で自分たちの精神科医療を確立していきたいと思います。
副本部長 当法人が有する医療・介護・生活支援の各機能を高め、少子高齢化が進んでも、みなさんが安心してこの住み慣れた尾三地域で暮らし続けられるよう、体制を整備したいと考えています。
「平成30年7月豪雨」の影響で三原市の西部地域においても甚大な被害が発生しております。当法人の本郷中央病院も1階部分が浸水。7月12日現在、外来部門が機能していません。みなさんのご支援、ご協力をいただきながら、昼夜を問わず法人職員一丸となって復旧に努めています。
医療法人仁康会 小泉病院
広島県三原市小泉町4245
TEL:0848-66-3355(代表)
http://www.jinkokai.jp/koizumi/