マツオカそらいろクリニック 松岡 弘典 院長

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人々が集い、つながる「サードプレイス」に

【まつおか・ひろふみ】 1999 高知医科大学(現:高知大学医学部)卒業 2008 神鋼記念病院 2011 京都大学大学院医学研究科修了2015 神鋼記念病院呼吸器内科科長 2017 マツオカそらいろクリニック開業

 サロンのような佇(たたず)まいがくつろいだムードを醸し出す「マツオカそらいろクリニック」。多数の医院が点在する神戸市東灘区に開業して半年余り。院長とスタッフの「人と人がつながる場所にしたい」という想いが、人々を引き寄せている。

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◎ハッピーになるために

 2017年8月に開業。おかげさまで今のところ経過は順調で、やりがいを感じる毎日です。開業前は病院に勤務。呼吸器内科を専門に、長引くせきや喘息(ぜんそく)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺気腫といった疾患をライフワークとして診察・研究していました。

 呼吸器疾患の患者さんの約8割は、まず個人のクリニックにかかります。僕は診療がとても好きなので、もっと多くの人を診たい、専門知識を生かして社会貢献したいという思いが、根底にありました。

 どんなにいい病院でも、組織である以上、どうしても小回りが利きにくい面があります。新たに何かやりたい場合も、上司に相談して、申請して...というプロセスが必要。事務や診療補助の方も、ある程度の決まりの中で動くしかない。患者さんのために、もう少し柔軟にできたら...という気持ちがずっとあり、それなら独り立ちして、同じ志を持つスタッフとチャレンジしたいという思いが強くなりました。

 本気で動き出したのは開業の1年前、物件が見つかってからは3カ月で開院にこぎつけました。

 開業は夏と決めていました。風邪の時期に間に合うようにという理由もありますが、何より、明るい青空のもとでオープンしたかったんです。

 前の病院に勤めるときに初めて神戸に住んだのですが、カラッとした気候や、自分のような"よそもの"でも温かく受け入れる開放的な人間性が気に入って、ここに決めました。

 日本人は自己犠牲の中で仕事をやり遂げることに美徳を感じるところがあります。もちろんそれも一つの価値観ですが、自分にとって一番大切なのは「楽しく仕事をする」ということ。まず自分がハッピーになることで、周りにいい影響を与えることができると思っています。

◎ブランディングを徹底

 おいしいランチを食べるときや、洋服を買いに行くときにはワクワクしますよね。反対にクリニックといえば、なるべくなら避けたい場所。でも、命を預かる大切な場所です。

 だからせめてうちでは、患者さんに少しでも前向きな気持ちになってもらおう、ポジティブな気分になって帰ってもらおうと考えた。ハードルが高いかもしれませんが、僕たちはあえてそこを目指しています。

 クリニックのキャッチコピーは、少し長いのですが「いろいろな人、いろいろな思い。みんな、そらでつながっている。どんなそらにも陽が差すように。」としました。ここで小さなつながりが生まれ、温かい気持ちになってほしいという思いを表現しています。

 でも、いくら自分がそう思っても、ブランディングに掛け違いがあると、患者さんには違和感が残ります。それは避けたいと、工夫しました。

 まずこだわったのは、色。パーソナルカラーの中から、高い空の色である「そらいろブルー」をブランドカラーに設定。内装も、柔らかさと温かみを感じるものにしました。診察室の壁には癒やし色のラベンダーを。照明も含めて、緊張感がなるべく軽減するよう気を配りました。

 もちろん衛生面は一番大事ですので、殺菌作用のある自然素材を使っています。

◎SNSでコンセプトを発信

 僕たちの想いや目指していることを、多くの人に伝えたい。安心して気軽に来てもらえるクリニックだと知ってほしい。そのために利用しているのがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。インスタグラム、フェイスブック、ラインで発信しています。

 季節に応じて飾り付ける院内を見て、「雰囲気に合うから」と患者さんが小物を置いてくれたり、壁飾りを作ってくれたり。そんなつながりがうれしいですね。

 インスタなどのフォロワーは30〜40代が多く、来院者の年齢層と一致します。特に最初のころは若い患者さんが多かったですね。その後、ご両親やお子さんを連れてきてくださって、年齢の幅は広がりました。

 近隣の患者さんも増えましたが、4割弱は東灘区外から。普通1km診療圏などと言いますが、呼吸器内科は少ないですし、わざわざ探してくださっているようです。「クリニックらしくない」を意識して作ったホームページも、一役買っているかもしれません。

◎スタッフの個性を生かす

 スタッフは今、7人。僕はチームとして力を合わせたかったので、求人媒体にも「コンセプトに共感する人を求む」と打ち出しました。

 結果、ユニークなメンバーが集まりました。うちはマニュアルはなくて、むしろ各自が率先して「〇〇したい」と言える環境づくりを大事にしています。

 保育士資格を持つスタッフは、子どもが安心する絵本を自宅から持ってきて、上手に相手をしてくれます。パティシエのスタッフは、月に一度ほど発行しているクリニックのフリーペーパー「そらいろ通信」にレシピを紹介してくれています。

 東洋医学のヒントなども盛り込んで作っている「そらいろ通信」は、コミュニケーションツールにもなることが分かりました。スタッフと患者さんとの会話のきっかけになっているようです。

 みんな楽しそうに仕事してくれていて、やりがいを感じてもらえているのかな...と、勝手に思っています(笑)。

◎地域の「サードプレイス」に

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 クリニックは患者さんの病気を治す場所ですが、それ以外でも交流できる場所でありたいと思っています。

 診療以外の時間に、地域の人が集まれる催しができないか。病気予防や健康づくりといったミニ学習会はもちろん、絵本の読み聞かせや、子どもを遊ばせながら参加できる手作り講座、食に関するワークショップなどを考えています。カラーセミナーは一度開催しました。他にも何かワクワクするようなことを実現したいですね。

 人にはよりどころとなる場所があって、まず家庭、二つ目は仕事場、そして三つ目の場所が「サードプレイス」と言われます。でも近年、これが減っているそうです。人と会話する機会が少ない患者さんは多いのかな、と肌で感じます。

 ですので、ここが「サードプレイス」として、ゆるやかなつながりが生まれるようなステージになれればいいなと。

 そんな夢が語れるのも、核となる診療があってこそです。せきは身近な疾患で、医者も軽くとらえがちですが、実は診断が難しい。ひどくなると体力を消耗させるし、QOLを下げてしまう。しんどさに寄り添って、体調や生活環境を聞き出し、適切な診断、治療につなげることが肝心です。つらそうだった患者さんが元気になると本当にうれしいし、僕自身のプラスのエネルギーになります。

 ありがたいことに今、人生で一番楽しい時期を過ごしています。今後、壁にぶつかることもあると思いますが、患者さんをポジティブにしたいなら、まず自分が前向きでいること。それを忘れず、日々、向き合っていこうと思っています。

マツオカそらいろクリニック
神戸市東灘区田中町1-2-12-1F
TEL:078-431-8100
http://www.solairo-clinic.com/


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