医療法人 伊豆七海会 熱海所記念病院  金井 洋 院長

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2017年、院長就任 医療連携で高齢化に対応

【かない・ひろし】 1988 東京医科大学卒業1999 熱海所記念病院整形外科部長 2003 同副院長 2017 同院長

 日本でも有数の観光地である熱海市に位置する熱海所(ところ)記念病院。「海抜28mの当院からは、熱海海上花火大会で上がる花火を一望することができます」と語る金井洋院長。この地域ならではの医療需要に急性期病院として挑んでいく。

◎多いのは高齢者と観光客

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 1979年に開院し39年間、熱海市における急性期医療を担ってきました。

 初代院長である所安夫氏の養祖父、所郁太郎(1838〜1865)は、大阪の適塾に入り緒方洪庵から医学や蘭学を学びました。そこで得た知識を生かし、1864年に刺客に襲われてひん死の状態の井上聞多(初代外務大臣、井上馨)を助けました。その偉業と医師としての志を引き継いでいこうと、安夫氏は病院名を「熱海所記念病院」としました。

 2009年10月に建てられた現在の建物は144床の6階建てで、4〜6階部分が病棟です。各階に48床ずつ病床があり、4階が回復期リハビリテーション病棟、5階と6階が急性期病棟です。

 熱海市は高齢化が非常に深刻で、2017年度の高齢化率は45.5%。県内3位でした。

 患者の中には自宅や施設で転倒し、大腿骨頸部骨折といった外傷により搬送されてくる方が多くいます。骨折の場合、手術などの処置後は1日も早い在宅復帰を目指して必ずリハビリをします。手術からリハビリまで一貫してできるのが当院の強みです。

 熱海市は豊富な観光資源に恵まれており、観光客数は年間約60万人。特に年に十数回開催される「熱海海上花火大会」は、花火師が最新の花火を打ち上げることで知られ、毎回全国から多くの人が訪れます。

 熱海市に観光に訪れた時にけがや病気をして搬送されてくる患者も多く、名古屋や東京など、遠方に居住する方の入院を受け入れるケースも少なくありません。

◎国内3番目に導入したガンマナイフ治療

 当院では「断らない医療の実践」をコンセプトに、24時間365日体制で救急搬送を受け入れています。脳神経外科、外科、内科など全診療科の医師が交代で当直を担当。当直医の担当領域を越える場合は、CT画像など患者の検査情報を適切な診療科の医師のスマートフォンに送信。必要があれば来て処置をしてもらうオンコール体制を敷いています。この連携がうまくいっており、救急車の応需率は98〜99%と高水準を維持しています。

 もう一つの特長は脳腫瘍の「ガンマナイフ治療」です。

 ガンマナイフ治療実施施設は日本に現在54カ所ありますが、当院は2009年に全国で3番目にガンマナイフ治療機「ガンマナイフ・パーフェクション」を導入し、治療を開始しました。

 ガンマナイフ治療では192個の線源から出るガンマ線を病巣部に集中的に照射します。照射誤差は0.3㎜以内と極めて小さく、他の脳神経を傷つける危険性が少ないため、皮膚炎や脱毛、骨髄機能抑制といった合併症が起きることはほとんどありません。

 病巣が脳の深い位置にあり全摘手術が難しい場合や、開頭手術実施後に病巣が残っている症例にも対応が可能。

 2泊3日の入院で治療が可能であるため、身体的・経済的な負担が少なくて済みます。

 当院にはガンマナイフ治療専任の医師がおり、2009年10月にガンマナイフ治療を導入して2017年10月までの8年間で、約2300例の治療を行いました。

◎欠かすことのできない地域との連携

 熱海市で急性期を担う病院は当院と国際医療福祉大学熱海病院(269床)の2病院のみ。「満床を理由に断らない」というルールの上、救急搬送を受け入れていますが、軽度の患者を入院させることで、当院での入院治療を要する重症患者を受け入れることができなくなってしまう可能性もあります。

 高齢で寝たきりの患者に多い褥瘡は、症状が悪化すると治癒までに時間がかかり、一度入院するとすぐに退院することが難しくなります。ますます高齢化率が上がっていく中で、限られたベットを有効に使っていく。そのためには他の医療機関との連携が必須です。

 当院では、受け入れたが入院治療を要しない患者や、独居で急性期の治療後自宅に帰せない高齢者、長い療養を要する患者を、地域の開業医や行政、福祉と連携しながら最適な受け入れ先にシームレスにつないでいます。

 地域連携室とケースワーカーは、当院のような144床規模では通常2、3人ずつ配置するのが一般的です。当院ではおよそ2倍の5人ずつのスタッフをそれぞれに配置し、地域連携に力を入れています。

 患者は極力地域の開業医に診てもらい、悪化して入院が必要となれば当院で受け入れる。通院が困難な患者が退院する際は訪問診療を担当している先生が来院して、当院のスタッフと共に合同カンファレンスを実施した上で在宅に戻ってもらっています。

 そうすることで「悪くなったらすぐ入院させるのではなく、できる限り在宅で治療する」という地域の医療関係者の意識改革を図っています。

 地域の開業医や施設の担当者、当院からは当直医を除くすべての常勤医が参加する懇談会を、十数年前から当院主催で年に一度実施しています。

 このほか熱海市医師会主催による地域の開業医との懇談会もあり、顔の見える関係ができつつあるように感じています。

◎災害に対する日頃からの備え

 100年近く前に発生した関東大震災の際には、海抜約6mまで津波が押し寄せて海沿いの道が閉ざされたそうです。熱海市から三島市へ続く山側の道も、土砂崩れが発生すれば通行できなくなるなど、熱海市は災害時に外部から遮断されやすいという特徴があります。

 当院では病院食で使用する食材をなるべくこの地域の業者から仕入れることで、院内の備蓄品が尽きて救援物資が届くまでの間も、この地域の中で食料をまかなえるように備えています。

 災害が起きればライフラインは途絶え、飲み水も貴重なものになるでしょう。そこで被災した場合にも少ない水で対応できるように東日本大震災以降、米を無洗米に変えました。

 年に一度、大規模震災の発生を想定した訓練を実施しています。有事には敷地内にある立体駐車場を一時トリアージの場所にして、重症な患者を優先して院内に入れるなど、効率的に診療します。

◎職員が働きがいのある病院運営を目指す

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 2004年に日本医療機能評価機構による病院機能評価を受審した際、「いつでもかかれる心やすらぐ病院」「働きがいのある明るい病院」「地域と共に歩む開かれた病院」という理念を作りました。

 それぞれ患者、職員、地域に向けた理念ですが、私は二つ目の職員に向けたものが特に重要だと考えています。職員が気持ちよく働き、元気で明るくなければ、患者に寄り添うことは難しいと思うからです。

 熱海市には、市内唯一の療養型病院で同じ戸田中央医科グループの「熱海海の見える病院」もあります。協力して熱海市の医療ニーズに応え、地域になくてはならない病院としての役目を果たしていきます。

医療法人 伊豆七海会熱海所記念病院
静岡県熱海市昭和町20-20
TEL:0557-82-3000(代表)
https://atami-tokoro.jp/


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