宮崎大学医学部 内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野教授 会長 中里 雅光

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【第91回日本内分泌学会学術総会】今、内分泌学がオモシロイ。

【なかざと・まさみつ】 ラ・サール高校卒業 1980 宮崎医科大学医学部(現:宮崎大学医学部)卒業 2003 同内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野教授

 4月26日(木)から28日(土)までの3日間、宮崎市で「第91回日本内分泌学会学術総会」が開催される。会長を務める中里雅光教授に、総会の狙いなどについて聞いた。

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―学会テーマに込めた想いは。

 本学会テーマを「今、内分泌学がオモシロイ。」としました。

 宮崎医科大学の初代生化学教授だった松尾壽之先生による「LH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)」構造決定の講演を聞いて興奮したのは、私が大学5年生の時でした。

 わずか3カ月で成し遂げたANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)の同定や、合計で50種類を超える生理活性ペプチドの発見...。松尾先生や寒川賢治先生のホルモン検索研究を大学院時代に身近で見て学び、「おもしろい」と感動したのも忘れられません。

 さらに当講座の先代教授、故・松倉茂先生のもとでACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の測定や内分泌の臨床に触れ、この思いをさらに強くしました。

 内分泌分野の魅力を感じているのは、私だけではないでしょう。今もなお、学術的なトピック、注目の技術やアプローチに満ちています。ますます進歩する内分泌学への期待を込めて、このテーマを設定しました。

 一般演題へは857題もの応募をいただきました。参加人数は3500人を見込んでいます。

―見どころとなるプログラムは。

 内分泌学分野のおもしろさを満喫していただくために、最先端で活躍するトップ研究者や海外製薬剤メーカーの執行部を招きました。同時に、医学関係者だけでなく、社会学や行政、教育機関や企業などからさまざまな専門家を招き、多様な内容をそろえました。

 まずは、「今、内分泌学がオモシロイ。」、「医学研究の未来」、「グローバル・ファーマが見据える将来戦略」の三つのテーマで講演いただく特別シンポジウム。

 ここでは、研究者、研究開発機構、海外製薬企業のトップなどが、それぞれの視点から内分泌学のすばらしさや医学・医療の未来についてセッションします。

 「スポーツの力が未来を拓(ひら)く」をテーマとする特別公開フォーラムは、内分泌学研究のおもしろさを象徴しています。

 スポーツにおけるホルモンの重要性について、ソウルオリンピックの金メダリストである鈴木大地・スポーツ庁長官と、自らもトライアスロンやフルマラソンに挑戦し、日本代表チームの合宿やプロスポーツチームのキャンプを積極的に地元へ誘致する河野俊嗣・宮崎県知事が講演。

 また、筋力や筋肉量に影響するホルモンとアンチドーピングの関係性についての講演もあり、多分野間での内分泌とスポーツの知識交換の場を創出します。

 15歳〜30歳前後の「AYA世代」の代謝や内分泌疾患の治療について講演いただくシンポジウムは、特に注目です。

 心身の発達、思春期から進学、就職、結婚へとライフステージの変動が大きいAYA世代は、内分泌の病気が多い年齢層とも重なります。

 小児科、内科と限定せず、横断的に治療・ケアしていく仕組みについてのセッションは、医療に限らず、現代社会全体において重要で新しいテーマを議論する場になるはずです。

 また、最新の内分泌代謝研究技術の講演では、遺伝子編集や、単一細胞解析の研究技術、脳や内臓の透明化技術、iPS細胞による再生医療や3次元組織構築など「オモシロさ」満載の内容です。

 医学にとどまらず文化的視点を取り入れたのも今回のプログラムの特徴です。元国立西洋美術館館長で、絵画・美術評論家である高階秀爾・大原美術館館長の講演では、日本美術のすばらしさに触れていただけます。

 この文化的講演は、参加者の視野をさらに広げることにつながるでしょう。進み続ける医療技術をどこまで使えばいいのか、医療哲学や倫理を考え、議論する契機ともなり得るのではないかと考えています。

―医学の国際化に向けて。

 本学会の国際化と国際情報交流を目的として、海外からの一般演者を広く募集し、渡航費を補助しています。若手育成のため、指導形式のプログラムや表彰制度も導入しました。

 結果、スリランカ、パキスタン、インド、ネパール、米国、オーストラリア、スウェーデンなど、世界の国々からの多くの一般演者をお招きできる予定です。

 競争率4倍となった英語発表では国内外の23演題を選びました。発表後、国際的な研究発表のアプローチ方法や研究・統計データの見せ方といった、改善点をその場でレクチャーするなど、若手医師の国際的な情報発信技術の向上を図りたいと考えています。

 また、アジア開発国の医療現状についての発表も予定しています。日本医療がアジアで、世界で、果たすべき役割や可能性を探りたいと思っています。

―最後に。

 本学会では、内分泌分野とその先の医学全体が興味深くおもしろさであふれていることを実感していただけるよう、多角的視点でプログラムを構成しました。

 また、会長招宴では宮崎のすばらしさを満喫していただけるよう、地元特産の宮崎牛やマンゴー、本格焼酎を用意。ご家族向けには海岸線のエクスカーション(見学会)も充実させました。ファミリーで満喫できる学会としても楽しんでいただけたらと考えています。

JES 2018 MIYAZAKIIt's not just a conference,it's a community.

第91回日本内分泌学会学術総会

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【特別講演1】

「未知のペプチドへの挑戦」
寒川 賢治(国立循環器病研究センター理事)

【特別講演2】

「自己免疫病と制御性T細胞」
坂口 志文(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)

【特別講演3】

「西洋の美・日本の美」
高階 秀爾(大原美術館館長)

【特別シンポジウム1】

「今、内分泌学がオモシロイ。」
演者:松尾 壽之(国立循環器病研究センター名誉研究所長)、井村 裕夫(京都大学名誉教授)、柳沢 正史(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授)

【特別シンポジウム2】

「医学研究の未来」
演者:永井 良三(自治医科大学学長)、菱山 豊(国立研究開発法人日本医療研究開発機構理事)

【特別シンポジウム3】

「Global pharmaが見据える将来戦略」
演者:Mr. Henri Nico Dood(s Vice President and Global Headof Research Beyond Borders, C.H.Boehringer Sohn AG & Co.KG)、Ms. Marie-Pierre Hellio Graverand-Gastineau(Memberof The Bord / Vice President, Head of Development Japan,Pfizer Japan Inc.)

【特別公開フォーラム】

「スポーツの力が未来を拓く」
演者:鈴木 大地(スポーツ庁長官)、河野 俊嗣(宮崎県知事)

会期

4月26日(木)~28日(土)

会場

フェニックス・シーガイア・リゾート

運営事務局

コンベンションリンケージ
TEL:092-437-4188

学会HP

http://www.c-linkage.co.jp/jes2018/


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