瀬戸内市立瀬戸内市民病院 竹内 龍三 院長

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「立ち位置」見極め 真に求められる医療を

【たけうち・りゅうぞう】 岡山朝日高校卒業 1979鹿児島大学医学部卒業 国立岡山病院 1982岡山大学附属病院 1983 水島中央病院 2004倉敷第一病院 2014 瀬戸内市立瀬戸内市民病院院長

 「市民に安らぎと幸せを届ける病院を目指します」を病院理念とする瀬戸内市民病院。2016年秋の新病院開院時に回復期リハビリテーション病棟を新設。同時に電子カルテ、MRIも導入した。竹内龍三院長は今、リハビリや健診のさらなる充実を模索。改革の手を休めることはない。

―新たな建物となって1年余り。現状と課題は。

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 新病院となり、年間の手術件数が2倍に増えました。高齢の患者さんの場合、家族の意向もあって自宅から近い病院での手術を希望することも多く、われわれで手術できる状態ならば、なるべくこの病院で行うようにしているうちに、少しずつ件数が伸びてきました。

 ただ、外科医の数などの問題もあり、すべての手術をここですることはできません。当院で難しい手術は、近隣の高度急性期病院に依頼し、術後しばらく経って状態が落ち着いた段階で、再び戻ってきていただいています。

 隣接する岡山市には規模の大きい急性期病院が複数あります。では、当院の役割は何か。急性期での治療を終えた患者さんを受け入れたり、超急性期の医療までは必要としない患者さんを治療したりといった「支える」というのが立ち位置なのだと思います。

 高齢者は入院期間が長くなると心身の機能が低下してくることが多く、リハビリテーションが重要な役割を担います。われわれは、今後3年間でリハビリスタッフを現在の2倍に増員する計画を立て、リハビリ部門のさらなる充実を図っています。

 認知症を合併する患者さんへの対応も必須です。月に一度、岡山大学精神科教室の医師が来院。認知症患者に対する治療や対応についての助言をいただいています。せん妄が改善したり、徘徊する人が減ったりと、かなりの効果があります。当院は精神科医を常勤にする余裕がないので、非常に助かっています。

 「訪問看護」も地域でのニーズが高い分野です。療養場所が入院から在宅へと移りつつあるものの、市内で訪問看護をしている施設は1カ所しかありません。当院に実施してほしいという要望も多くありますが、今はまだ、看護師の数が足りず実現には至っていません。今後なるべく早い段階で始められたらと考えています。

―地域包括システムの担い手になるためには。

 地域包括システムを構築するための「トータルサポートセンター」が院内に設置されています。市の保健福祉部が管轄。医療・福祉・保健に関する市民の相談窓口となり関係部署を案内するほか、専門機関と連携した相談支援や専門職の研修会を開いています。

 2カ月に1度は、当院や地域の福祉施設、行政機関などの職員が集まる会議を開催、連携の深化につなげています。さらにセンターが主催の健康講座も当院や地域の公民館で開いています。テーマは糖尿病や認知症などさまざま。糖尿病教室では栄養士が実際に調理した糖尿病食を参加者に試食してもらうなど、わかりやすい講座を心がけています。

―病院経営が難しい時代だと言われています。新病院開院は転機になりましたか。

 健診部門を独立させ、「健康管理センター」を新設しました。地域の方から「市民病院が健診に力を入れている」とわかりやすくなったのでしょう。受診者は急激に増加し、2018年に実施する健診の募集をしたところ、1年分の予約が1時間でいっぱいになりました。

 地元にある工業地域に誘致されている企業への営業活動の効果もあり、職場健診の申し込みも3倍増。専任の非常勤ドクターを置いたことで、効率的に診ることができるようになっています。

 これまでできなかった乳がん検診と子宮がん検診も、マンモグラフィーの装置を購入し、産婦人科医師を確保したことで、4月には本格的に開始できる見込みです。治療だけでなく、「早期発見」にも力を入れることで、市民の健康寿命延伸にも貢献できます。この部門の伸びが、将来の病院の経営改善と、医療の安定的継続にもつながってくると考えています。

 当院は、一般病床64床、地域包括ケア16床、回復期リハ30床の計110床の病院です。新病院になる前は、稼働率が6割強でしたが、今は9割前後で推移しています。

 2018年、当院はDPCへの移行を目指しています。当初は移行前に一般病床を減らし、地域包括ケア病床を増やす計画でしたが、一般病床への入院患者が増え、回転も速くなっているため、慎重に考える必要があると思っています。

 2017年度は新病院効果もあって収支は3年前に比べて5割増加しています。このままこの収支が継続できれば、独立行政法人化も視野に入ってきます。実現できれば、職員の採用や機器の購入もスムーズになり、病院のアクティビティー向上にもつながると思います。

―市民からの評判は。

 新病院は鉄筋コンクリート造りで地上2階建て。1階には手術室2室と外来・検査センターなどを配置。2階は特別個室と個室を含む病室とリハビリテーションセンターを整備しました。

 「広くきれいになった」「気持ちが明るくなる」と好評で、特にプライバシーに配慮した設計の4床室が患者・家族から非常に喜ばれています。

 就職を希望する若い人も増えました。旧病院の時代は、10年間、新卒の看護師の応募がありませんでした。今は安定的に応募が来ています。

 実は、「ハード面を整備する前にソフト面だ」と、新病院開院前から接遇などの職員教育にも力を注いできました。今、「相談しやすくなった」「声をかけやすくなった」という声をたびたび耳にするようになり、うれしく思っています。

―今後の展望を。 

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 残業時間の軽減に取り組んでいます。2016年に電子カルテを導入。カルテ記載や整理の時間が短縮され、看護師などの時間外勤務が大幅に減りました。

 休日や夜間の血液検査・CT撮影などは、よほど難しい場合を除き当直の医師が担当。検査科と放射線科のスタッフの呼び出し件数をかなり減らすことができました。

 休養をしっかりとることで、日々の業務の効率が上がり、良い診療やサービスを提供し続けることができます。オンとオフのメリハリをしっかりとつけられる職場環境を目指しています。

 「市民の方々に喜んでもらえる病院にするためにどうしたらいいのか」ということを常に考えています。今、検討しているのは岡山市の高度急性期病院との連携強化。例えば、当院にはない婦人科の医師を、週1回、高度急性期病院から派遣してもらい外来で診療。手術が必要な疾患が見つかったら高度急性期病院で手術し、術後、リハビリが必要ならば当院に戻ってもらう―。そんな連携を、密にしていく必要があると思うのです。

 高齢者施設とのつながりを深めることも大切です。誤嚥(ごえん)性肺炎や発熱、脱水などの症状がある高齢者を救急で受け入れ、治療して再び施設に帰す。高齢化率のさらなる上昇とともに、需要は今後ますます高まっていくと予想しています。

 急性期病院には急性期病院の、高齢者施設には高齢者施設の、そしてわれわれにはわれわれの役目があります。可能な限りこの瀬戸内市で医療・福祉を完結させ、無理ならばなるべく近隣の医療機関・施設にうまくつなげる。その方針を推し進めていくつもりです。

瀬戸内市立瀬戸内市民病院
岡山県瀬戸内市邑久町山田庄845-1
TEL:0869-22-1234
http://www.city.setouchi.lg.jp/kurashi/soshiki/hospitaljigyobu/setouchihospital/


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