愛媛大学大学院 医学系研究科 肝胆膵・乳腺外科学講座 教授 会長 髙田 泰次

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【6月松山】第109回日本消化器病学会 四国支部例会
内科医と外科医の連携

【たかだ・やすつぐ】 洛星高校卒業 1983 京都大学医学部卒業同附属病院 1992 日本学術振興会特別研究員 仏ストラスブール大学留学 2006 京都大学大学院肝胆膵移植外科准教授 2009 愛媛大学大学院医学系研究科外科学講座(現:愛媛大学大学院医学系研究科 肝胆膵・乳腺外科学講座)教授

 6月23日(土)、24日(日)に松山市内で「第109回日本消化器病学会四国支部例会」が開かれる。会長を務める髙田泰次教授はテーマを「内科医と外科医の連携」にした。なぜ今「連携」なのか。髙田会長に狙いを聞いた。

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―第109回という歴史ある学会ですね。

 50年以上前から実施されている学会です。ここ10年前くらいからは、日本消化器内視鏡学会四国支部例会と合同開催で実施しているのも特徴でしょう。

 もともと日本消化器病学会の四国支部例会は内科の参加比率が高く、このため学会長も内科の先生が務めることが多かったようです。

 最近は、外科の先生の参加も増えています。そこで今回の当学会で「内科医と外科医の連携」というテーマにしました。現在臨床で内科医と外科医の連携がどのように進められているのか、事例を見聞きしながら、内科と外科の連携について参加者と一緒に考えてみたいと思います。

―テーマ設定の理由は。

 内科と外科の連携の重要性が増していると感じるからです。特にがん治療の場合がそうなのですが、昔は内科か外科かどちらに紹介されるかによって治療方針がずいぶん違っていました。外科の先生は手術を中心に治療方針を考えますし、内科は化学療法など内科的な治療を第一に検討する。

 しかし、最近ではまず内科の先生が診断をし、治療についてはカンファレンスなどでその方針を決めることが増えてきています。特に、集学的治療が必要な場合は、内科、外科、放射線科など緊密な連携が必要となっています。

 また、最近は「コンバージョンサージャリー」という概念も広がっています。これは、当初は切除できないと判断されたがんに、化学療法を施して小さくし、根治可能と判断された場合に手術をする方法です。

 可能になった背景には質の高い抗がん剤や生物学的製剤などが出ていることが大きく関係しています。特に膵がん、大腸がんの肝転移は抗がん剤の効果が高いと言われています。

 当講座でも内科医と密にコミュニケーションをとりながら「コンバージョンサージャリー」を実施しています。がんが小さくなっていても、抗がん剤の治療の直後は、患者さんの体には負担がかかっていますので合併症のことなどを考えると手術の実施は難しい。そうかといって時間を置きすぎるとまたがんが大きくなる恐れもあります。手術のタイミングが大変重要です。内科医と外科医が緊密に連携しながら考える必要があるのです。

 ただ、施設の規模などによっては連携がまだあまりできていない病院があるかもしれません。四国管内の病院ではどのような連携をしているのかといった実情を知り、連携によって治療成績はどう変わるのかといった点についてシンポジウムなどを通して考えていきたいと思います。

―連携のために必要なことは。

 外科の治療の長所や短所、あるいは内科の治療の長所や短所といったそれぞれの特徴を知っておくことは大事でしょう。また、治療のガイドラインをベースにした上で互いに話し合うことも大切です。

 特別講演では京都大学肝胆膵移植外科の上本伸二先生に肝移植について話を伺います。肝移植は外科と内科が連携して準備を進めて実施します。

 そのような視点からも、参加者のみなさんに肝移植について話を聞いていただきたいと思っています。

―2009年7月に4代目教授として着任。力を入れていることなど。

 2016年度の最新データでは愛媛県は「肝がん死亡率全国ワースト1」でした。肝がん対策に力を入れなければなりません。

 私は愛媛県がん対策推進協議会の副会長も務めています。行政との話し合いの中でも対策については重要な課題としてあがります。われわれ外科だけでなく消化器内科も一緒に、早期発見をして早期治療をするためにも一般のみなさんに情報を伝えなければなりません。

 毎年7月に実施される「世界肝炎デー」では本学消化器・内分泌・代謝内科学と一緒にイベントなどを実施しています。

 市民公開講座では例年講師を務めていますが、肝臓がんの外科治療について話をしています。もしがんになったとしてもあきらめずに治療について一緒に考えていきましょう。

―治療の傾向などは。

 手術ができる状態なら肝切除や肝移植といった治療もあります。当講座では70代、80代といった高齢者においても手術が可能ならば手術を実施しています。最近は当院の肝切除の症例の10%以上が80代になっています。

 ただ、肝がんの患者さんの場合、その多くの方に肝硬変があり、肝機能が低下していますので、手術が難しい場合もあります。根治性から言うと切除が良いのですが、消化器内科のラジオ波焼灼治療(RFA)などの選択肢もあります。

 肝移植について力を入れています。2013年に、当院は四国唯一の脳死肝移植の認定施設となりました。これまでに脳死肝移植は3例実施しました。脳死以外の生体肝移植も、年間4例から8例程度実施しています。

 肝がんの場合、症状が出た時には進行しています。ウイルス感染があるハイリスクグループの患者さんを血液検査で見つけて、この方たちに対するエコー検査など定期的な検査をしていくことが必要です。

 ただ最近はウイルス感染による肝がんは抗ウイルス薬の登場によって減少しています。その一方で、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の患者さんが年々増える傾向があります。

 肝臓内に中性脂肪がたまった状態を脂肪肝と言います。その中にはお酒を飲む量が少ない、あるいは全く飲まない人に起こる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)があります。このNAFLDは良性の単純性脂肪肝(NAFL)と肝硬変や肝がんに進行する可能性のあるNASHに分かれます。

 NASHは肥満、糖尿病などが原因と言われていますが、「ただの脂肪肝」と放っておくと肝硬変や肝がんに進行することがあります。当院でもNASHに伴う肝がんの患者さんが増えており、肝がんで入院される患者さんの4割程度とウイルスが原因の肝がんより多くなっています。

 国内にはNASHが約100万人いると推定されていますので、今後肝がんの動向にも影響を及ぼしそうです。

第109回日本消化器病学会 四国支部例会

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※第120回日本消化器内視鏡学会四国支部例会(会長:日浅 陽一愛媛大学大学院 医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学教授)と合同開催

合同シンポジウム1

「消化器がん集学的治療の進歩:内科医と外科医の連携」

司会:小野 正文(高知大学医学部附属病院 内視鏡診療部)、小川 晃平(愛媛大学医学部肝胆膵・乳腺外科)

合同シンポジウム2

「消化器疾患の内視鏡治療困難例の克服」

司会:竹下 英次(愛媛大学大学院地域消化器免疫医療学講座)、六車 直樹(徳島大学大学院医歯薬学研究部消化器内科学分野)

【特別講演】消化器病学会「肝移植について」

司会:髙田 泰次(愛媛大学大学院医学系研究科肝胆膵・乳腺外科学講座)

講師:上本 伸二(京都大学肝胆膵・移植外科)

【特別講演】消化器内視鏡学会

講師:井上 晴洋(昭和大学江東豊洲病院消化器センター)

会期:6月23日(土)、24日(日)
会場:松山市総合コミュ二ティセンター
運営事務局:メッド
TEL:086-463-5344
学会HP:http://www.med-gakkai.org/jsge-sh109/


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