地方独立行政法人 広島市立病院機構広島市立舟入市民病院 柳田 実郎 病院長

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「人間力の集大成」で結果を出す1年に

【やなぎだ・じつろう】 1979 山口大学医学部卒業 1986 米バージニア・メイソン研究所研究員 1989 広島大学医学部第2内科 1990 広島鉄道病院(現:医療法人JR広島病院)呼吸器内科部長 2002 同診療部長 2010 安芸市民病院副院長 2013 広島市立舟入病院(現:舟入市民病院)副院長 2014 同病院長

 120年を超える歴史の中で、広島市の小児医療の要として奮闘してきた広島市立舟入市民病院。病院の新たな方向性を模索している今、柳田実郎病院長が考える「これからの1年」を語ってもらった。

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◎小児科医の働き方をどう変えていくべきか

 24時間365日体制で小児一次救急を担う小児救急医療拠点病院であり、また第二種感染症指定医療機関として万が一の事態に備えています。当院は1895年に感染症患者を収容する病院として設立した経緯もあって、地域貢献を第一にした医療機関としての役割を果たしてきた歴史があります。

 感染症については現在の建物が完成した1998年からこれまでの間に入院患者は1人、期間は1週間。2009年に起こった、豚インフルエンザウイルスによるパンデミックです。

 2014年に当院と広島市民病院、安佐市民病院、広島市総合リハビリテーションセンターが地方独立行政法人広島市立病院機構に移管されたタイミングで、7階の感染症病棟は実情に合わせて50床から16床に再編。フロアを全体的にリニューアルしました。

 個室四つ分のスペースを3部屋に改装。ゆとりある空間にしました。狭くて使い勝手がいいとは言えなかった大部屋は人数に合わせてレイアウトを変更可能。ICUのようなイメージで、周囲に人工呼吸器やモニター類などの機器を設置できます。病床減によって生まれた空きスペースは、リハビリテーション室として活用しています。

 小児救急の動向に関しては子どもの数が減少しているとはいえ、ニーズが落ち込んでいるわけではありません。例えば乳幼児期の子どもに多いRSウイルス感染症のシーズンともなると、患者さんが押し寄せます。小児特有の疾患のピークに1年を通じて対応できるよう、医師の確保に注力しているところです。

 しかしながら、人数としては常勤と非常勤、後期研修医も合わせて10人ほど。なかなか数を伸ばせず苦戦しているのが現状です。当院が十分に機能しなくなれば、広島市全体の小児医療の停滞につながってしまう。そんな危機感を常にもっています。ただ、幸いにも広島の小児科医の結束力はかなり強いのです。広島大学や開業医の先生と助け合って維持することができています。

 広島大学小児科の小林正夫教授が中心となったタスクフォースが組織されるなど、これからの広島市の小児医療をどうしていくか、その議論が本格化しています。

 当院としては一次救急の一方で、個々が望む専門性も高め、得意分野を発揮できる。そんな働き方ができる環境をつくりたい。医師のキャリアに対するモチベーションをいかに維持していくかが一つのポイントだととらえています。

 具体的な形にはなっていませんが、広島大学に対して、もっと活発な人事交流ができないだろうかと提案しています。当院の常勤医師などが大学や関連病院を行き来していく中で、やりたいことを実現していける仕組みがつくれないものか。働き方改革の一環として新しいことができたらと思っています。

◎「統一感」ある組織に

 2017年3月に、日本医療機能評価機構の病院機能評価を受審しました。実は、2006年に一度認定されていたものの、さまざまな事情によって更新していなかったのです。要因の一つは目の前の診療に必死で、長期的な目線で病院を捉える余裕がなかったからではないかと思います。

 私が2013年に当院に赴任して最初に感じたのは「統一感が足りないのではないか」ということでした。舟入市民病院は156床の規模。きっかけさえあれば、うまくまとまっていくにちがいない。そう考えて、再び病院機能評価の審査を受けることを目標の一つに掲げました。

 受審の準備を進めていくにあたり、多職種で構成されたプロジェクトチームをできるだけたくさんつくりました。若手の職員も必ず何かのチームに所属。他の部門の人とコミュニケーションを図りながら意見を出してもらいました。

 各種のマニュアル類なども見直すことができましたし、あいまいな部分があった組織図も整理された。コミュニケーションも深まった。真に統一感のある組織になるにはまだまだ足りない部分もあるかもしれませんが、受審の準備に費やした1年間で多くの職員の意識が変わったと感じます。

◎広がる守備範囲

 2016年から2017年にかけて、外部のコンサルタントなども迎えて「舟入市民病院のありかた検討委員会」を設置しました。コンスタントに会議を開き、当院には何が不足していて、どんな方向を目指すべきか、さまざまな視点で話し合いを重ねました。

 将来的に当院が軸足を置くべきはサブアキュート、ポストアキュートを対象にした医療だろうと思います。外来で通うのが難しかったり、長期の入院が必要だったりする高齢の患者さんを主に受け入れていくことになるでしょう。

 広島市民病院で救命救急センター長を務めていた井上一郎医師が、2017年4月に当院の副院長兼健康管理センター長に着任しました。

 当院で長らく不在だった循環器領域を専門としていて、心不全の患者さんを中心に診療しています。また、健診の受診者数を増やすために、地域に出かけるなど啓発活動にも積極的です。

 井上医師が加わって広島市民病院でカテーテル治療などを終えた患者さんのバックアップの役割を担えるようになりましたし、開業医の先生方の信頼も高まっています。守備範囲が広がったことで、今後に向けた地盤づくりが一歩進んだのではないかと思います。

 そしてこの4月から、週に一度、整形外科医が勤務することになりました。当院には整形外科医がいないため、入院患者さんが転倒で圧迫骨折を起こしたときなど、自分たちでケアすることができなかったのです。

 10床の地域包括ケア病床がなかなか埋まらない状況が続いていましたので、院内で整形外科領域をカバーできるようになることの意味は大きい。病床の拡充を目指し、まずは実績を重ねていきたいと考えています。

◎もう一度奮起を!

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 重症心身障害児者の医療型短期入所事業を開始して1年半が経過しました。広島市中区をはじめとするいわゆる旧市街には、これまで重症心身障害児者のレスパイト入院が可能な施設がありませんでした。現在は2床で運用していますが、マンパワーが整えば増床していきたい。ニーズは高いと感じています。

 2019年3月をもって私は定年を迎えます。病院機能評価の受審、あり方検討委員会の設置、2015年の開設120周年記念イベントなど、赴任当初にイメージした主な計画は実行できた一方、病院の土台づくりという意味では、まだやり残したこともあります。

 内科、外科で紹介患者さんが増えつつあり、広島市民病院との連携強化で、ポストアキュートの患者さんも一定数を受け入れるようになってきました。結果、2015年度、2016年度は黒字化を達成しました。しかし、2017年度の見通しは厳しいですね。だから、もう一度みんなで奮起したい。

 単に収益を上げればいいという話ではなく「人間力の集大成」で挑みたいのです。職員一人一人が自発的に動いて、患者さんが喜んでくれる。そんな病院を目指す1年にしたいですね。

地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立舟入市民病院
広島市中区舟入幸町14-11
TEL:082-232-6195(代表)
http://funairi-hospital.jp/


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