桑名市総合医療センター 竹田 寬 理事長・統括病院長

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4月、桑名市民念願の総合医療センター誕生

【たけだ・かん】 三重県立津高校卒業 1975 三重県立大学(現:三重大学)医学部卒業 同慶応義塾大学医学部放射線診断部研修医 1985 米ジョンスホプキンス大学医学部放射線核医学科留学1997 三重大学医学部放射線科教授 2009 同附属病院長 2013 地方独立行政法人桑名市総合医療センター理事長・統括病院長

 2012年、桑名市の3病院が統合してできた桑名市総合医療センター。これまでは旧3病院を東・西・南医療センターとして3カ所で診療を続けてきた。2018年4月、ついに三つを統合する新病院が開設。竹田寬理事長・統括病院長に、新病院建設までの経緯、今後の抱負について聞いた。

◎桑員地区の医療課題小児救急に波及

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 桑名市は、人口約28万人を擁する医療圏「桑員地区」にある中核都市です。長年に渡って、200床程度の複数の中規模病院が地域医療を担ってきたのが特徴。核となる総合病院が実質的に存在していないことが近年の課題の一つでした。

 桑名市は、周辺にある四日市市や名古屋市などへのアクセスが比較的容易です。そのために、高度な先進治療が必要な場合は、それらの都市にある大病院で診てもらえば良いという考えが市民の間に根付いていました。

 また行政側も病院側も、医療スタッフの充実や高度な医療機器の導入などによって病院機能の向上を図るということにあまり積極的ではありませんでした。

 ところが、2004年に新医師臨床研修制度がスタートすると、さまざまな医療課題が浮き彫りになってきたのです。三重大学は、これまで桑名市民病院と、桑名市最大の病床数を持つ山本総合病院へ医師を派遣していましたが、それができなくなりました。このため医師不足が加速して、特に影響を受けたのが小児医療、周産期医療、救急医療でした。

 小児科は一時、桑名市内での入院受け入れがストップ。周産期の分野では、以前から異常分娩を取り扱うことができませんでした。桑員地区だけで救急医療を担うことも難しく、愛知県内の病院への救急搬送も多数ありました。

◎民間・市民病院統合全国初プロジェクト実施

 2006年には、医療関係者などによる「桑名市民病院あり方検討委員会」が設けられました。そこで提言されたのは「400床以上を有する2次医療が可能な自己完結型の急性期病院」の設立を求めるものでした。

 そのためには、桑名市民病院を拡充するだけでは病床数は足りません。こうして、複数の民間病院を巻き込んでの議論が必要となり、市民病院と民間病院を統合するという全国でもほとんど例を見ないプロジェクトが始まったのです。

 統合の話が浮上した際に、私は三重大学病院の院長で、厚労省の地域医療再生計画(Ⅱ期)の三重県の策定委員会の委員長でもありました。国、県、市そして地元医師会とともに、このプロジェクトを何とか成功させたいという思いが強くありました。

 2009年には、まず民間の平田循環器病院(現:南医療センター)と桑名市民病院(現:西医療センター)が統合し地方独立行政法人になりました。2012年にはさらに山本総合病院(現:東医療センター)が統合され桑名市総合医療センターとなったのです。

 そして、三つの医療センターを統合することを前提に新病院の建設も具体化。2015年に着工し、2018年4月の開院を目指して工事が進んでいます。

◎新病院は2棟で運営スタート

 「桑名市総合医療センター」は、地域医療構想の中で「桑員地区」の急性期を担う中核病院として位置づけられています。

 10階建ての入院棟と5階建ての外来棟の二つからなります。2棟は3、4階に設置された空中通路でつながっており入院棟は321床あります。

 新病院完成後には東医療センター(旧棟)の一部の改修工事を始め、2018年末に完成予定。その改修棟に、79床を開設して計400床とする計画です。

 新病院の特徴の一つは災害対策に力を入れたこと。病院建設の計画を立てている最中に東日本大震災が起こったこともあって、特に重視した点でもあります。

 まず津波対策として、建物の1、2階のほとんどを駐車場にしました。地上から約7mの高さがありますので、大雨や津波によって浸水しても、病院機能には影響がないようにしています。それを踏まえて災害拠点病院を目指します。

 診療機能は3階以上に集約しています。来院されますとエレベーターで入院棟の3階に上がって受け付け。外来の場合は外来棟の3、4階に廊下で移動します。

 入院棟の3〜5階は検査室や手術室、ICUなどの重症管理病棟になります。6階には周産期センター、小児科病棟を設けます。7階〜9階が一般病棟になります。

◎常勤医を120人に増員

 新病院は、法人全体の常勤医が約120人でスタート予定です。4年前には3センターで約80人でしたので、約40人増加。ほとんどの診療科に常勤医を2、3人配置。診療機能が充実します。

 センター化も新病院の大きなコンセプトの一つです。循環器センター、脳卒中センター、消化器センターなどを予定しています。循環器センターであれば、循環器内科と心臓血管外科が診療科の枠を越えてチーム医療を実現します。周産期、小児救急、一般救急はしっかり維持し、当院の核として充実させます。

 新病院建設が決定した2014年4月からは、三重大学の産婦人科の医師が派遣され、東医療センターに県内で初めて周産期科を設置。5月には1068gの未熟児が誕生し、無事成長しています。桑員地区ではこのようなハイリスク出産は初めてのことでしたが、元気に退院することができたことは画期的でした。すでに設置されているNICU(新生児集中治療室)に加え、新病院ではGCU(継続保育室)を設けるなど周産期医療の充実を図ります。

 これまで、桑員地区には、脳や心筋の血流を評価する核医学検査装置(SPECT)を設置している施設がありませんでした。新病院では、SPECTを導入し脳卒中、認知症、心筋梗塞などを早期に発見、診断できるようになります。

 最も力を入れたいのはがん治療です。これまで桑員地区には、放射線治療のための機器がありませんでしたので、地域住民の多くは放射線治療のため、名古屋や四日市市の病院に通院していました。しかし、桑名市民の人たちに話を聞いてみると「できれば桑名市内でがん治療をすべて受けたい」。市民の新病院に対する希望をひしひしと感じます。

◎三重県の医師確保に貢献したい

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 三重大学医学部の学生の4割は、愛知県など三重県外からの入学者です。このため、アクセスの良い県北部の桑名市や四日市市の病院への勤務を希望しています。逆に言えば、県北部に勤務できなければ、名古屋市を中心に県外に医師が流出することにもつながりかねないのです。

 そのため、県内にとどまる医師を増やしたい三重大学は、新病院に期待。当院としても、新病院に医師を確保することで、県の地域医療に多少でも貢献したいと考えています。

 総務省や厚労省など国をはじめ他の自治体も、当院の今後の運営に注目しています。その期待に応えるためにも職員と一緒に、新病院の運営に力を尽くしていきます。

地方独立行政法人桑名市総合医療センター
三重県桑名市寿町3-11
TEL:0594-22-1211(代表)
http://www.kuwanacmc.or.jp/


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