災害医療とコミュニティー

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地域のつながり 有事の大きな力に

 「地域における災害医療」や「防災」のあり方が少しずつ変わりつつある。「平時」「有事」を切り分けるのではなく、コミュニティーの強化を基盤にして常にチームで備えておく。そんな動きが見えてきた。

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医療機関と消防署の合同訓練など、組織を越えた災害・防災対策の整備が各地で進む(写真は山口県防府市・三田尻病院)

7年が経過して何が分かったのか

 今回、災害医療について取材したある医師は言う。「医療者や福祉関係者、行政、マスコミ、地域の方々なども含めて、多職種の日常的な交流が大規模災害時に力を発揮した例がある。有事にすぐさま集まり連携が機能したのです」―。

 各種研究や課題の検証などを通じて、あらためて「災害対策とコミュニティーの関係性」が注目されている。

 「日本老年学的評価研究(JAGES)」では日本の高齢者の実態を多面的に描き出すことを目的に、全国30の市町村と共同して、さまざまな調査、分析を進めている。

 東日本大震災で市の面積の48%が津波で浸水するなど、甚大な被害を受けた宮城県岩沼市との共同研究「岩沼プロジェクト」の研究成果が今年2月、公表された。

 震災前の2010年8月に実施していた同市の65歳以上の高齢者の調査情報を活用し、津波および震災後の死亡リスクと関連する要因を調べた。入院患者ではない一般の人を対象にした「災害による死亡リスクが高い人の特徴」を調査したケースは、世界的にも例がないという。

 岩沼市在住の高齢者860人が解析対象。震災前に重度のうつ傾向だった人は「震災当日の死亡率」が「12.8%( 39人中5人)」で、うつ傾向がない人と比較して3.9倍だった。

 うつは認知機能を低下させるとも言われており避難の決断や行動の遅れにつながった人が含まれていると指摘されている。重度のうつ傾向の人は、災害時のハイリスク者として認識される必要があることを示唆する。

 2014年5月までの「震災後」では、友人と交流している人の死亡リスクは、していない人と比べて「0.46倍」と低かった。

 他者との交流を通じて有用な情報を得たり、相談に乗ってもらって問題を解決したりといったことが、健康を守ることにつながっているのではないかと考えられている。

地域包括ケアに「防災」の視点を

 では、医療界の動きはどうか。日本医師会の救急災害医療対策委員会は2月、ワーキンググループによる議論を報告書として取りまとめた。その一つが「地域の救急災害医療におけるかかりつけ医の役割〜地域包括ケアシステムにおける災害医療を中心に〜」だ。

 地域包括ケアシステムの中に防災の視点を組み込んだもの。あらゆる自然災害やテロ、サイバー攻撃などの混乱に耐え可能な限り早急な復旧を果たす「レジリエントな地域包括ケアシステム」の構築をテーマとする。

 これまで、平時の救急医療におけるかかりつけ医の役割は明示されていたが、災害時の役割は明確化されていなかった。

 かかりつけ医を中心とした地域包括ケアでの医療・介護の連携を災害時にも守ることができるよう、メディカルコントロール機能の向上を図る。平時の段階からかかりつけ医と救急災害医療関係者とのつながりを強めていく方針で、災害発生時にはかかりつけ医が多職種を統括。被災地の医療提供や健康管理を担う。

 愛知県医師会が「災害に強い地域包括ケア」をテーマにしたシンポジウムを開催するなど、各地で「平時から有事までを見すえた」地域医療体制の構築が進む。

 震災直後、入院の受け入れ制限または受け入れ不可の医療施設182カ所のうち、2018年3月時点で97%が回復しているとされる。

 復興庁による「東日本大震災からの復興に向けた道のりと見通し」によれば、現在は復興・創生期間にあたり、被災者支援は心身のケア、コミュニティーの形成などに重点が置かれている。

 コミュニティーにおける医療者の役割は、ますます重視されていくにちがいない。


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