院内外の「連携」推し進め地域の慢性期医療支える
東三河南部の慢性期医療を担う豊川青山病院。昨年4月に就任した松井俊和院長は、それまで大学で医療教育や医療コミュニケーションを指導してきた経験を生かし、チーム医療や地域連携を推し進める。
◎法人設立50周年
1984年、愛知県豊川市に青山医院(後に青山病院に名称変更)の分院として開院しました。青山医院は1967年8月開設で、今年は50周年。6月には、法人として祝賀イベントを開く予定です。
当院は、医療療養病床113床と介護療養病床162床を設置。豊川市を中心に、新城市や豊橋市の一部など東三河の慢性期医療を支えています。
豊川市内には、同じ法人が運営する総合青山病院があります。当院は、この総合青山病院を含めた地域の医療機関で急性期医療を終え、慢性期に入った患者さんを受け入れるという役割を担っています。
系列には特別養護老人ホームや訪問看護ステーションもあり、退院後の施設入所や在宅復帰もできる限り支援します。
当院は4項目の理念を掲げています。「患者様に安らぎを」「ご家族様にゆとりを」「地域社会に安心を」「職員に夢と誇りを」です。この実践に向け、職員一丸となって頑張っています。
◎大学で医療教育に従事
私は血液内科医として研鑚(けんさん)、その後、医師や看護師、臨床検査技師などを養成する医療系総合大学で、医療教育に関する企画・運営をしてきました。
同時に、医療コミュニケーション教育にも携わり、チーム医療や医師と患者の関係構築などをテーマに指導にあたりました。これらの大学での経験は、当院でも生かせると思っています。
日常の業務そのものがチーム医療です。一日の初めはスタッフとの申し送りでしっかりと問題点を共有。医師や看護師、介護士など多職種が協調性を持って患者さんに対応する必要があります。
臨床の現場では、講義で教えていた一般論通りにいかないこともあります。意思表示が難しい認知症患者さんなどとの関係構築は容易ではありません。
一見、意思疎通ができなさそうでも、「今日は家族が来ていてうれしそうだな」というように、気持ちをくみ取る努力が重要で、そういう対応ができる人は、患者家族にも誠意を持って接することができると思います。
◎スタッフの能力向上へ
病院ではスタッフの知識や技術向上のため、毎年テーマを決めて勉強し、発表会を開いてきました。2018年度は、口腔ケアのスタッフ教育のためのプログラムを実施する予定です。
勉強会ももちろん重要ですが、職員育成の基本は実務を通した教育(OJT)です。日々の業務の中で自己査察を繰り返すことが能力向上につながります。
喫緊(きっきん)の課題は、人材確保です。今年1月には、病院近くに当院専用の保育所を設置しました。それにより離職せずに済んだスタッフも見られます。より働きやすい環境作りに努力しています。
◎院外との関係深める
地域との連携もさらに進めたいと考えています。他院からの紹介状や入院相談などは、院内の「医療相談室」に集まります。系列施設を持つ強みを生かし、よりスムーズに対応できるよう、毎日ミーティングをしています。
他の病院と「顔の見える関係」であることも大切です。できる限り医師会の集まりや勉強会などに出向き、「地域の仲間」との絆を深める。それも医療連携を円滑に進める方法の一つだと思っています。
医療法人宝美会 豊川青山病院
愛知県豊川市西島町中井33-1
TEL:0533-86-8125(代表)
http://www.toyokawa-aoyama.com/