社会医療法人 岡本病院(財団)京都岡本記念病院 土井 修 副理事長・病院長

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京都南部の急性期医療を担う

【どい・おさむ】 京都府立西舞鶴高校卒業 1975 京都大学医学部卒業 同附属病院内科研修医 1976 倉敷中央病院内科研修医 1991 同循環器内科副主任部長 2006 静岡県立総合病院副院長 2014 第二岡本総合病院(現:京都岡本記念病院)病院長社会医療法人岡本病院(財団)副理事長

 京都府宇治市から現在地に移転して1年半が過ぎた京都岡本記念病院。移転の計画段階から陣頭指揮を執ってきた土井修副理事長・病院長が3月、退任を迎える。

◎宇治市から3kmの久御山町へ移転を決断

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 1906年に開設した岡本医院を発祥とした京都市伏見区の「伏見岡本病院」。そのグループ病院として1979年に宇治市に開設したのが「第二岡本総合病院」です。

 2016年5月に、宇治市から3kmほど西に離れた京都府久世郡久御山町に移転新築しました。7階建て、延べ床面積は約3万㎡と旧病院の3倍。また、移転の際には病院名を改称し「京都岡本記念病院」として生まれ変わりました。

 新病院建設のきっかけは建物の老朽化でした。旧病院は東西2棟でしたが、開設時に建設された建物もあり全体的に手狭となっていました。

 特に、近年は放射線機器などを中心に医療機器が大型化しているため、それらを入れるスペースを確保するのがだんだん難しくなっていました。

 宇治市内での移転も検討されましたが残念ながら土地の確保が難しかった。一方、久御山町では約3万㎡という敷地が見つかりました。

 木津川沿いにある久御山町は、京都駅から直線で15kmほど南下したところにあります。京都市伏見区、京都府宇治市、城陽市、八幡市、長岡京市、大阪府枚方市に囲まれています。京都と大阪の交通の要所でもあるので、地域の急性期病院として、広域からの来院も増加すると考えました。

 開院してみると、実際宇治市からの紹介患者数はほとんど変わりませんでした。全体の紹介患者数は1.5倍で、特に城陽市、八幡市からの紹介が増えています。

 また、新病院にはヘリポートを新設。搬送されてくる患者の居住範囲が広がり、ドクターヘリでの搬送も着実に増加。旧病院と比較すると、救急患者数の受け入れは1・3倍です。

 これまでのわれわれの役割は「宇治市の急性期病院」でしたが「京都南部の急性期病院」へとその役割が広がっていると考えています。

◎要は画像診断と病理診断

 新病院のコンセプトは「地域を支える急性期の中核病院を目指す」ことです。「救急医療」「がん医療」「循環器医療」を診療の三つの柱と考えています。

 その前提として、画像診断に力を入れています。MRIは1.5テスラ、3.0テスラの2台、血管造影装置も3台、新病院開院を機に導入しました。最新の医療機器による最良の画像診断を2人の専門医が実施しています。

 常勤の病理専門医も2人。がんの術中迅速診断など病理検査を実施する病理専門医は、病院の質を高める上で極めて重要です。

 当院は京都府の二次救急指定病院です。新病院になり、年間約4000件を超える救急患者を受け入れるようになりました。久御山町は、交通の要所でもありますから、交通事故などの患者が増えています。

 当院の受け入れ体制の充実が救急隊に認知されるに従って、重症の救急患者も増えています。旧病院では、救急患者さんの入院率は約30%でしたが、新病院となって約50%に増加しました。内訳としては循環器系疾患の比率が高いです。

 また、当院では特に脳卒中の患者さんを多く受け入れており、年間500件程度にまで達しています。院内に脳卒中センターを設けており、神経内科と脳神経外科がタッグを組んで治療をしています。ここではt―PA(血栓溶解療法)やカテーテルによる血管内治療などの内科的治療、開頭クリッピング術、減圧開頭手術といった脳神経外科手術まで対応します。

 受け入れる患者数がまだ十分とは言えない心筋梗塞に対応するため、今年4月からは医師の派遣などを含めた連携を京都府立医大と進めることになりました。これによって循環器内科の充実を図ります。

 かつては、病院の常勤医が60人弱。それが、新病院となって徐々に増加してきました。今年4月にも増員しますので90人体制になります。

◎包括的ながん治療

 2015年に国から「地域がん診療病院」の指定を受けました。

 当院のがん治療の特徴は、がん治療を包括的に実施できる体制が整っていること。診断に始まり、手術、化学療法、放射線治療、緩和医療に対応しています。

 一人ひとりの患者さんやその家族を、多職種チームでサポートするのも特徴です。年に3回程度、地域でがん治療に関わる院内外の医療者が参加し、勉強会を開いています。毎月1回、患者を紹介いただいた開業医も加わってキャンサーボードも実施しています。

 緩和ケア病床が10床あり、在宅で状態が悪化した場合などは、ここでいつでも患者さんを受け入れます。

 当院の緩和ケア病床には定期的に僧侶に来ていただいています。病棟の一角で僧侶がたてたお茶をいただきながら話している患者さんの様子を見ると、このような取り組みも重要なことだと感じます。

 がん患者をはじめ在宅患者を診る開業医の先生方にとって重要なのは、急変時に患者さんを受け入れられる病院があることではないでしょうか。

 当院は地域医療支援病院として、開業医の先生と患者さんを一緒に診ていくという意識を共有し、患者さんにも理解していただこうと、宇治久世医師会と合意の上で「二人主治医制」を打ち出しています。

 また、患者さんに安らぎを与えられるような病院づくりにも配慮。エントランスは、天井を高くしてゆったりとした空間にしました。ここには銅版画家の山本容子さんの作品があります。患者さんの気持ちを元気にしてくれるような作品に仕上げてくれました。

 廊下の手すりなど院内の各所で木材を使い、温かみを感じてもらいたいとも考えました。

◎被災者500人を収容可能な建物

 京都府から災害拠点病院として指定を受けています。これに伴い、日本DMAT(災害派遣医療チーム)は3隊、京都府指定DMATが1隊と合計4隊があります。

 この病院は災害時、エントランスに300人、講堂に200人を受け入れられる設計です。敷地内の備蓄倉庫には、被災者1500人、3日分の食料、飲料水も備えています。今後も、地域の災害医療に対応できるよう指導的役割を担っていきたいと考えています。

◎岡本精神を受け継ぎながら

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 「この人はわが子、わが親、わが兄妹」。患者さんに深い愛情をもって接していくようグループの病院憲章にそう記されています。「岡本精神」とも言うべきその心は、職員に脈々と受け継がれています。

 私は、その精神をもとに、京都南部の急性期医療を支える中核病院をつくりたいという夢をもって院長職を務めてきました。夢の実現の基盤となる病院建物が完成したことを、本当にうれしく思っています。

 最初は新病院の規模の大きさに戸惑っていた職員もようやく慣れてきたと感じています。

 職員それぞれの技量にはまだまだ伸びしろがあると思いますが、今は職員全員が同じ目標に向かっているという大きな力を感じています。

社会医療法人 岡本病院(財団)京都岡本記念病院
京都府久世郡久御山町佐山西ノ口58
TEL:0774-48-5500
https://www.okamoto-hp.or.jp/oka2/


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