医療法人泯江堂 油山病院  三野原 義光 理事長・院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

講座開催や安全見守り...「社会貢献」が推進力

【みのはら・よしみつ】 1989 埼玉医科大学医学部卒業福岡大学精神医学教室入局 1996 福岡大学医学部助手 1999 医療法人泯江堂理事・油山病院医局長 2001 同法人副理事長 2002 油山病院院長 2007医療法人泯江堂理事長

 医療法人「泯江堂」には、「和」「活力」「信念」の基本理念に加えて、利用者、地域、職員それぞれに対する"約束"がある。

 「地域社会との調和を重視し、『こころの健康』を支えます」。地域に対するこの宣言を実現するために始めた社会貢献活動は、さまざまな面で効果をもたらしている。

―具体的な活動について聞かせてください。

k12-1-1.jpg

 地域に住む方を対象とした認知症予防講座を年3〜4回開催。年1回、小学校に出向いて講師も務めるなど、認知症サポーターの養成にも関わっています。

 地域の安全を見守る活動として、青色灯をつけた車で校区内を周回する「青パト乗車活動」、登下校の時間帯の「交通安全旗振り活動」も約10年継続。ペットボトルキャップを集めて開発途上国のワクチン代につなげる「エコキャップ運動」や、楽器演奏などの特技がある職員による障害者施設慰問もしています。

 かつては、どれもボランティアとして実施していましたが、2017年9月に法人内で活動内容や担当を整理。専門職の配置が必要な認知症の予防講座とサポーター養成講座は、勤務時間内に業務として実施するようになりました。

―地域貢献活動に取り組んできた背景を。

 「精神疾患がある患者さんと油山病院について知ってほしい」という思いが根底にあります。精神科の病院は、他の診療科の病院よりも「ハードルが高い」。ですから地域の方との距離感を縮めたい、理解してもらいたいという思いが強いのかもしれないですね。

 近年は社会的入院を減らそうという流れが加速しています。精神科の患者さんも「地域で暮らす」時代になりました。精神疾患や精神疾患がある患者さんに対する地域の理解が不可欠なのです。

 さらに言えば、統合失調症、うつ病、認知症などの精神疾患は「誰もがなる」可能性があります。あらかじめ病院について知ってもらっていれば、何か困ったことがあったり、悩んだりした時に気軽に頼っていただけるのではないか。地域の人にとって、そういう存在になりたい、という気持ちもあります。

―文化祭にも多くの方が訪れるそうですね。

 毎年秋に文化祭「みんみん祭」を開催。歌やダンスのショー、工作体験や飲食の出店、油山病院スタッフによる「こころの悩み・介護相談」や物忘れチェックのコーナーなどで構成し、乳幼児からお年寄りまで、あらゆる世代が楽しめるように工夫しています。

 さらに他病院ともコラボレーション。昨年は村上華林堂病院と連携して眼科、一昨年は福岡歯科大学の協力で口腔内といったように、地域の方のニーズに合わせた相談ブースを設置しています。

 文化祭は患者さんの社会経験、治療の場。同時に地域の方に楽しみながらわれわれの病院や患者さんについて知っていただく機会でもあります。

 文化祭を始めた2007年からしばらくは、祭りで地域の方が患者さんとすれ違うとき、身構えるような姿も見られていました。しかし、今はほとんどありません。地域貢献活動との相乗効果もあり、「受け入れられてきている」という手応えを感じています。

―活動によって法人内に変化は。

 各職員が社会貢献活動で得た人脈・経験が、日々の仕事にもフィードバックされる。そんな場面が増えています。院内でのイベントには毎回地元自治会の方が来てくださるなど、地域の方との距離が確実に近づいている。「地域の一員」であるという実感が職員の中にも浸透してきています。

 地域の人に「見られている」と意識する機会や頼られることが多くなり、必然的に医療人としてのモラルアップにもつながっていると思います。

―今後の目標を。

 まずは、今取り組んでいることを地道に続けること。その次に目指すのは地域の要請に応えるべく、訪問看護の体制を充実させることです。

 当法人は精神科の訪問看護ステーション「あいりす」を1997年、市内で初めて開設しました。看護師、作業療法士など14人のスタッフが約300人の在宅生活・療養を支援。1日に70人ほどを訪問しています。

 当院に入院していた方が在宅に戻る場合には、精神疾患が再発していないか、薬の量の調整は必要ないかなど、継続的に診ていくべきことが多い。病院と在宅では患者さんの様子が違うことも多々あるため、訪問するメリットは大きいと思います。今後は24時間体制の導入を視野に、訪問看護に関わる人員を増やし、充実させていくつもりです。

―そのほかには。

k12-1-2.jpg

 先進医療も積極的に導入していきます。

 うつ病などの確定診断を補助する「光トポグラフィー検査」を2017年4月に開始。同年10月、「MCI(軽度認知障害)スクリーニング検査」も始めました。

 難治性精神疾患や自殺念慮が強い方に対して全身麻酔下で施行する、安全で効果が高い治療法「修正型電気けいれん療法(mECT)」は現在導入準備中。磁気刺激によって脳活動を回復させる、うつ病などの新しい治療法「反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)」の開始も検討しています。

 治療抵抗性の統合失調症への効果が期待できる「クロザピン(商品名:クロザリル)」を使った治療にも取り組んでいます。この薬は重篤な副作用の恐れがあるため、使用する医療機関は登録が必要です。

 先進的な医療は県外、時には東京まで行かなければ受けられないような場合もあります。「この地域で最先端の検査、治療が受けられます」という状態をつくっていくことも、私たちができる「地域貢献」であると考えています。

 さらに、この病院の建物は一部老朽化が進んでいます。10年計画で少しずつ造り替え、地域の方が気軽に立ち寄れるスペースも用意したい。ソフト面だけでなくハード面でも、社会貢献を目指していきます。

医療法人泯江堂 油山病院
福岡市早良区野芥5-6-37
TEL:092-871-2261
http://www.aburayama-hospital.com/


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【2018年5月の1冊】
イメージ:今月の1冊 - 80.勝手に!文庫解説
勝手に!文庫解説

Twitter


ページ上部へ戻る