京都府立医科大学 整形外科学 久保 俊一 教授

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運動器を網羅「10種競技の金メダル」を

【くぼ・としかず】 和歌山県立桐蔭高校卒業 1978 京都府立医科大学医学部卒業 1983 同大学院医学研究科修了 米ハーバード大学留学1993 仏サンテチエンヌ大学留学 2002 京都府立医科大学整形外科学教授

 設立は1872(明治5)年、日本で最も古い医科大学の一つである京都府立医科大学。京都初の本格的近代病院・医学校として発展する過程で、整形外科学教室は約70年前に開設された。久保俊一教授は第5代教授として17年目を迎えた。

11の専門クリニック

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―教室の特長を聞かせてください。

 整形外科学は運動器疾患を扱う臨床医学で、対象は小児から高齢者まで全年代。われわれはその専門家として、骨、関節、筋肉、靭帯、腱、脊椎脊髄、末梢神経など全般を扱っています。

 信条は、各部門が常時、質の高い医療を提供すること。それぞれのグループが基礎的あるいは臨床的な研究に深く取り組むことで、すべてを網羅できる整形外科を目指しています。陸上で例えて言うなら、100m走で金メダルを取るのではなく、10種競技で金メダルを狙うようなものです。

 ですから、教室について質問されたとき、「これが特長です」と一つを取り上げるのはなかなか難しい(笑)。何かが突出しているというよりは、抜けや穴がなく、すべてにおいて一流のレベルを保っている。「子どもから大人まで、どんな症状であっても診断治療できます」という点が特長であり、患者さんにとって一番のメリットだと思っています。

 幅広いニーズに応えるために開設しているのが、11の専門クリニックです。股、膝、足、肩、手の各関節クリニックに加え、脊椎脊髄、小児整形外科、骨軟部腫瘍、関節リウマチ、スポーツ、骨粗しょう症の各部門が互いに連携しながら診療と臨床研究にあたっています。

 例えば、股関節部門ですと特発性大腿骨頭壊死(えし)症、変形性股関節症、人工股関節に関する診断治療法の開発などに取り組んでいます。

 足・足関節部門はCT画像を用いた足部の三次元動態解析、肩関節では腱板修復の機序や修復促進方法、手・末梢神経部門では末梢神経再生の画像評価法と新たな神経再生誘導法など、一例ではありますが、いずれの部門でも特長ある研究を進めています。

 一つの部門にスタッフを集約し、特化して売り物にしようと思えばできないことはありませんし、そのような戦略もあってしかるべきでしょう。しかし、ここの伝統はそうではない。各部門に均等に人員を配置することを心がけています。

日本で唯一の小児整形外科学部門

―その中でも、特有の分野を挙げるとすると。

 ここで扱う特殊な分野の一つが小児整形外科です。小児整形は各都道府県にある子ども病院や小児センターの中に組み込まれていることが多く、大学病院で扱っているところはほぼありません。教育機関として基礎・臨床の研究ができる正式な小児整形外科学部門は、日本で唯一でしょう。

 と言うのは、やはりスタッフ数に限りがあり、大学病院内で専門に教育できる人を抱えるのは難しいからです。当科も、長年の実績を府に認められたことで、2014年に部門として独立できたという流れがあります。

 発達段階にある小児は先天性股関節脱臼や足の内反足の症例、青少年期では側弯症などが多いですね。頻度の高い骨折から数万人に1人という疾患まで対応しています。

 研究班では、骨形成の促進に関する研究や創外固定器を使った新たな治療法の開発などに取り組んでいます。

 また、大腿骨骨頭にある軟骨に変形が生じる「ペルテス病」の診断と装具療法を用いた治療は、国内でも抜きんでた成果を上げていると思います。

信用第一スポーツ整形

―ほかにはどうでしょう。

 東京五輪を控え、近年関心が高まっている部門にスポーツ整形があります。これもある意味特殊な分野で、アスリート本人だけでなく、監督やコーチなどの指導者からも信用を得ないと、治療が進まないんですね。

 看板を掲げるだけでは人は来ない。医療の質は大前提ですが、現場のニーズや特性をよく認識し、ここにかかれば選手生命が保てる、パフォーマンスが上がる―といった安心と信用を勝ち取ることが重要です。

 手術療法を選択する場合、大学病院では手術可能な時期や症例数、外来リハビリテーションに制限があるため、機能分担病院として、京都市内にある「京都鞍馬口医療センター」や「京都地域医療学際研究所がくさい病院」と提携しています。いずれもスポーツ整形では名の知れた病院で、膝、肩、肘関節に対する内視鏡手術が多くを占めています。

 私たちの教室は、特に膝の関節や靭帯(じんたい)の再建が得意で、膝関節靭帯に対する前十字靭帯2束再建術を開発するなど、新しい手術手技の開発改良にも力を入れています。術後は、復帰期間を短縮できる画期的で系統的なリハビリテーション治療を行っています。

200人超の教室員

―大学の附属病院にはリウマチセンターもありますね。

 4年ほど前には、整形外科と膠原病内科が垣根を越えてチーム医療を行うリウマチセンターも設立しました。整形と内科が一つにまとまってやっている例は全国にもあまりないと思います。

 「統合」をキーワードに、「1+1」を2ではなく3や4にする。これも専門家が集合体として存在することの強みです。数あるリソースを組み合わせるからこそできる治療があります。

 病気は、疾患名が同じでも、個人によって症状が違う。それに対応するカードが何枚もある、あるいは引き出しが非常に多いというのが、当教室の長所。もちろんパーフェクトではありませんが、他に負けないと自負しています。

 教員数は20数人、特任教授も入れると30人。教室員全体では230人ほどで、同門会は500人を超えます。関連病院は約40カ所。一体となって人材を育てる努力をしています。

 関連病院の医長・部長は各自の専門性を打ち出して、大学と同レベルで臨床・教育・研究をしています。客員講師として大学でも年数回教鞭を取ってもらい、教育コンテンツを共有化。教えることは学ぶことです。各自の資質も高まります。

 医局は教育の手配が大きな仕事ですので、むしろ「医学教育局」と呼んだほうが分かりやすいかもしれません。これからも、高みを目指す教室員をサポートしていきたいと思っています。

高める専門性と総合性

―今後に対する展望を聞かせてください。

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 整形外科に限らず、今後の医療は専門性と総合性が問われていると思います。大学病院が担当するのは超急性期や急性期ですが、回復期、生活期、と患者さんの日常生活に近い時期を診る医師ほど多面的に診る総合性が要求されます。

 患者さんが困るのは症状ごとに診療科を変えなければならないこと。大学病院でも、ある程度ワンストップで診られる体制があってもよいのではないか。今後はますます複数の疾病を抱えた人が増えてきます。整形外科医はそれにどう対処すべきか、そのための教育をどうするかが課題だと思います。

 整形外科医は専門性が極めて高い上、科として扱う範囲が広い。専門性を磨きつつ複合する病態と向き合うには、他科との提携が必要でしょう。

 「スペシャリティー(専門性)からインテグレーション(統合)へ」が、今後のカギ。最先端技術も10年経つと古くなる。複数の専門、技術を統合しながら変化に対応していくこと、持続できるセオリーや方向性を構築していくことが重要です。

 多様化するニーズに応えられるよう、教育・診療・研究の三本柱をさらに充実させていきたいと思っています。

京都府立医科大学 整形外科学
京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465
TEL:075-251-5111(代表)
http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/orthoped/


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