特色ある五つの学科で次世代の"医療人"を育てる
熊本県にある九州中央リハビリテーション学院。ここでは作業療法や理学療法など五つの専門分野について学ぶことができる。高齢化によって高まるニーズに対応する各学科の特色を河野文夫学院長に聞いた。
―学院について教えてください。
「作業療法」「理学療法」「看護」「介護福祉」「国際介護」の五つの学科があります。
2010年に開校し、これまでに1500人を超える卒業生を輩出してきました。学校名に「リハビリテーション」と冠しているのでリハビリ系の専門学校だと思われがちなのですが、リハビリをはじめとして看護、介護の専門職を養成する医療福師の専門学校なのです。
「作業療法士学科」は4年制です。「就職先で即戦力となってほしい」という思いがあるため、1年生のときから現場実習をカリキュラムに取り入れています。
この学科は学生同士や、先生と学生の関係が強いのが特徴です。上級生が下級生を指導する授業があったり、先輩の実習に後輩が同行したりします。学生同士で教え合うことでリーダーシップを身に付け、知識をより深めることが狙いです。
「理学療法士学科」は県内で唯一、夜間部があることが最大のポイントです。今は昼・夜とも4年制ですが次年度からは夜間部のみ3年制に移行します。カリキュラムにはグループで一つの課題に取り組む演習を多く採用。自分たちが導いた答えを全員の前で発表することで、考えを他人に伝える練習をしています。
講師陣も充実していて、若手から教員歴25年のベテランまでが在籍。それぞれ積極的に学会で発表し、多数の論文を執筆するなど、高い実力や情熱を持って指導に当たっています。
理学療法士は運動機能を向上させるスペシャリストです。病院のみならず、スポーツや健康づくりの現場にも活躍の場があります。
4年制の看護大学が増えつつある中、当学院の「看護学科」は3年制です。その分授業料は安く、早く技術を習得できます。
看護学科で重要なものの一つが実習です。国の基準では約3000時間の授業のうち、3分の1は実習に充てることが決められています。実習先として県内の病院や施設と連携し、時代の流れに即した包括的で幅広い看護を学びます。そこで得られた経験値は看護師として働き始めたときに必ず役立ちます。
「介護福祉学科」は2年間で高齢者の生活支援のために必要な知識や技術はもちろん、在宅医療で必要となる「看取(みと)り」、地域包括ケアで重要なチームマネジメントやリスクマネジメントも習得できます。卒業生は介護の現場でリーダーとして働いています。
―国際介護学科を持つ学校は珍しいですね。
九州では当学院を含めて2校しかありません。現在、介護業界は深刻な人手不足で、国も規制を緩和して外国人の介護職を増やそうとしています。スムーズに介護の勉強に入ることができるよう、この学科でまずは日本語の基礎や介護保険制度、介護の仕事などについて丁寧に教え、次のステップである介護福祉学科へスムーズに進めるようにサポートしています。
―学生の就職先志望動向は。
どの学科の学生も地元志向が強いと感じます。看護師は県外に流出する割合が高いのですが、当学院は6、7割が熊本県内、そのうちの半分が実習先に就職して地元に貢献しています。また、「介護福祉学科」の学生は特別養護老人ホームを、そのほかの学生は医療法人を希望する傾向にあります。
介護福祉士の待遇は明らかに良くなってきました。熊本県内の基本給は17〜18万円にまで上がっています。介護の専門家としてのスキルが老人ホームや病院などで重要視されていることが一因です。学生にも、それぞれの現場で医療従事者同士が意見を言い合い、医療の質を高めることが大切だと教えています。
学校法人立志学園九州中央リハビリテーション学院
熊本市中央区本山3-3-84
TEL:096-322-2200
http://www.kcr.ac.jp/