地域包括ケアシステムは徳島県から
つるぎ町立半田病院は、徳島県内で運営される国民健康保険診療施設(国保直診)6病院のうちの一つ。県西部の中核病院としての役割を担う。沖津修病院事業管理者は、10月開催の「全国国保地域医療学会」の学会長を務めるなど地域包括ケアシステムの構築に力を入れる。
―病院の特徴は。
前身の町立半田病院は1949年に設立されましたので約70年の歴史をもつ病院です。現在、国保直診は全国に約830施設。徳島県内には当院を含む6病院、19診療所があります。
当院は、人口約8万人を抱える西部医療圏(美馬市、つるぎ町、東みよし町、三好市)で急性期医療を担う120床の中核病院です。
内科、外科など10診療科があります。泌尿器科専門医である須藤泰史院長を中心に透析を実施。日本消化器内視鏡学会の指導施設にもなっています。
特に力を入れているのは周産期医療です。当院は西部医療圏唯一の分娩施設。遠方からお越しになる患者さんも少なくありません。
現在、産婦人科医は私も含めて4人、小児科医は実質1.5人です。年間約420件のお産を扱っています。つるぎ町で1年間に生まれる新生児は40人ほどで、圏内の出生数は約440人。そのうち約420人を当院で取り上げました。
―課題は。
医師の確保が大きな課題です。現在、常勤医は15人いますが平均年齢が50代。日頃から大学を頻繁に訪れて医師派遣のお願いをしています。
しかし、朗報もありました。徳島大学医学部に地域特別枠で2009年度に入学した学生5人が、2017年3月末に初期臨床研修を終え、そのうち4人が徳島大学病院に配属されました。その4人のうちの2人が、今年4月から1年間ですが、大学から派遣され当院に勤務することになりました。
当院が選ばれた理由は、教育体制だと聞いています。例えば放射線科は、放射線科専門医の研修施設として、徳島大学名誉教授の西谷弘先生が指導にあたります。最新のCTやMRIも整備されています。消化器内科もスタッフ数が多く、専門医も3人と充実した体制です。そのような体制が構築されていることから大学も当院への派遣を決めたのだと思います。
また、新専門医制度のスタートに伴って、当院が基幹病院となった総合診療医養成のためのプログラム「四国・美馬家庭医療後期研修プログラム」を作りました。今後に期待しています。
―学会長を務められます。
47都道府県の国保直診が集まり、主に地域包括ケアシステムについて考える「全国国保地域医療学会」が10月5 日(金)、6 日(土)に徳島市内で開かれます。
当院は2016年2月に地域包括ケア病床を8床開設しました。今後も病床数を増やすなど、地域包括ケアシステム推進のための体制整備を進めていきます。
学会では、われわれの取り組みや徳島県を中心にして各地の地域包括ケアシステム構築への動きについて皆さんと共有していきたいと考えています。国保直診開設者によるサミットや教育セミナーには特に力を入れました。
また、「走り出した総合診療専門医をどうするか?(仮)」をテーマにパネルディスカッションをします。オーストラリアのナンダー医院で総合診療医を務めるジョン・デラート氏に基調講演をしていただきます。国土の広いオーストラリアで、どのような地域医療が展開されているのか。われわれのヒントになるような話を聞くことができると思います。加えて、ジャズシンガーで介護経験もある綾戸智恵さんを講師として招き、市民公開講座も企画しています。
徳島県から地域包括ケアの最新の情報を全国に発信したいと考えています。
つるぎ町立半田病院
徳島県美馬郡つるぎ町 半田中藪234-1
TEL:0883-64-3145
http://www.handa-hospital.jp/