公立那賀病院 中尾 大成 院長

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目指すのは地域から信頼される総合病院

【なかお・たいせい】 和歌山県立星林高校 1982 和歌山県立医科大学卒業 1984 同第一内科学講座入局 2008 同地域医療学講座准教授 2011 同救急集中治療医療学講座准教授 2014 公立那賀病院院長

 地域のニーズに応えて幅広い診療を展開しながらも、優良な病院経営が認められて2016年には和歌山県で初となる自治体立優良病院表彰を受賞した公立那賀病院。「地域密着型の病院でありたい」と語る中尾大成院長にその思いを聞いた。

◎地域に根ざす救急医療

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 私が院長として当院に着任したのが2014年。当時、この病院には救急科がありませんでした。ただ、救急患者を受け入れていなかったわけではありません。消防からの要請が入ると、外来の看護師長が院内の各科に連絡して最適な受け入れ先を探す手法をとっていたのです。

 しかし、この方法では受け入れる診療科が決まるまでに10分ほどかかることも珍しくありませんでした。治療の遅れは救命率にも影響します。早急な救急体制の構築が必要だと考え、2016年に救急科を新設しました。

 救急患者の初療は、水曜日は和歌山県立医科大学救急科の医師が行い、その他平日の日勤帯を当院の内科、外科、呼吸器内科、循環器内科の医師が分担して対応。さらに高度な治療が必要な場合は、各診療科に引き継ぐ体制です。脳血管障害については脳神経外科の4人の常勤医が24時間365日体制で対応しています。

 これにより救急要請を受けてから受け入れまでの時間が大幅に短縮。現在は那賀医療圏の救急要請の約6割を当院で受け入れています。救急の窓口ができたことで病院全体の診療業務も円滑に進められるようになったと実感しています。

 1948年に開院して今年で創立70年になります。病床数は304床、職員数は常勤医51人を含めて545人で、人口11万5000人の那賀医療圏の基幹病院として機能しています。

 和歌山市へは車で30分程度で行くことができるため、現在は患者の市外流出率が高いものの、今後は高齢化率の上昇で、遠方に通院することが難しくなる患者が増加すると予測しています。

 地域の中で患者のニーズに応じた治療を提供できれば、市民が市外に通院する負担を減らすことができるだろうと考えて、2009年以降、積極的に診療科を増設。現在診療科の数は28と、県下の公設病院の中でも有数の多さとなっています。

 2015年10月には、和歌山県立医科大学の協力を得て腎臓内科を開設し、血液透析を開始しました。透析療法を継続していると心不全や感染症、骨折といった疾病の併発が多くなるため、当院では複数の診療科が連携し、併発疾患による状態の悪化がないよう全身管理をしています。

 現在、腎臓内科の透析センターはベッド数16床で稼働しています。患者の増加もあり、2018年度中にさらに4床増やす予定です。

◎時代の流れの中で地域から信頼される総合病院

 当院の基本理念は「地域住民から親しまれ、信頼される病院」。地域から信頼される総合病院であり続けるために、さまざまなことに取り組んでいます。

 地域住民が医療に関する正しい知識を身に付け、予防に努めてもらう目的で毎年5月ごろ、紀の川市役所または岩出市役所のホールを借りて「那賀地区公開市民講座」を開催しています。主にがん診療に関するテーマで当院の医師が中心となり講演。その後、質疑応答に入りますが、毎年盛況でリピーターも多く、地域住民の医療に関する関心の高さがうかがえます。

 8月には、今年で10回目となる「市民健康フェスティバル」を開催しています。医師や看護師、検査技師による血管年齢測定や骨密度検査、メタボリックシンドロームチェックといった健康チェックのほか、薬剤師によるお薬相談や栄養士による栄養指導も毎回好評です。

 2017年は近藤溪名誉院長をはじめとした職員による「メタボ劇場」と題した演劇を行い、地域住民の方に楽しんで学んでもらいました。こうしたさまざまな催し物は院内の「患者サービス向上委員会」を中心に企画・立案しています。

◎医療から介護までこの地域で一貫して診る

 2002年に地域連携室を開設し、医療ソーシャルワーカー(MSW)ら15人体制で地域の医療機関や介護・福祉施設からの要望に対応しています。

 医療を提供する側と受ける側のそれぞれに理想とする医療の形があるはずです。多種多様な人々のニーズに合わせた医療を提供するために、地域連携室ができたのと同じ年、那賀医師会と共同して「那賀地域医療ネットワーク」が発足しました。

 地域の開業医や介護施設など152医療機関・192人の会員が所属しており、年に一度の連携会議や、講演会、懇親会を通して顔の見える関係づくりに努めています。

 在宅診療を専門とする診療所の医師や介護施設のMSW、療養型病院の看護師などが集まって医療提供体制の在り方を話し合う「那賀在宅ケアネットワーク勉強会」を月に一度開催しています。終末期の患者の対応や「在宅で診たいけれどうまくいかない」といった課題に対してそれぞれの立場から意見を出し合い検討します。

 「医療から介護まで、この地域で一貫して患者を診る」という意識は、国が地域医療構想を提唱する以前からこの地域には根付いており、那賀在宅ケアネットワーク勉強会も6年前から実施しています。

◎地域の中核病院として全県的な医療活動を展開

 1997年に和歌山県災害拠点病院、2008年に地域がん診療連携拠点病院の指定を受けました。

 南海トラフ地震が起きれば、和歌山市や海南市といった沿岸の地域は大きな被害を受けると予想されています。その時に傷病者の受け皿になると予想されているのが、県内に八つある地域災害拠点病院の中で海に面しない、当院と橋本市民病院(橋本市)です。

 年に1度「院内災害対応訓練」を実施して、トリアージや傷病者の受け入れといった基本的な動作を、毎年繰り返して確認しています。

 那賀医療圏では病院、消防、行政、警察の各災害担当者が集まって、「防災無線の取り扱い方法を確認する」など、毎回異なるテーマでクリアすべきテーマを設定した訓練を年に数回実施しています。

◎若い医師にとってより良い研鑽の場に

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 公立那賀病院がある紀の川市は世界で初めて全身麻酔下で手術を行った外科医、華岡青洲(1760〜1836)が生まれた地です。「外科を志すものは、内科も学ぶべきである」「人体に関する基本理論を熟知した上で、深く観察して患者自身や病の特質を見極めなければならない」ことを意味する彼の医療理念「内外合一(ないがいごういつ)、活物窮理(かつぶつきゅうり)」は当院でも大事にしており、私自身の座右の銘でもあります。

 和歌山県立医科大学の臨床研修病院として、新医師臨床研修制度発足当初から研修医を受け入れてきました。

 指導医が若い医師に指導する際は「教育しよう、指導しよう」と意識しすぎることなく、同じ目線に立って「一緒に考え、悩み、汗をかく」という理念で対応してもらっています。研修を通して、疾患だけでなく患者が抱える問題や背景にも時間が許す限り向き合い、「社会全体に貢献しよう」という強い気持ちを持つ医師が一人でも多く育つことを願っています。

 時代の流れと変わりゆく地域のニーズに対応した病院運営をこれからも目指していきます。

公立那賀病院
和歌山県紀の川市打田1282
TEL:0736-77-2019(代表)
http://www.nagahp.jp/


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