【日本放射線腫瘍学会/第30回学術大会】放射線腫瘍学の役割拡大(会長推薦講義要旨)

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来場者でにぎわった企業による展示ブース

 日本放射線腫瘍学会第30回学術大会が2017年11月17〜19日、グランフロント大阪(大阪市)で開催された。大会長は大阪国際がんセンター放射線腫瘍科主任部長・大阪大学名誉教授の手島昭樹氏。約2700人が参加した。

 メインテーマは「放射線腫瘍学の役割拡大:ビッグデータ時代における挑戦」。

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小林省吾医師

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高橋秀典医師

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井岡達也医師

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手島昭樹大会長

 会長推薦講義では「肝胆膵癌(がん)の外科・薬物療法の最前線」をテーマに、小林省吾医師(大阪大学大学院消化器外科学)、高橋秀典医師(大阪国際がんセンター消化器外科)、井岡達也医師(大阪国際がんセンター)がそれぞれの専門分野の最新動向を語った。各演者の講演要旨を報告する。

【小林省吾医師】
「肝臓癌・胆道癌手術の進歩と課題―術前放射線治療の可能性」

 肝胆膵領域の悪性腫瘍はいずれも外科的切除が唯一の根治療法だが、脈管侵襲やリンパ節転移を伴うものは治療成績が悪い。胆道がんに関しては腫瘍の完全切除率を示すR0除率は約70%でその後の5年生存率は30〜50%と局所再発率も高い。肝細胞がん、胆道がんで外科的切除と化学療法を併用する場合、手術侵襲の影響を受けない術前治療の方が、治療成績が改善する可能性がある。

【高橋秀典医師】
「レセクタブル・ボーダーライン レセクタブル膵癌に対する集学的治療戦略」

 切除可能な膵がんに対して術前化学放射線療法(CRT)を用いた集学的治療を実施することによって、腫瘍の潜在的局所進展を縮小させ、切除断端の陰性化・局所再発の抑制が得られるほか、潜在的な非切除因子が術前治療中に顕在化することで、無益な切除術を回避することができる。

 また放射線増幅作用を持った全身化学療法を併用すれば、放射線治療による局所効果の増強が図られ、早期に全身治療を開始できる。こうした術前CRTの特徴を理解し臨床応用に努めることで、根治を目的とする外科的切除のメリットを最大限に発揮することができる。

【井岡達也医師】
「局所進行切除不能膵癌に対する一次治療として推奨される治療は?」

 2008年に、局所進行切除不能膵がん(LAPC)119例に対して抗がん剤のフルオロウラシルとシスプラチン(CDDP)を併用したCRTと、同じく抗がん剤のゲムシタビン(Gem)だけを使用した化学療法単独(CT)の無作為割り付け試験(RCT)が実施され、CTの全生存率(OS)が優位であるとされた。しかし、2011年にLAPC 71例に対して、Gem併用CRTとGem単独CTのRCTが実施され、CRTのOSが優位に良好であると報告されるなど、現時点でCRTとCTの優位性に関する結論は出ていない。

 日本では2013年に4剤併用の「FOLFIRINOX」療法、2 014年にGemと併用する「ナブパクリタキセル」療法が承認された。強い抗腫瘍効果を持ちながらGemより良好なOSを示すCTが開発されたことでLAPCに対してCRTとCTのどちらが推奨されるか、今後も議論は尽きない。


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