医療法人七徳会 大井病院 中薗 紀幸 院長

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救急を原点に地域医療を守り抜く

【なかぞの・としゆき】 宮崎県立宮崎大宮高校卒業1989 宮崎医科大学医学部卒業 同附属病院脳神経外科研修医 1992 宮崎大学医学部附属病院脳神経外科医員 1993 同助手 社会医療法人青雲会青雲会病院脳神経外科 1999 宮崎県立日南病院脳神経外科医長 2013 医療法人七徳会大井病院 2016 同院長

 鹿児島の偉人・西郷隆盛が「西郷どん」と呼ばれるように、地域住民から親しみと信頼を込めて「大井どん」と呼ばれる大井病院。中薗紀幸院長に専門の脳神経外科と地域医療について聞いた。

◎脳梗塞に対する血栓回収術を導入

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 当院では理事長と私の2人が専門医として脳神経外科を担当しています。姶良市の中核病院として24時間救急体制を敷き、必要十分な検査・診療体制を構築。脳血管障害や頭部外傷の急性期治療を集中的に行うほか、専門的なリハビリテーションにも対応しています。

 今、社会の高齢化に伴い、脳血管障害が増えています。特に脳梗塞の治療は、血流を再開させるまでの時間をいかに短くするかが勝負です。

 現在、標準的な治療として「t-PA」という血栓溶解剤が広く使用されていますが、これは発症から4時間半までしか使えず、中には適応できない患者さんもいます。

 そこで、t-PAによって症状の改善が認められない場合や適応外の症例に対して、カテーテルを用いた脳血管内治療が行われるようになり、近年では特殊なデバイスを用いて血栓を体外に回収する「血栓回収術」に注目が集まっています。

 当院でも脳梗塞の救命率向上を目指して、昨年末から血栓回収術を導入しました。これにより、以前は連携医療機関に搬送していたケースでも24時間体制の診療が可能になりました。

 このように当院では、脳神経外科領域において、専門機関と遜色のない医療を提供できると自負しています。今後も新たな技術を積極的に取り入れながら、質の高い医療の維持に注力していきたいと考えています。

◎脳神経外科医の過去・現在・未来

 私が研修医になった頃は脳内出血による手術も多く見られましたが、高血圧の治療が進歩・安定した今、脳内出血による手術は極端に減少しています。現在、当院の脳神経外科の年間手術症例数は30〜50件で、その多くが高齢者の頭部外傷を契機とした慢性硬膜下血腫です。

 脳神経外科というと、手術中心のイメージがあるかもしれませんが、近年では高齢化に伴う脳血管障害に対する点滴や投薬などの内科的治療を担当するケースが増えています。これは、地方の中核病院に勤める脳神経外科医なら誰もが同様の状況にあるのではないでしょうか。

 今後さらに高齢化が進み、脳血管障害が増えると予想されるのに対して、地域の脳神経外科医は圧倒的に不足しています。また、術後の患者さんへの対応・亜急性期治療の重要性から、リハビリ医としての需要も高まると考えられます。当院でも、若手医師の確保は最重要課題の一つです。

◎地域に根差した救急医療を目指して

 1926年の開院以来、「医療の原点は救急にあり」という理念を掲げています。しかし、私が当院で働き始めた2013年当時の救急体制は惨たんたる状況で、救急を標榜しているにもかかわらず、救急車をほとんど断っていたのです。そこで、私が院長に就任してからは、救急車の受け入れ台数を増やすことを目標としてきました。

 救急医療、地域医療に携わる医師の数が減ってきていますので、依然医師の確保は厳しい状況にありますが、当院は看護師だけでなく、放射線技師が交代で常駐しているのが特徴です。そのため、24時間体制でCTやMRIによる画像検査ができ、迅速な診断が可能です。

 その結果、2016年以降は救急車応需率を80%台にのせることができています。ただし、地域に根差した救急医療を提供するためには、より多くの救急車を受け入れなければなりません。まずは応需率90%、いずれは100%を目指して、今後も一層の努力を続けていくつもりです。

◎新病院、その展望

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 2020年4月のオープンを目標に新病院建設を計画しています。去年1年かけて会議を重ねて、急性期病棟50床、地域包括ケア病棟50床、回復期リハビリテーション病棟20〜30床を基本構想とすることが決定しました。

 今の病院は増改築を繰り返してきて、動線が悪く、残念ながら患者さんにとってホスピタリティーが高いとは言えません。新病院は、患者さんが過ごしやすく、職員が動きやすいことを第一に考えています。その上で、今後1年間で地域のニーズを把握し、どのような病院づくりが求められているのかを設計図に反映させて、2019年春までには着工する予定です。

 院長として、強化したいポイントが三つあります。まず、一つ目は災害に強い病院にすることです。病院という施設は、医療機能を持続させることが最も大きな命題です。当院は現在、災害拠点病院に指定されてはいませんが、それに準ずる役割を担う病院づくりを目指しています。

 また、万が一、桜島が大噴火した場合、津波の襲来が予想されます。そうなると、高層にアクセスポイントを作ることが必要なため、ヘリポートの設置を検討しています。

 二つ目は、HCUに準ずる高度な治療室の新設です。従来のICUやHCUは救命最優先で、患者さんのプライバシーがおざなりになっていることは否めません。そこで、患者さんやご家族の個を尊重しつつ、アメニティーとプライバシーを高める療養空間の創出を検討しています。当然、他の病床も同様の理念の元に設計が進められます。

 三つ目は、リハビリテーション部門の充実です。当院では現在、脳神経外科と整形外科領域のリハビリに対応していますが、他領域への拡充も含めて、スタッフや施設の質の向上に取り組んでいきたいと考えています。

 地域医療構想の策定が進み、急性期病床が削減される一方、当院のある姶良・伊佐医療圏は、高齢化率が高く、特に高齢者夫婦のみの世帯や、高齢者単独世帯が多い地域です。

 そんな方々が体調を崩した時、真っ先に頼れる病院でありたい。地域の方々に「大井どん」と信頼され続ける病院をつくるのが、私の使命です。

医療法人七徳会 大井病院
鹿児島県姶良市加治木町本町141
TEL:0995-63-2291
http://ooihp.jp/


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