適切な医療の提供を通して地域から信頼される病院に
結核や神経難病などの政策医療に対応する愛媛医療センター。隣接する愛媛大学や地域の医療・福祉・介護施設と密に連携するなど、他機関とのつながりを大事にしている
◎愛媛県の政策医療の実情と病院の役割
国立療養所の流れをくみ、結核や重症心身障害、神経難病などの政策医療を中核とした医療を展開しています。愛媛県で稼働している結核病棟は3病院全49床。中予地域では唯一当院だけで、結核病床数は20床、稼働率は平均約60%です。他の診療科とユニット化した病棟で結核患者を受け入れています。
隣接する愛媛大学医学部附属病院との連携を密にした診療を展開しています。
松山医療圏の2次救急輪番病院に参加して2年が経ちますが、愛媛大学から研修医と指導医が来てくれるので、比較的充足したスタッフ数で対応できています。
レポート作成などが重なり、研修医自身も忙しくなる年末年始も、通常よりは少ない人数ながらも来てくれるので助かっています。
心臓リハビリテーションでは、愛媛大学医学部附属病院心臓血管外科と連携し、主に大学病院で心臓の手術をした患者の多くを受け入れています。月に2回、心臓血管外科の教授による診察日を設けており、患者の術後のフォローアップ体制は充実しています。
ニーズはあるのに人的確保の問題から心臓リハビリを導入できない、また導入できたとしても十分に機能していない病院は少なくありません。
幸い当院は心臓リハビリ専任の看護師がいるほか、興味を持って自発的に取り組む臨床検査技師、リハビリスタッフなどにより精力的に稼働しています。
心臓リハビリを始めて10年以上が経ちますが、その間に多くの症例やデータが蓄積され、学会で発表ができるまでになりました。
愛媛心臓リハビリテーション研究会の代表世話人を当院の舩田淳一・循環器内科医長が務めていることもあり、愛媛県における心臓リハビリの牽引役を担っていると自負しています。
◎地域の人に信頼される病院を目指して
超高齢社会に突入し、国は社会的入院を減らし在宅へ移行することを政策として進めています。在院日数も短縮され、このままでは政策医療を中核とする病院が継続的な運営をしていくのは難しい状況になってきました。
そこで重要なのが医療機関だけでなく、介護施設や老人保健施設などとの連携の強化です。施設入居者で重症になった患者を紹介してもらい、当院で治療し、良くなればまた施設に戻るという連携システムが徐々に整備されてきました。多くの施設に対応できるようになってきたと感じています。
スムーズな連携のためにはシステム作りだけでなく、患者やその家族はもちろん、関わるすべての人から信頼されることが重要。
それは院外だけの話ではありません。院内においても、職員が信頼し合い、潤滑な人間関係を築く前提として、医師や看護師、薬剤師、メディカルスタッフなど他職種の役割をそれぞれがしっかり理解することが必要です。
お互いの理解を深める場として年に1回開催している院内発表会では、各部署がどのような取り組みをしているのかを発表し合います。
また基本的なことですが、挨拶の徹底にも力を入れて取り組んでいます。旧国立療養所の特徴的な造りである長い廊下では、たくさんの人とすれ違います。気持ちよく仕事をするために、患者や家族、職員と誰であっても自発的に挨拶をするよう職員たちは心がけてくれています。
私たちが目指すのは地域の医療・介護・福祉、それに大学病院のような高度医療機関をつなぐハブ的な存在です。患者にとっての適切なサービスを追求すればそこにはさまざまな機関が関係してきます。それらをつなぐ仲介役を私たちが担うことで地域の人に寄り添い、信頼される医療の提供を追求していきます。
独立行政法人国立病院機構愛媛医療センター
愛媛県東温市横河原366
TEL:08-96-2411(代表)
http://www.ehime-nh.go.jp/