松山赤十字病院 横田 英介 院長

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1月 新病院北棟開設 地域で最高の医療を

【よこた・えいすけ】 佐賀県立佐賀西高校卒業 1977 九州大学医学部卒業 佐賀県立病院好生館(現:佐賀県医療センター好生館) 1979 米テキサス州立大学オースチン校留学 1983 九州大学医学部附属病院(第一内科) 1989 日本赤十字社松山赤十字病院内科部長 2003 同副院長 2014 同院長

 2014年から7年間の計画で新病院の建設工事を進めている松山赤十字病院。第1期工事が終了し、2018年1月に新病院北棟がオープンした。新病院の特徴などを聞いた。

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―新築の経緯について。

 既存の建物は1980年頃までに建築したもので老朽化や狭あい化が進行しています。2001年の芸予地震では当院も甚大な被害を受けました。南海トラフ巨大地震の発生が想定される中で、災害拠点病院としての使命を果たすためにも新病院の建設が喫緊の課題でした。

 しかし、病院の敷地が狭く現地での建て替えは難しい。松山市内の別の場所への移転や新築も検討しましたが、現在地のように市中心部でアクセスの良い場所が見つかりませんでした。

 そのような時、隣接する松山市立東雲小学校が校舎の老朽化によって建て替えをすることになりました。併せて隣接する東中学校と小中連携校として建設するため、土地が余ることに。国、愛媛県、松山市などと協議の結果、東雲小学校の敷地(国有地)の一部を活用して現地での建て替えが可能になったのです。

 こうして新病院建設工事は2014年10月に着工。1期工事として「北棟」が昨年10月に竣工。年末に引っ越しなどを終え今年1月4日にオープンしました。

 建設にあたって重視しているのは診療機能を維持しながら進めること。工期は通常より長くなりますが、今後も患者さんに極力ご迷惑をかけることのないように努めていきます。

―完成した新病院北棟の特徴などを。

 新病院北棟は6階建てで免震構造です。一部を除く外来診療部門、病院機能として重要な中央手術室、放射線診断・治療部門、病棟としては成育医療センター周産期部門、リハビリテーション部門、健康管理センター、管理部門などが入っています。

 北棟で特に力を入れたのは手術室です。これまでの手術室は増改築を繰り返し、新たに医療機器を整備していく中で手狭になり、きわめて使い勝手が悪くなっていました。旧病院では10室だった手術室を12室に増やし各部屋も用途に合わせて十分な広さに拡張しました。新たにハイブリッド手術室(1室)、バイオクリーン手術室(2室)、陰圧手術室(1室)も設けました。

 今回、現場からの強い要望があり「映像統合システム」を手術室すべてに導入しました。各室の手術の様子などをモニターに映して、ある1カ所の部屋で全室の手術を見ることができるというもの。すべての手術室の手術画像を記録することもできます。

 記録した手術画像は、同じ科の中で共有したり、別の医師の手術を見たりすることもできます。手術画像を参考にしながらカンファレンスをすることも可能です。

 システムの導入によって手術を客観的に振り返ることができ、安全な外科手術の遂行にも寄与します。医療安全の観点からも重要なツールになると考えています。

 また、最近は専門医資格の取得のために、医師が自分で実施した手術画像を提出する必要もありますので、そのような場合にもスムーズに対応できます。

 放射線診断・治療部門にも最新の医療機器を導入しました。FDG―PET装置を新たに導入、MRI装置はすべて3.0テスラに更新しました。また、世界で初めて、MR(磁気共鳴)信号をデジタル化できる最新の高速撮像法を搭載したMRIも導入。高画質でさらなる検査時間の短縮が可能となりました。

 多列CT装置は80列が2台、64列が2台稼働、幅広い検査に対応できます。また放射線治療機器(リニアック)も最新機種に更新されました。

 1階、2階には、一部を除く外来診療部門が入りました。がんの外来化学療法を行う「化学療法センター」は従来の10床から24床に増床。かつては入院で化学療法を受ける人がほとんどでしたが、現在は外来治療が中心になり対応できる環境が整いました。

 また併設する形でリウマチ科の関節リウマチ、消化器内科の潰瘍性大腸炎やクローン病、皮膚科の乾癬(かんせん)などに対する生物学的製剤を使った治療を行う「免疫統括医療センター」を新設したのも他にはない特徴です。

―成育医療センターにも力を入れています。

 「成育医療センター」は2004年に開設しました。女性が妊娠した時点から産科医や小児科医などが連携して、子どもと母親、家族を医療、福祉、心理面から総合的に支援しようという狙いがあります。

 松山市の出生率は年々低下していますが、高齢出産の増加などによって妊娠糖尿病や前置胎盤といったハイリスクの妊娠、出産は増加。それに対応する高度な医療が求められています。

 北棟には病棟部門で成育医療センターの周産期部門だけが入りました。病床20床のうち3床をMFICU(母体胎児集中治療室)にしました。

 また陣痛、分娩、回復までを同じ部屋で完結できるLDRを3室造り、そのうち1室は畳のあるスペースを設けた院内助産用LDRです。家族の立ち会いなど、フリースタイルの分娩に対応できるようにしています。

 周産期、小児期、思春期などのさまざまな成長過程での悩みに対応する専門のカウンセラーもいます。

 最近では、増加する発達障害児への対応として、当センターのカウンセラーが地域の小学校などに出向き、学校や保護者を支援する体制構築にも取り組んでいます。

 6階にはリハビリテーション部門が入りました。最上階で景観も良く屋外のテラスでのリハビリも出来ます。

―課題は。

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 松山医療圏には愛媛県立中央病院、国立病院機構四国がんセンター、愛媛大学医学部附属病院などの大規模病院があります。2025年に向けて地域医療構想が策定され地域医療調整会議の場で協議が始まっています。

 当院は医療法が改正され、地域医療支援病院が制度化された1997年に、当時の白石恒雄院長が地域医療連携室を立ち上げました。渕上忠彦消化器内科部長(2003年に院長に就任)が地域医療連携室長として連携に取り組み地域完結型医療を実践してきました。

 引き続き地域医療支援病院として地域の医療機関などと連携しながら、救急医療、がん診療、周産期、小児医療を中心にして、高度専門医療に取り組んでいかなければならないと考えています。

 その中で当院に求められる役割を見極め、北棟での診療を充実させ、さらに2期工事の南棟建設に向けて新病院建設を進めていきたいと思っています。

 南棟完成後のグランドオープンは2021年秋ですから、まだまだ時間がかかります。しかし、診療報酬の改定を含め医療環境が大きく変わる中では、むしろその動きを見極めながら新病院建設を進めていけるのは好都合とも思っています。

 これからもビジョンにかかげる「地域を支える最高の急性期病院」を目指していきます。

日本赤十字社松山赤十字病院
松山市文京町1
TEL:089-924-1111(代表)
http://www.matsuyama.jrc.or.jp/


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