国保日高総合病院 曽和 正憲 院長

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4月 念願の救急科開設 診療体制充実へはずみ

【そわ・まさのり】 和歌山県立桐蔭高校卒業 1978 和歌山県立医科大学卒業 1980 同産科婦人科助手 1993 国保日高総合病院 2011 同副院長 2015 同院長

 御坊保健医療圏の基幹病院として1市5町(御坊市、美浜町、日高町、由良町、日高川町、印南町)が運営する国保日高総合病院。救急や災害医療への取り組みは。

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―1997年に災害拠点病院に指定されました。

 御坊保健医療圏で唯一の災害拠点病院ということもあり救急医療、災害医療には早くから力を入れています。

 2005年からは、被災地の被災状況や、患者の受け入れ可否などの情報を共有するための広域災害救急医療情報システム(EMIS)に参加しています。

 同じ年、当医療圏での災害医療救護訓練がスタート。当院のほかに保健所、陸上自衛隊など、30近い組織が参加して毎年実施しています。総勢約400〜500人が参加するかなり大がかりな訓練となります。

 当院の災害派遣医療チーム(DMAT)の隊員は現在17人。これまで、2011年の東日本大震災、新宮市熊野川町の台風12号被害、2016年の熊本地震など各地の被災地に赴いて救護活動をしています。

 また、4月に救急科を開設します。これまでは各診療科の医師が交代で24時間、救急患者を受け入れていました。しかし救急科専門医は1人もいないため、各診療科が対応し、結果的に診療科での待ち時間が長くなるなど、患者さんの負担もありました。

 今年からは念願の救急科専門医と救急科専門医を目指す医師の2人が着任することになりました。

 救急の専門科を開設することによって受け入れ体制が充実し、受け入れられる患者数も増えると思います。これまで以上に救急医療の充実を図ることができます。

 他科の医師の救急対応が減ることで、医師確保もしやすくなると期待しています。

―産婦人科医として災害時の産婦人科医療について考える課題は。

 東日本大震災の教訓から、災害時にも機能できる小児周産期医療の構築を平常時から実施すべきではないかという声があがりました。

 このため、大規模な災害が発生した際などに、病院への搬送や治療が必要となる妊産婦や乳幼児の情報を集めて、被災地内外の医療機関につなげるための調整役「災害時小児周産期リエゾン」へのニーズが高まったのです。

 和歌山県も昨年は2人の医師が「災害時小児周産期リエゾン」の資格を取得することができました。

 また、EMISには災害時の分娩施設の情報を共有できるような入力項目がありません。日本産科婦人科学会では災害時の情報を共有する独自の情報システムを立ち上げていますが、今後はEMISと連携したシステムづくりも必要となるでしょう。

―病院の特徴は。

 当院は、全377床でそのうち精神科の病床を100床持ち、5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急医療、災害時における医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)をすべて網羅しています。和歌山県でこのような体制を整えている病院は大学病院以外では当院だけでしょう。

 和歌山県の場合、他県と比較して精神科医の総数が少ない。その多くが和歌山市内に集中しており、医師確保が困難な時期があり、一時は精神科を閉めなければならないと懸念した時期もありました。

 しかし御坊保健医療圏で入院施設のある精神科病院はありません。地域から精神科病院がなくなっては、患者さんは和歌山市内など他の地域まで足を運ばなければなりません。

 そのような状況をつくってはいけないという声が地域住民や周辺の自治体病院からも上がり、これに対して、大学も協力体制を整えることで応えてくれました。こうして精神科を維持することができました。

 今後も地域住民の医療を守るためにも、5疾病5事業の中の一つたりともなくしてはならないという気持ちで運営に励んでいます。

―院長就任から3年。注力していることは。

 当院には従来、「患者中心の医療」「医療の安全」「医療水準の向上・高度専門的医療」「医療連携」「健全な病院経営」などの五つの基本方針があります。これに昨年、「職員のモチベーション向上」という項目を加えました。

 職員にとって働きやすい職場とは何か。院長となって外部の研修などを受ける機会もあり、責任者として職員のやる気、やりがいを引き出すために具体的に取り組む必要があると考えました。

 こうして、昨年4月には「働きがいのある職場づくりプロジェクト」という取り組みをスタートしました。

 まず、各診療科や病棟などから選ばれた十数人のメンバーを「内部相談員」に任命しました。内部相談員は外部での研修を受けてスキルを身に付けて、職員の相談に対して電話やメールで応じるようになっています。

 また、メンバーはプロジェクト立ち上げに至るまでに約1年間にわたって病院としてどのような取り組みをすれば職員のモチベーションを引き出すことができるのかも打ち合わせてきました。

 こうして、プロジェクトの一貫として、職員が病院や職場に対する意見を書いて投函するための意見箱「なんでもBOX」を院内に設置しました。

 内部相談員による委員会制度も作りました。委員会では意見箱に寄せられた相談や意見に対する答えを会議で話し合い、回答を文書にまとめ院内で掲示したり配布したりします。

 プロジェクトが動き出したことによって、病院として職員にきちんと向き合うという体制を明確にできたと思います。

 職員が職場に誇りを持って「仲間と一緒に頑張って働こう」という意識を持てるような風通しの良い組織づくりをこれからも目指します。

―産婦人科医として力を入れていることは。

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 御坊保健医療圏で分娩ができるのは当院のみになってしまいました。

 このため当院には広域から妊産婦が受診に訪れるようになり、年間約500件のお産を取り扱っています。

 われわれのモットーは「切らないお産」。出産後の体の回復や育児などを考えて、帝王切開、会陰切開はなるべくしないようにしています。

 また、既往帝王切開術後の経腟分娩を「VBAC」と言いますが当院はこれにも力を入れています。前回帝王切開であっても条件が整えば経腟分娩は可能です。

 国内ではお産に占める帝王切開の比率は高まっていて最近では約20%。1980年代には5%程度でしたから、かなり増加。高齢出産が多くなっていることなどが増加している主な理由です。

 しかし、当院では出産後の母子のことを考え、切らないお産を目指しています。このため、帝王切開の適応を厳しくすることで、15%程度に抑えることができています。

 初めてのお産が経腟分娩であれば2人目、3人目も経腟分娩で実施できる可能性も高まります。

 しかし、初産が帝王切開の場合、VBACという選択肢があるということを伝えても、それを選ぶ方はあまり多くはありません。

 まずは、初めてのお産を経腟分娩で進めることに今後も力を入れていきたいと考えています。

国保日高総合病院
和歌山県御坊市薗116-2
TEL:0738-22-1111(代表)
http://www.hidakagh.gobo.wakayama.jp/


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