大阪府済生会泉尾病院 平居 啓治 院長

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地域をつなぎ地域とつながる

【ひらい・けいじ】 1980 関西医科大学医学部卒業 1987 同大学院医学研究科修了(医学博士) 1988 米スタンフォード大学メディカルセンター血液科留学 1995 関西医科大学内科学第一講座講師 大阪府済生会泉尾病院内科医長 2013 同院長補佐 2017 同院長

 大阪市西部・大正区の地で戦後間もなく開業。大阪府済生会泉尾病院は同区最大の公的医療機関として、地域医療に取り組んできた。2017年9月に就任した平居啓治院長は、課題解決に向け、積極的に取り組んでいる。

◎職員、患者に選ばれる病院に

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 院長に就任して半年。医師との面談を続けています。次年度の目標設定のための面接は、これまで医長と行っていましたが、できる限り全医師と面接することにしました。

 各医師が考える病院の課題や要望などを聞き、病院運営にも反映していきたい。医師だけでなく職員にとって働きやすい病院であることが、患者さんからの評価を高めるための要素の一つであると考えています。

 ハード面の整備も進めていくつもりです。

 病棟には今も6人部屋が残っています。療養環境の改善やプライバシー確保という意味でも、感染症の拡大予防という視点からも、個室化もしくは1部屋当たりのベッド数の削減は喫緊(きっきん)の課題。病院周辺が公共用地ということもあって増築はなかなか難しいため、病棟内のレイアウト変更で対応できないか、検討しています。

 そのほか、救急体制強化のためのスペース確保や医師、看護師の補充など、解決したい問題は多岐にわたります。職員、そして患者さんに選ばれる病院づくりを常に考え、実行に移していきたいと考えています。

◎病診、病病、多職種の連携を強化

 われわれはHCU6床、一般274床、地域包括ケア病棟が60床、回復期リハビリテーション病棟40床、療養病棟60床の病院です。2025年を迎えるにあたり、入院した患者さんが退院後も質の高い生活を送ることができるよう、病棟の機能をフルに活用しながら、ケアしていく必要があると考えています。

 そのためには、「連携」が必須です。2015年4月、「地域ケア支援センター」を院内に設置しました。院内だけでなく地域とも連携し、さまざまな職種のスタッフが1人の人を多方面から支援する。そんなセンターの役割を、多くの根や枝が1本の木を支える「ガジュマル」になぞらえて、別名「がじゅまるサポート」と呼んでいます。

 センターには、「地域医療連携室」、「入退院調整室」「医療福祉課(医療相談室)」などの部署を集約。地域の医療機関からの受診・検査予約を受け付けたり、医療ソーシャルワーカーが医療費などの相談に応じたりしています。

 地元のクリニックなどに通院、あるいは訪問診療を受けていた人が、「入院の必要あり」として紹介されてきた場合、それまで治療を受けていた医療機関との情報交換が不可欠です。どんな薬を使っていたのかといった医療的な話だけではなく、家族構成や介護力など、スムーズな治療、そして在宅復帰のために共有しておくべき情報は多岐にわたります。

 一方、当院での急性期の治療を終えた人を地域に帰す際にも情報交換が大事になります。例えば人工呼吸器をつけた状態で退院する人は再び地元のクリニックなどで経過を診てもらう必要があり、「病診連携」の推進は今後も必須だと思います。

 地域の医療機関と「顔が見える関係」を作ってくる中で、当院の医師と開業医の先生方との考え方に違いがあることもわかってきました。

 われわれは、患者さん自身が「すっかり元気になった」と言うぐらいの段階まで診てから退院してもらった方が良いと考えてきた。しかし、開業医の先生の中には、患者さんが「まだ退院は少し不安」と言う状態でも、急性期の治療が終わっていれば退院し、かかりつけ医に任せてもらって構わないという人もいたのです。

 そこで、病診連携の「大正泉尾フォーラム」を周辺の区の医師会などと共に定期的に開催。当院の医師とかかりつけ医の先生方が意見交換する場を設けるようにしました。意思疎通の機会が増えれば、認識の差も少しずつ埋まるのではないかと考えています。

 また、1kmほど離れた場所にある大正病院との「病病連携」も進めています。大正病院から当院に転院する患者さんを移送する場合には、当院の救急車を使用。症例情報も共有し、地域医療を担う二つの病院がお互いにより良い医療が提供できるよう、ブラッシュアップを重ねています。

 「病診連携」と「病病連携」。この二つを同時並行で行うことで地域連携をさらに進めていくつもりです。

◎空白を埋めたがん診療拠点病院指定

 地域ケア支援センターの医療福祉課に、がん専門の窓口を設け、日曜日を除く週6日、がんの不安や悩みに関する相談を受け付けています。

 大阪府には60のがん診療拠点病院があり、当院もその一つ。2012年に指定されました。

 それまで大正区と、隣接する港区、浪速区、西成区にはがん診療拠点病院がなく、「空白地帯」でした。この地域のがん医療を推進し、向上させていくために、今後も努力を続けたいと思っています。

 大腸がん、肺がん、乳がんなどの患者が多く、手術、化学療法が治療の中心。各診療科の医師や薬剤師、看護師が参加するキャンサーボードを定期的に開催し、最適な治療法を探っています。

 手術を担当する外科医は現在5人で、さらなる充実が課題です。

 抗がん剤治療については、2012年に外来化学療法室を新設。専従看護師がそれぞれの患者の状態に合わせて対応。定期的にカンファレンスも実施し、治療内容や方針を定めています。

 内科と外科の医師、看護師や薬剤師、理学療法士、医療ソーシャルワーカーで構成する緩和ケアチームの役割も、年々増しています。診断された時点からの介入で院内の患者さんや家族をケア。また、地域の医療従事者を対象とした緩和ケア研修会を通じて、地域全体のサポート力の底上げを図っています。

◎「困っている人」への支援を大事に

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 当院は地理的にやや不便な場所にあります。最寄り駅のJR大正駅からであっても車で約10分。駅などからのバスで来る人向けに、最寄りのバス停がある「大正区役所」と当院を結ぶ無料シャトルバスを運行し、対応しています。

 高齢化がさらに進めば、今、通院できている人であっても病院まで来るのが困難になってくるでしょう。病院まで来てもらう方法を考えるのか、病院から出向いていくのか。いずれにせよ、急いで結論を出さなければならない問題です。

 一方で、健康状態が悪化しているにもかかわらず医療を受けずにいる人への対応も課題になってきています。

 一人暮らしで病院に行くことができずにいる、自分の住んでいる地域にある病院の名前も場所も知らない...。そういった人と病院をつなぐことはできないかと考え、近隣の団地での「健康相談」を始めました。病気の兆候の有無をわれわれも把握し、症状が悪化する前に受診していただくための一つの方法だと思っています。

 当院は、無料低額診療もしています。必要な人が必要な医療を受けられるよう、PRを強化していかなければなりません。大正区役所とも協力しながら、進めていくつもりです。

社会福祉法人恩賜財団済生会大阪府済生会泉尾病院
大阪市大正区北村3-4-5
TEL:06-6552-0091(代表)
http://www.izuo-saiseikai.gr.jp/


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