宮崎大学医学部内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野 塩見 一剛 准教授

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愛情と熱意のPANの会  "神経内科の魅力を知って"

【しおみ・かずたか】 1986 宮崎医科大学(現:宮崎大学医学部)卒業 1994 同大学院医学博士取得 2002 米ノースウエスタン大学医学部神経内科研究室留学 2004 宮崎医科大学第三内科講師 2006 同助教授 2007 同准教授

 学生に教えるだけでなく教わる気持ちで日々を積み重ねる。目前の患者さんだけでなく世界を見て、知識や経験を生かす―。塩見一剛准教授は、地域と世界を見つめている。

―貴院の特徴は。

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 大学病院は、主に急性期や重度の患者さんを受け入れるのが通常です。

 しかし県内には、神経内科の専門医療機関が6施設のみで、登録されている専門医も34人にとどまっています。そのため当院では救急患者の受け入れも多く、急性期から慢性期まで神経内科に関するありとあらゆる患者さんを診ています。

 教育機関として、人材育成・確保も大きな役割です。診断学としての神経内科は、難しい印象を持たれがちです。医学部生などを対象としたOSCE(客観的臨床能力試験)の導入により、すべての医学生が神経内科の診察・診断を経験する仕組みができたものの、たった2日間ではその魅力を伝えきれません。そこで6年前、神経内科の魅力を学生などに伝える勉強会を始めました。

―勉強会とは。

 毎週金曜日の朝7時半から約30分間開催。その名も「PAN(パン)の会」です。「プリンシプル アカデミックニューロロジー(基礎神経学)」の略、としていますが、「早朝に参加するので朝食が食べたい」という学生や若手医師の声に応えて、パンを準備した勉強会でもあります。

 5年生や6年生の医学生が10人程度、初期研修医が5人程度、それに若手医師を含め、多い時で20人のメンバーで、毎週欠かさず開催しています。

 神経内科学分野への苦手意識払拭(ふっしょく)に向け、基本的な解剖学から副次的症状へ、基礎から応用まで学んでもらえる構成にしています。勉強会をスタートした当時、当医局神経内科グループの医師は4人にまで減少し、危機的な状況でした。現在は15人にまで増加しています。

 勉強会に出席している若手医局員が、勉強会後、参加した学生や初期研修医とパンを食べながら、さり気なくかつ果敢にスカウト。グループの人員の充実は、彼らが積極的に声をかけてくれたおかげだと、心から感謝しています。

 勉強会は朝が早く、実施当初はメンバーの負担にならないかと懸念しました。しかし、学生と若手医師、ベテラン医師の垣根を取り除くいい機会になっていると実感し、今後も続けていきたいと考えています。

―土呂久ヒ素公害の検診について聞かせてください。

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 宮崎県北部にある高千穂町の土呂久地区で、1971年、公害が明るみに出ました。住民の皮膚症状や末梢神経症状といった健康被害と、土呂久鉱山の関係性が提起されたのがこの頃だったそうです。

 1973年、宮崎県が住民への健康観察検診を開始。1977年、宮崎医科大学(現:宮崎大学医学部)の皮膚科が検診に参加。神経内科は、その翌年から参加したそうです。

 それ以降、居住歴や鉱山の勤務歴がある人を対象にした定期検診は毎年開催され、当大学の皮膚科、呼吸器科、耳鼻科、眼科とともに私たち神経内科からも毎年医師が参加しています。公害の認定患者は、その度に増え続け、昨年、200人を超えました。

 途切れなく40年続く診察活動の経験は、世界に残るヒ素汚染地でも活用。熊本大学医学部の医師と当医学部の医師を中心に、1994年に結成された「アジア砒素(ひそ)ネットワーク」を経由して、ヒ素公害があるバングラディシュやインドでも検診を実施しています。

 今年5月にも、ヒ素公害が残るミャンマーのエーヤワディー川流域地域へ当医局の医師を派遣し、住民検診を実施しました。地域にとどまらず世界で医療データを活用し、健康啓発することに、この活動の大きな意義を感じています。

宮崎大学医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野
宮崎市清武町木原5200
TEL:0985-85-1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u. ac.jp/home/3naika/


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