独立行政法人国立病院機構九州医療センター 頭頸部腫瘍センター 中島 寅彦 センター長

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増加する「頭頸部がん」に一貫してハイレベルな医療を

【なかしま・とらひこ】 1988 長崎大学医学部卒業 1988 九州大学医学部耳鼻咽喉科入局 1994 九州がんセンター 1998 米MDアンダーソンがんセンター 2012 九州大学医学研究院耳鼻咽喉科准教授 2016 国立病院機構九州医療センター耳鼻咽喉科科長 2017 同センター頭頸部腫瘍センター長

 2017年4月、「頭頸部腫瘍センター」を開設した独立行政法人国立病院機構九州医療センター。中島寅彦・頭頸部腫瘍センター長を筆頭に、チームで「根治」と「QOL維持」の両立に挑む。

―頭頸部がんの概要と治療について聞かせてください。

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 脳腫瘍と眼窩腫瘍を除き、顔面から頸部にかけて生じるがん。甲状腺がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、副鼻腔がんなどの総称です。すべてのがんの中で占める割合は5〜6%と低いながらも、高齢化の影響で、確実に増加傾向にあります。

 QOLが下がらないのであれば、手術で患部を切除したい。早期の場合は経口腔的咽喉頭がん切除術などを実施します。

 ただ、全体を見ると割合として多いのは進行がん。そこで手術、放射線治療、薬物療法の三つを組み合わせた集学的治療が標準治療となります。かつては手術と放射線治療が中心で、薬物治療は補助的位置付けでしたが、放射線と薬物療法を組み合わせる例も多くなりました。近年は、薬物療法が担う役割も大きくなっています。

 薬物療法に関しては、腫瘍内科が専門となります。腫瘍内科はとても多忙な科ですが、当院には5人の腫瘍内科医がおり、頭頸部がんの治療チームを作ることができました。それが1年前に開設した「頭頸部腫瘍センター」です。

―頭頸部腫瘍センターの特徴と役割を。

 科をまたいだメンバーが協力して治療にあたる体制が特徴で、チームの構成は私たち耳鼻咽喉科と腫瘍内科、放射線科、口腔外科、病理、形成外科...。看護師、薬剤師、言語聴覚士も加わります。

 新患の治療方針については「頭頸部がんカンファレンス」を実施しています。まずは耳鼻咽喉科、腫瘍内科、放射線科、口腔外科で治療方針を相談します。

 薬物療法については腫瘍内科が主導します。例えばここで「導入化学療法」を行うと決定した場合、治療は腫瘍内科が担当します。もともと耳鼻咽喉系は解剖が複雑で分かりづらい分野ですので、他診療科のドクターには勉強会や症例を通して勉強していただいています。

 術後ケアに関しては言語聴覚士が中心になって、発声や発音、食事の摂取に関するリハビリを担当。初期治療から術後ケアまで一貫してハイレベルな医療を提供できる体制ができたと思います。

―課題や展望を教えてください。

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 頭頸部腫瘍センターの存在が認知されるようになり、他県から治療を受けに来る患者さんもいます。悪性腫瘍の手術は年間100例超と増加の一方です。

 頭頸部がんは種類が多く治療の組み合わせが多様で、QOLにも深く関わることから、確固たるエビデンスが定まっていない部分もあります。さまざまな治療方法を検証し、エビデンスを発信していくこともわれわれの使命だと思います。当センターは臨床研究にも積極的に参加。現在複数の「再発転移頭頸部がん」に関する治験に取り組んでいます。

 また予防に関する啓発の必要性も感じています。頭頸部がんについて言えば禁煙・節酒に勝る予防法はありませんので、頭頸部がん以外で受診する患者さんに対しても、積極的に情報を発信しているところです。

 ただ「中咽頭がん」に関してはもう一つ違った側面があります。飲酒、喫煙以外の主原因である、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染です。

 日本ではまだHPVワクチン摂取による中咽頭がん予防のデータはありませんが、HPV陽性の中咽頭がんの患者増加の傾向を見るにつけ、国によるワクチン接種の積極的勧奨再開を検討すべきではないかと感じます。

独立行政法人国立病院機構九州医療センター
福岡市中央区地行浜1-8-1
TEL:092-852-0700
http://www.kyumed.jp/


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