大分大学医学部附属病院 門田 淳一 病院長

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"最後の砦"で県民を守る

【かどた・じゅんいち】 土佐高校卒業 1981 長崎大学医学部卒業 1986 米デューク大学留学 1990 日本赤十字社長崎原爆病院 2001 大分医科大学第二内科講師 2002 同助教授 2005 大分大学医学部感染分子病態制御(現:呼吸器・感染症内科学)講座教授 2017 同病院長

 県内唯一の医療研究機関である大分大学医学部附属病院。再整備とともに最先端の医療機器をそろえた。新たなスタートを切る中で見えた課題とは。

患者さんのためできる限りのことを

―約8年かけた病院再整備が3月に完了しました。

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 県内唯一の大学病院として、県民の命を守る"最後の砦(とりで)"でなくてはなりません。患者さんのためにできる限りの設備を整えることが使命です。

 まず新病棟を建設し、病床数は618床のまま1人当たりのスペースを広げました。多床室は1部屋6床から4床へと変更。個室の割合も高め、患者さんのプライベートな空間を保っています。

 また、今回の再整備で手術室も10室から15室に増やしました。うち1室は血管撮影装置を備えたハイブリッド手術室です。

 手術と並行してカテーテル検査ができるので患者さんの体への負担を減らし、迅速かつ正確に手術を終わらせることができるようになりました。内科医と外科医、麻酔科医が垣根を越えて、さまざまな見地から症例を観察できます。

 手術支援ロボット「ダビンチ」も導入しています。人の手では不可能な逆関節方向の動きなどが特徴です。さらに手ぶれ補正機能があるため、一層安全な手術が可能になりました。

 一刻を争う重症の救急患者の場合は搬送のため、ドクターヘリ、ドクターカーを活用しています。3次救急医療機関としての機能も今後力を入れたいところです。

人材を確保し育てて送り出す

―病院長に就任し4カ月。見えてきた課題は。

 最も感じているのは人材確保の必要性ですね。新病棟の完成に伴い医師・看護師ともに増員するようにしましたが、まだ不十分です。原因として、大分大学の医学部卒業生が研修のために県外の病院を選択する傾向にあることが挙げられます。

 以前は医学部生の8割ほどが卒後も大学に残っていましたが、現在では4割程度にとどまっています。2004年の新医師臨床研修制度導入以降、症例が多い都心部の病院に希望が集中するようになりました。

 診療・研究はもちろん、優れた人材を育てることも大学の使命です。優秀な医師を育て県内の医療施設へと送り出さなければなりません。

 10年後、大分県では65歳以上の人口の割合が35%になると言われており、高齢患者の増加が考えられます。総合病院と地域の診療所が協力・連携して一人ひとりの患者さんを診る、というシステムが必要になるでしょう。そのためにも大学での教育を充実させ、将来的に「この治療はクリニックで可能」「これは大学病院に任せよう」と判断ができる医師が大分県内各地にそろっている環境を整える必要があります。

 団塊の世代が後期高齢者となり社会保障費・医療費の負担が増える「2025年問題」のころには、こういった「地域包括ケアシステム」を構築しておくことが求められています。そのためにも、医師の地域偏在や診療科偏在をなるべく早く解決することが重要ですね。

県内医療の底上げにも貢献したい
男女問わずキャリアを重ねられる仕組みを

―具体的な取り組みについて聞かせてください。

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 当院では女性医師が出産後も復帰しやすいように夜勤のない時間固定勤務を取り入れるなど、職員が働きやすい環境づくりを目指しています。また、職員であれば子どもを預けられる保育園を整備。子どもが熱を出した場合には院内で預かる「病児保育」もあります。

 男女問わず、あらゆる世代が子育て、自分自身や家族の病気などでキャリアをあきらめずにすむ仕組みを整えたい。当院ではそのための支援にも力を注いでいます。

 他にも、各診療科にインセンティブとして特任助教を配置したり、ドクターズクラークを増員し医師が医療行為に専念できる環境を整えたりと、モチベーションアップを図っています。

 まずは当院でしっかりと経験を積んでもらった後は、大学や県内の他の医療機関で指導する側として臨床、研究に従事してほしい。その結果、県内の医療の底上げに貢献できれば、うれしいですね。

大分大学医学部附属病院
大分県由布市挾間町医大ケ丘1-1
TEL:097-549-4411(代表)
http://www.med.oita-u.ac.jp/ hospital/


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