香川県厚生農業協同組合連合会屋島総合病院 安藤 健夫 病院長

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時代に遅れはとらない世界基準の技術を届ける

【あんどう・たけお】 1987 産業医科大学医学部卒業 同附属病院整形外科 1989 岡山大学医学部整形外科学教室入局 1990 寺岡整形外科病院 1993 屋島総合病院 2006 同病院長補佐 2009 同副院長 2015 同病院長

 1948年に開設した屋島総合病院が、2016年11月に新築移転。同院をけん引する「関節外科センター」をはじめ多様な側面で機能強化が図られた。安藤健夫病院長は「たしかな技量が患者さんの信頼につながる」との思いを貫く。

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―新病院開院後の感触はいかがでしょうか。

 まず、機能面を大幅に強化し、より良質で安全な医療を提供できるようになりました。

 私が専門とする整形外科領域に関しては、クラス100、クラス1000のバイオクリーン手術室を設置。感染症対策を徹底しています。「クラス」は1立方フィート中に0・5μmm以上の粒子がどれだけ含まれているかを表すNASA規格の分類。一般的な手術室はクラス10000です。

 新たに導入した128列256スライスのCTは、鮮明な画像によって検査精度の向上に貢献しているのはもちろん、画像再構成技術「Full IR」を搭載。優れたノイズ低減機能などを備え、被ばく量をコントロールすることで低線量での受診を実現します。香川県で「Full IR」搭載モデルを採用したのは当院が初めてです。

 産婦人科領域には、トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)が加わりました。そして、旧病院では別の部屋に分かれていた陣痛室と分娩室を集約。「陣痛(Labor)」「分娩(Delivery)」「回復(Recоvery)」を一つの部屋で完結できるシステム「LDR」に対する評判は上々です。

 陣痛に耐えつつ移動する必要はなく、ご家族と一緒に過ごしながらリラックスした雰囲気でお産に臨むことができます。産後は個室、大部屋のいずれでも、母子同室が可能です。

 腎センターは15床から20床に拡張し最新鋭の機器を配置しました。急性・慢性腎不全の患者さんに対する血液透析、腹膜透析を実施しています。血漿交換や血液吸着などのさまざまな血液浄化法にも力を入れています。

 ちなみに腎センターの窓から見下ろせる町並みや自然などの風景は、長時間の治療を要する透析患者さんにとって癒やしとなっているようです。

―病院の強みである「屋島関節外科センター」の現況は。

 私がセンター長を兼任する「スポーツ医学センター」と浅海浩二医師がセンター長を務める「人工関節センター」の2本柱で運営しています。手術件数が増加傾向にある中、脊椎で難易度の高いケースや軟骨の手術、じん帯の移植といった高いクリーン度が求められる手術の伸びもあり、二つのバイオクリーン手術室がフル稼働しています。

 スポーツ医学センターで多くを占めるのは、半月板損傷や前十字じん帯損傷といったスポーツ障害の患者さんです。すべての症例で低侵襲の関節鏡視下手術を実施。年齢層は10歳前後から70歳前後までと幅広く、中四国を中心にさまざまな地域からいらっしゃいます。

 従来の切開手術であれば、1カ月以上のギプスや装具の固定が必要だった症例も、1〜2週間で退院して2カ月後には競技に復帰できます。

 手術による筋肉へのダメージがほとんどありませんので、早期にリハビリを始めることができ、筋力が著しく低下する心配もありません。肩の腱板が断裂して腕が上がらなくなった、肩関節を損傷した。例えばそんな投手のピッチングが元通りになります。

 人工関節置換術は2016年度が245例、2017年度が342例と大きく件数が増えています。「МIS(最小侵襲手術)」や手術部位の角度、位置を画像で確認しながら進めるナビゲーションシステムなどを駆使して正確で安全な手術を心がけています。

 超高齢社会を反映してやはり股関節、膝関節の手術が多く、新病院のオープンを機に肩の人工関節手術もできるようになりました。肩腱板断裂で縫合が不可能なケースや変形性肩関節症、ずっと肩関節脱臼に悩まされ、治せないままでいる。そんな患者さんたちに対応します。

 当院は自家培養軟骨移植術の施設基準も取得しており、膝軟骨の移植も積極的に推進しています。iPS細胞をはじめとする幹細胞を活用した変形性関節症の治療なども実用化に向けた研究が進んでいるようです。最新の動向を見逃さず、時期がきたら当院でも取り入れたいですね。

 1993年、私は「香川県で一番の病院を目指したい」との思いをもって屋島総合病院で働き始めました。その当時は、中四国エリアではまだ関節鏡視下手術はあまり普及していませんでしたから、ぜひ当院が軸となって根付かせていきたいと考えました。

 プロのスポーツ選手であっても早期に第一線に復帰させることのできる確かな「技量」を有すること。先進的な医療を時代に遅れをとることなく、世界と対抗できるレベルで取り込んでいくこと。術前から術後まで患者さんをしっかりと支えること。これらが「一番」の要件だと考えます。

 医師、看護師、理学療法士など、当院の職員たちは学会参加や発表活動に意欲的です。各診療科や部門が得意分野を打ち出していけるよう、全体的な底上げを図っていきたいと思います。

―地域の期待にどう応えていきますか。

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 「地域に寄り添える病院」を目指し、2016年12月に回復期リハビリテーション病棟、2017年5月に地域包括ケア病棟を開設しました。

 また、従来から掲げている「断らない救急」の実現に向けて、救急車で搬送された患者さんからウオークインまで、内科系医師1人、外科系医師1人の計2人のドクターによる当直体制で診療にあたっています。高松地区の救急告示病院23施設において、救急車受け入れ件数、時間外患者数ともに上位の実績です。

 HCUは4床から10床と倍以上のスペースを確保。高度な医療を要する救急患者さんへの対応力も高まりました。

 移転のタイミングで、「総合支援センター」を中心とした患者さんへのサポート体制の充実を図りました。

 看護師による入院前のオリエンテーション、患者さんの基本情報の収集とアセスメント、検査の説明、事務スタッフによる医療費の説明、医療ソーシャルワーカーによる医療福祉介護相談、薬剤師による薬剤管理の情報提供など、多職種がチームとなって、スムーズな受け入れに努めています。

 入院当初の段階で退院後を見すえた活動をスタート。患者さんの医療、福祉、介護の課題の解決を図り、充実した生活が送れるよう支援します。当院に併設している訪問看護ステーション「やしま」とも一体となって入院時から在宅まで、切れ目のないサービスを提供することが可能です。

 春と秋の年2回、高松市内の医療機関の方を当院に招待して、勉強会と交流会からなる「医療懇話会」を開いています。当院の設備や仕組みのことをしっかりお伝えしていくとともに、さまざまな要望を聞く貴重な場でもあります。

 香川県立中央病院や高松赤十字病院、開業医の先生方などから、地域包括ケア病棟の利用状況に関する問い合わせも増えています。ベッドが空いていれば、当日の相談であっても、可能な限り患者さんを受け入れるのが当院のスタンス。早い対応が、密な地域連携には不可欠です。

 2017年の1年間をかけて、新病院としての基盤づくりは完了しました。診療報酬・介護報酬同時改定などの制度も注視しつつ、2018年はさらに信頼を積み上げていきたいと思います。

香川県厚生農業協同組合連合会 屋島総合病院
高松市屋島西町2105-17
TEL:087-841-9141(代表)
http://www.yashima-hp.com/


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