四本柱で経営改革 新外来棟完成を起爆剤に
もともとは国立病院。2003年、経営移譲によって、社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷横浜病院となった。2015年就任の林泰広病院長は、四つの柱を掲げ、経営改革を進めている。
―大きな課題を抱える中での着任だったそうですね。
当院はかつて結核療養所だったこともあり、横浜市街から離れた小高い丘の上にあります。最寄りの駅から坂道を徒歩で10分余り。アクセスの悪さから、患者数の減少が続いていました。
赴任したのは、診療科の廃止が続いた直後。職員のモチベーションも下がっていた時期でした。将来構想として「救急診療体制の再構築と強化」「高齢者医療の充実」「将来を見据えた診療体制の再編」「地域連携部門の強化」の四つを掲げ、職員と目標を共有し、歩んできました。
―具体的な取り組みは。
私が最初に思ったのは、「ここの病院には、元気な人しか来ることができないのではないか」ということ。最寄りの駅から坂を上り、病院の敷地内では坂道を下らないと玄関にたどりつけない。「足腰が不自由でない人しか来ることができないな」と思いました。
では、どうすれば良いのか、と考えて、「救急車で運んできてもらい、患者さんを増やそう」という結論に至りました。それまでも救急を担っていましたが、3次救急を受ける病院ではない。ER型として機能できる体制をつくり、救急車で運ばれてきた患者さんをまず受け入れる役割に注力しようと考えました。結果、現在救急車の受け入れ台数は年間5000台以上、応需率は9割を超えました。
診療科の再編成にも取り組んでいます。今後は血管系の病気が増えると想定し、循環器内科、脳神経外科の二つを軸に人員の充実を図ってきました。
まずは循環器内科の医師を増員。徐々に増やし、今年の4月からは常勤医9人。循環器を専門とする当直医が毎日いるので、循環器系の救急搬送も受けられます。
脳神経外科は4人体制。脳卒中にもすぐに対応できるよう、オンコールなどの仕組みをつくりました。脳血管系疾患に対する救急対応という面でも、病床数300床という病院規模から考えると、かなり充実していると思います。
そのほか、地域の開業医の方が困っていることがないかヒアリングし、要望の多かったリウマチ・膠原病内科を開設。聖隷浜松病院の医師を招いて月2回のてんかん外来を始め、画像診断センターもつくりました。今年4月には乳腺センターも開設しました。
―特に力を入れたことは。
地域連携部門の強化です。「連携」という言葉が独り歩きして、実態が伴ってないことはないだろうか。患者さんやそのご家族とのやりとりが事務的になってはいないだろうか。そんな視点で、もう一度、自分たちの仕事を見直してほしいと職員たちに伝えました。
同時に病診・病病連携強化のためソーシャルワーカーを増員し、病床管理センターの設置などにも取り組みました。結果、私が赴任したばかりのころは200人ほどだった1日平均入院患者数が今は280人を超えるようになりました。
地下1階、地上4階建ての新外来棟の建設も進んでいます。2019年夏ごろには完成を予定しています。将来構想の実現をハード面からも推進できる建物になるでしょう。地域へのアピールや職員のモチベーションアップといった意味でも起爆剤になると期待しています。
社会福祉法人聖隷福祉事業団 聖隷横浜病院
横浜市保土ケ谷区岩井町215
TEL:045-715-3111(代表)
http://www.seirei.or.jp/yokohama/