鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 整形外科学 小宮 節郎 主任教授

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継続こそ真の発展 功績を次世代へつなぐ

【こみや・せつろう】 久留米大学附設高校卒業 1978 鹿児島大学医学部卒業 久留米大学医学部整形外科入局 1993 ハーバード大学付属マサチューセッツ総合病院整形外科リサーチフェロー 1999 久留米大学医学部整形外科助教授 2000 鹿児島大学医学部整形外科(現:同大学院医歯学総合研究科整形外科学)教授

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―教室の主な特徴は。

 鹿児島大学の整形外科学教室は、創設から70余年の歴史があり、現在は整形外科全領域にわたる研究・教育・診療体制が整備されています。

 中でも今、力を注いでいるのが、骨軟部腫瘍に対する遺伝子治療の治験です。これは独自に開発したウイルス医薬「サバイビン反応性m―CRA」を用いた医師主導治験で、2016年8月に開始しました。途中経過としては順調に進んでおり、これまでに4例の患者さんに投与して、安全性などを評価しています。今後は2019年中に治験を終える予定で、2020年度の実用化を目指しています。

 もう一つは、脊髄の再生医療です。損傷した脊髄は再生能力がとても低く、まひ状態が現れると治療は困難だといわれています。当教室では、マウスの脊髄損傷モデルに抗てんかん薬であるパルプロ酸と神経幹細胞移植とを併用する方法で、脊髄損傷による歩行障害を大きく改善させることに成功しています。

 私が着任した2000年当時の教室は、脊椎・脊髄分野が傑出していました。そこにまず私自身の専門分野である腫瘍、股関節、リウマチ分野を加え、さらに若手教室員や中堅の教室員に自己研鑽(さん)を促すかたちで、スポーツ障害、膝関節、リハビリテーションなどの臨床・研究にも取り組みました。その結果、整形外科領域においては、どんな疾患でもほぼ鹿児島県内で治療を完結できる体制を構築しました。また、非常に多彩な教室員が大学から巣立ち、地域医療を支えています。

―地域医療への取り組みは。

 大学病院の整形外科病棟は47床で、7対1看護体制を守りながら、在院日数約17日、看護必要度32〜33%を維持しています。入院・手術は常に70〜80人待ちの状況ですので、外来の時点でくまなく検査を行い、内科疾患等の有無をきちんと確認してから予約を入れるよう徹底しています。

 また、整形外科は、運動機能の修復を重要視するため、術後のリハビリが欠かせません。そこで、当院ではあらかじめ外来時に「入院→手術→リハビリ」の流れを説明し、当院と医療連携している県内各地の専門病院を紹介しています。

 こうすることで、患者さんは自宅の近くあるいはご自身が希望された病院で、スムーズにリハビリを受けることができます。なお、連携施設は、当院のプログラムを踏まえたリハビリが実践できる専門性の高い施設のみを選定しています。

―4月に新専門医制度が始まります。

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 基幹施設として整形外科研修プログラムを作成し、初年度は9人の専攻医を受け入れる予定です。

 整形外科専門研修は1カ月の研修を1単位とする単位制です。全カリキュラムを脊椎、上肢・手、下肢、外傷、リウマチ、リハビリテーション、スポーツ、地域医療、小児、腫瘍の10の研修領域に分割。専攻医が基幹病院と連携病院をローテーションすることで、それぞれの領域で定められた修得単位数以上を修得し、3年9カ月で45単位を修めるプロセスです。

 また、期間中160例の手術を経験し、うち80例は術者となること、年1回以上学会発表をすること、4年間に1本以上の論文を仕上げることも規定されています。

 医師として専門領域を目指すのは当然ですが、この新専門医制度には、いくつかの課題が残されています。まず、基幹施設に若い専攻医が集中することによる地域医療への影響です。新制度の開始に伴い、中堅の医師を地域に派遣するなどの対策が考えられますが、それが継続性を持つかは不透明です。次に、基幹施設や連携施設になるハードルが高いため、今後、専攻医が望んだ地域や診療科で研修を行えなくなる可能性があります。さらに、画一的なプログラムによる医師の同質化も懸念されます。

 かつては大学卒業後、診療の道に進む人、学位の取得を優先する人、海外留学をする人と、さまざまな医療人生の選択がありました。しかし、今は新臨床研修制度があり、新専門医制度があり、大学卒業後に6年間のレールが敷かれています。そうなると、必然的に大学院への進学や研究は後回しになってしまいます。これは、日本の臨床研究が中国・韓国に追い越されてしまった今、由々しき問題であると考えています。

―今後の教室運営については、どのようなイメージをお持ちですか。

 今必要なのは、各分野を継続的に発展させるマンパワーです。ある1人に依存していたら、その人が方向転換した時に、それまでの積み重ねが無駄になってしまいます。今後は組織力をさらに高めるために、それぞれの分野で「人財の層別化」をはかることが目標です。

 教室運営においては、整形外科という幅広い領域の中から、将来自分がどのような貢献ができるかをイメージしたり、夢みたりできるような状況を作らねばならないと思います。そのためには、興味が尽きない環境であること、情熱を継続させるためのサポートがあること、日々の診療のみで疲弊させないことが大切だと思います。

 整形外科は、今後も独自の発展が期待できる分野です。だからこそ、整形外科医を目指すなら、常にさまざまな事例を目にして、今の医療に足りないものを認識し、それを将来自分が解き明かそうとする気概を持っていただきたいです。

 来る3月24日に城山観光ホテルで、定年による退任祝賀会を開催する運びとなりました。当日はノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生にお越しいただきます。

 これまで国内外の大きな学会を鹿児島で10回以上主催し、2015年には日本整形外科学会学術賞も受賞するなど、鹿児島から全国へ、あるいは世界へ、さまざまな医療・医学情報を発信してきました。若い方々にもぜひそれを継続してもらいたい。私がまいた種がいつの日か大輪の花を咲かせることを楽しみにしています。

鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 整形外科学
鹿児島市桜ケ丘8-35-1
TEL:099-275-5111(代表)
http://www.orthop-kagoshima-u.com/


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