福山市民病院 高倉 範尚 福山市病院事業管理者

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努力を重ね、開花を待つ

【たかくら・のりひさ】 京都府立峰山高校卒業 1973 岡山大学医学部卒業 同第一外科入局 1999 岡山大学第一外科助教授 2002 広島市立広島市民病院副院長2009 福山市民病院副院長 2010 同院長 2014 同院長・福山市病院事業管理者 2015 福山市病院事業管理者

 三次救急を担う「救命救急センター」を有し、地域がん診療連携拠点病院でもある福山市民病院。1期4年の区切りをまもなく迎える高倉範尚・市病院事業管理者は、手術支援ロボット「ダビンチ」など先進医療機器の導入や、職員教育の強化などに取り組んできた。

―福山・府中医療圏唯一のDPCⅡ群病院となりました。

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 2016年、大学病院本院に準じた診療密度と一定の機能を有するとされる「DPCⅡ群病院」の指定を受けました。

 当院が位置する広島県東部には大学病院がありません。大学病院本院相当を意味する「DPCⅡ群」の認定は、2012年度の診療報酬改定に伴ってこの区分ができてから、ずっと願ってきたものでした。

 初回の2012年度は「手術実施症例件数(手術症例1件当たりの外保連手術指数)」がわずかに足りませんでした。次の2014年度は、手術実施症例件数は満たしたものの、今度は「届出病床当たりの初期臨床研修医数」が1人不足。2013年に増築し、400床から506床に病床数を増やした影響で、一時的に足りなくなってしまったのです。

 2016年、3回目の改定でついに認定を受けることができました。しかし、評価されることはこれからも続いていきます。私たちが果たすべき機能の維持と充実のために、今後も努力していきたいと思っています。

―指定維持のために必要なことを挙げると。

 当院の課題は、二つ。一つ目は1日当たりの包括範囲出来高平均点数である「診療密度」の低さです。診療密度は、投入する医療資源が多くなればなるほど上がる。つまり、重症度が高い患者さんが多いほど、高くなるわけです。

 ところが、この病院には軽症者から重症者まで、あらゆる患者さんが集まってきています。私の専門の外科で言えば、がんだけでなく、虫垂炎や鼠径(そけい)ヘルニアも、当院がこの地域で一番多くの患者さんを手術しているのです。

 さらに、入院している方の中には、急性期を過ぎたと思われる患者さんが3割ほどいます。この方たちが回復期や慢性期の病院に転院したり、在宅に戻ったりできるようになれば、急性期・高度急性期の患者さんをもっと多く診ることが可能になるはずです。

 地域の医療機関との機能分担をさらに推し進めることはもちろん、医療施設だけでなく介護施設との連携も深めることで、改善を図っていきたいと思います。

 この病院の機能を患者さんにきちんと伝えることができていないことも、高度急性期と急性期に特化しきれない原因だと思います。

 福山市内にはいわゆる「総合病院」が四つあります。「市民から見ると、どれも横並びで違いが分かりにくい」という声も聞く。福山市民病院は、高度急性期、急性期医療を提供する病院だということを理解していただきたい。DPCⅡ群病院指定を旗印として、広報を充実させているところです。

―もう一つの課題は。

 初期臨床研修医の確保です。当院の定数は10人。フルマッチが得られない年もあり、学生の実習や見学を受け入れる中で感じている手ごたえほどは、受験者が集まってきていません。

 8年前に院長、4年前からは事業管理者となり、「初期臨床研修医にとって魅力ある病院とは」と、ずっと考えてきました。まずは熱心な指導医がいること。さらには症例数が多いこと、第一線の医療に携わることができること...。この軸は、大きく間違ってはいないと思います。

 それに加えて、待遇面、立地も、研修医確保に影響します。この福山・府中医療圏、さらに隣接する尾道・三原の尾三医療圏は、研修医から人気がある地域だとは言い難い。そこで、このエリアの各研修病院は奨学金制度を設けたり、待遇面を改善したりと工夫を重ねてきました。両地域全体で見ると、2017年度、初期研修医数が若干増えそうです。

 私たちの病院の給与は全国平均並みですが、この地域の他病院よりはやや低くなっています。給与面の改善に取り組む必要があるでしょう。

 2017年には臨床研修委員会の中にプロジェクトチームを作りました。この病院が選ばれない理由はどこにあるのか。どうしたらもっと「来たい」と思ってもらえる病院になれるのか。しっかりと考え、対策を検討していきます。

―「熱意のある指導医」を1番に掲げたのはなぜですか。

 すばらしい指導医が良い教育をすれば、初期研修医は「この病院で研修すれば優れた臨床医になれる」と思うでしょう。後期研修も継続してここで受けたいと思うはずです。その後期研修医の存在が、次の初期研修医を呼び込むことにもつながります。

 この病院には、内科、外科、循環器内科など、さまざまな科に熱心な指導医がいます。2016年4月に、泌尿器科に新たな指導医が加わり、2017年春には初期研修医のうち1人が継続で泌尿器科での後期研修を開始しました。

 良い指導医は、研修医確保の面では「病院の顔」。「ブランド」でもあります。彼らに来てもらえる病院であることが、研修医を集められる病院であることとイコールなのかもしれませんね。

 ただ、初期研修をここで受けた医師がずっとこの病院にいるのが良いとは思いません。特に若い人には、一度は大学院などで研究に取り組んでほしいと思います。

 さらに、大学はいろいろな医療機関で臨床を経験した医師が自分たちの経験をもとにディスカッションし、新たな治療法を確立するヒントが得られる場でもあります。

 当院で研修を受けた研修医が大学院での研修や大学での臨床、他病院での経験を重ねて、ここに再び戻ってきて教育に関わってくれたらうれしい。そんな希望をもって、一歩一歩、努力を積み重ねながら花開くときを待ちたいと思います。

―これからの福山市民病院が向かう先は。

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 「この地域に住んでいる人に、医療を通じて安心安全を提供する」。それがこの病院の存在意義です。

 高度急性期と急性期を担う病院として機能していくことは、今後も変わることはない。地域からのニーズもそこにあると思います。

 柱は、がん医療、救急医療、高度専門医療。私たちは、まずは私たちが果たすべき機能の維持と充実のために努力していきたいと考えています。

 さらには自治体病院として地域に医師を派遣する機能を果たすことも求められています。

 現在は、広島県にある神石高原町立病院、府中市民病院、三原赤十字病院の3病院と、岡山県の井原市立井原市民病院に内科医や循環器内科医、外科医を派遣。4月からは福山市内にある中国中央病院にも派遣予定です。当院の機能が低下しない限り、派遣することを方針としています。

 備後圏域連携中枢都市圏構想の中でも、さらなる少子高齢化を見据えた市町間の連携強化がうたわれています。その中で「びんご圏公立病院等連絡協議会」が設立され、医師派遣もこの中で持ち上がった課題からスタートしました。協議会の中には化学療法ネットワークや感染管理ネットワークもあり、研修会や勉強会を重ねています。

 診療材料の共同購入などは、緒に就いたところで、これから答えを出していくことになります。圏域を見据えた医療提供体制構築のため、私たちも協力していきたいと考えています。

福山市民病院
広島県福山市蔵王町5-23-1
TEL:084-941-5151
https://www.city.fukuyama.hiroshima. jp/site/fukuyama-hospital/


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