鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学教授 会長 夏越 祥次氏

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第73回日本消化器外科学会総会
春夏秋冬 心技の継承

【なつごえ・しょうじ】 1981 広島大学医学部卒業 鹿児島大学医学部第1外科入局 1996 ドイツ・ミュンヘン工科大学留学 1999 鹿児島大学医学部第1外科講師 2004 鹿児島大学医歯学総合研究科腫瘍制御学・消化器外科学准教授 2009 鹿児島大学医歯学総合研究科消化器・乳腺甲状腺外科学教授 2017 同病院病院長 同副学長

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外科医の一生を春夏秋冬で

 テーマは「春夏秋冬 心技の継承」としました。春は「青春」、夏は「朱夏」、秋は「白秋」、冬は「玄冬」と、人生を四季で例えることがあります。

 春は青春です。青には未熟という意味があり、仕事を覚えていく時期です。外科医でいうと、ちょうど入局した頃にあたります。夏は手術を始め、さらにスキルをつけていくシーズンです。秋になると完成に近づき、後輩に教える立場になる。冬は心を技も完成されて、「玄人」に。このように外科医として成長していく様を人生に例え、後輩に外科医としての心と技術を伝えていただきたいと考えています。

 特別企画では、食道、胃、大腸、肝臓、胆嚢・膵臓などの臓器別に、春夏秋冬それぞれの時代を代表する先生方に発表してもらいます。「春」だと、まだ入局して間もない先生にどんな外科医になりたいか、何を習得したいかを語ってもらう。「冬」だったら名誉教授や院長経験者など、その道で名を成してきた先生に、学んできた技術や、若い先生に伝えたいことなどをお話ししてもらいます。日本消化器外科学会の50周年を記念して、これまでの歩みを振り返りながら、さらに次の50年につなげるために、このようなプログラムを設定しました。

英知を集めて プログラム考案

 ほかにも、シンポジウムやワークショップ、パネルディスカッションを予定しています。

 日本消化器外科学会では三つを次のように定義しています。シンポジウムは熟練された先生が数人登壇して、ある程度完成された学説や手術手技を聴講者に教えるように発表するもの。ワークショップは、自分たちが今研究し、今後の進歩が期待される治療法や手術について発表するものです。パネルディスカッションでは、会場のみなさんの意見を聞きながら討論します。

 例えば、今回のパネルディスカッションでは、ある胃がんのケースを提示して、この手術は全摘するべきか、噴門側胃切除するべきか、語り合います。スマートフォンに対応させて、参加者には画面上で自分ならどう判断するのかを選び、ボタンを押してもらう。正解はないのですが、できるだけ結論が出るように集約します。

 このようなプログラムや題材、演題は教室員とアイデアを出し合って決めました。2~3カ月、みんなで考え続けてやっと決定したプログラムなのです。

概念変えた鏡視下手術

 この50年、「消化器外科医療」は次々と変化を遂げてきました。近年の外科の大きな進歩は、鏡視下手術のスタートです。2000年ごろから始まったこの方法は、「手術という概念自体を変えた」と言ってもいいでしょう。鏡視下手術が今後、ますます盛んになっていくのは間違いないと思います。

 ただし、鏡視下手術ではできないこともあります。限界を知り、適応していくことで、安全性を保つ必要があります。

 ロボット支援手術も、鏡視下手術の一環です。一番違う点は、ロボットの鉗子には「関節機能」があるということ。鏡視下手術で使う通常の鉗子は、まっすぐな長い棒の先にはさみなどがついているため、操作が難しく、熟練が必要です。一方、ロボットの鉗子の棒は関節部分で曲げることができるため、非常に操作しやすいのです。

 どのような手術は内視鏡で、どこからはロボットを使うのか。その検証は、今後されていくことになります。ロボットを活用した手術が将来どこまで伸びていくのかは未知数です。

 腸管と腸管を縫合するロボットはすでに登場し、動物実験が進められています。手術のすべての工程をロボットでする。そんな時代もいずれはやってくるかもしれません。

 鹿児島大学病院にも手術支援ロボット「ダビンチ」があります。泌尿器科や産婦人科ではすでにダビンチを使った手術で実績を残しています。われわれ外科も、今から実際の手術に使用していくことになります。

がんの集学的治療も進歩

 進行がんに対して、まず化学療法、放射線治療をして、その後、手術をするといった 「集学的治療」への関心が高まっています。件数も右肩上がりで増えています。新規抗がん剤、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場が大きいと言えます。

 かつてはがんが大きくなりすぎていて手術は不可能だとされていた症例も、抗がん剤や放射線などによる治療を受けることで、がんが縮小し、切除が可能になるケースが出ています。

 集学的治療自体は、以前から行われていました。しかし、従来は術後の補助療法が主流。「手術の後、体力が低下したところで化学療法などをするよりも手術前の元気な時にしたほうが良いのではないか」と、さまざまな比較試験が行われた結果、臓器や病期によって差があり一概には言えないものの、術前に化学療法などをしたほうが、成績が良い傾向にあります。

 手術の技術を磨く。手術だけで対応できないがんには、術前に抗がん剤治療などを実施する。相乗効果によって、結果がさらに良くなっていくと考えています。

学会50周年を、明治維新150年という節目に

 50周年という輝かしい年に、鹿児島で総会を開催できるのはとても幸運です。鹿児島は明治維新150年という節目です。鹿児島を舞台にした大河ドラマ「西郷どん」も始まり、今話題の県なので「行ってみよう」と足を運んでくださる方が増えるのではと期待しています。

 総会では薩摩の歴史をみなさんに紹介するコーナーを設けました。ゲストは薩摩藩主島津氏の別邸跡である仙巌園の館長と、鹿児島を代表する歴史的人物の末裔(まつえい)おふたりです。館長には司会をしていただき、西郷隆盛と島津斉彬のひ孫にあたる方にインタビューしていただきます。

 2日目の総会後にはウォーターフロントパークという芝生広場で懇親会を開催する予定です。黒豚、黒毛和牛、黒鶏など、"黒"の名産品を提供して、地元の焼酎をたくさん集めます。海の側で桜島を望みながら、鹿児島ならではの料理とお酒をぜひ楽しんでください。

 全国の外科医や研修医6000~7000人が鹿児島に集います。総会では夏の暑さに負けないほどの熱いトークが繰り広げられることでしょう。

第73回日本消化器外科学会総会

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会期

7月11日(水)~13日(金)

会場

城山ホテル鹿児島(旧:城山観光ホテル)かごしま県民交流センター

運営事務局

日本消化器外科学会事務局 学術運営室
TEL:03-5427-3200

学会HP

http://www.jsgs73.jp/


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