独立行政法人 地域医療機能推進機構 大和郡山病院 松村 正彦 院長

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未来につながる医療で「悩む母」に光を!

【まつむら・まさひこ】 1978 京都大学医学部卒業1980 国立姫路病院 1988 京都大学医学部附属病院 1992 天理よろづ相談所病院 2013 奈良社会保険病院 2014 独立行政法人地域医療機能推進機構大和郡山病院 2017 同副院長 同院長

 これまで小児科医としてキャリアを積んできただけあって、にこやかな表情が印象的だ。松村正彦院長がトップに就いておよそ10カ月。大和郡山病院に求められる役割が刻々と変化していく中、地域に「安心」を届けるべく奮闘中だ。

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―2017年4月に院長就任。

 あわただしく過ぎていったというのが正直な思いです。ずっと小児科医として医療に携わってきましたので、経営やさまざまな診療科のこと、高齢化の問題などをあらためて勉強しながら、病院の進むべき道を見極めているところです。

 関係各所を訪問する中で実感したのは、当院は私が思っていた以上に地域に親しまれ、頼られている病院であるということです。診療所の先生には「大和郡山病院で診てもらいたいという患者さんも多い」との声もいただいています。大和郡山市においては市民病院的な役割を果たしているとともに、1946年の創立から一種の「ブランド」をつくり上げてきた歴史があるのだなと、再認識させられた10カ月間でもあります。

 他の地域と同様に、在宅医療、看取りの流れにどうやって対応していくかという課題を私たちも抱えています。患者さんやそのご家族、地域の医療機関が困っているときには、柔軟に動いて少しでも安心してもらえるよう、バックアップしていく。そんな「かかりつけ病院」としての機能を高めていけたらと思っています。

―具体的に力を入れていく点は。

 少子高齢化と言われて久しいですが、なんとか少しでもこの流れを変えるすべはないものかと考えています。国家レベルで取り組まねばならない課題ですが、身近な問題になら、医療機関が単独でアプローチできることがあるはずです。

 一つは「子育て支援」です。2017年9月、大和郡山市の保健センター「さんて郡山」内に、妊娠・出産・子育てに関する相談窓口「子育て世代包括支援センター」が開設されました。

 2017年4月に改正母子保健法が施行。各市区町村で支援センターの設置が進められており、国は2020年度末までの全国展開を目指しています。当院もセンターとのより緊密な連携を進めていくなど、周産期医療を今後の新たな柱とする考えです。

 身体的、心理的な要因で育児に不安をもつ家庭を対象にした「産後ケア事業」も市はスタートさせる方針です。医療的な支援を提供する施設の一つとして、当院も関わっていく予定です。

 近年、小児医療の分野で注目されているキーワードに「虐待」があります。家族構成が複雑だったり、収入基盤が不安定であったり、産後うつになったり│。

 特に養育支援が必要だとされる「特定妊婦」に対して、国は「養育支援訪問事業ガイドライン」を定めています。保健師や助産師、保育士が家庭を訪問し、指導や助言に取り組むものです。

 出産後の母と子をサポートする仕組みとしては、生後28日以内に保健師や助産師が訪問する「新生児訪問指導」、生後4カ月までのすべての乳児を訪問する「こんにちは赤ちゃん事業(乳児家庭全戸訪問事業)」などもあります。

 ただ、訪問しても会えないケースが少なくないのです。背景は家庭によってさまざまですが「誰にも会いたくない」と拒む人や、会うことができない状況に追い込まれている人などがいます。

 2014年、私が当院に来たときに「こんな方法があったのか」とハッとさせられたことがあります。大和郡山病院ではずいぶん前から「入院中に特定妊婦と保健師が会う機会をつくっていた」のです。早期に接触をもち、サポートを開始することで、将来起こりうるリスクを予防できるかもしれない。気になる妊婦さんの場合は、退院後も2度、3度とフォローする場合もあります。

 当院は2007年、奈良県で初めて院内助産を開始した病院でもあります。お母さんと子どものための医療は、市内唯一の公的病院である大和郡山病院がはぐくんできた良さの一つ。経営的に考えれば、周産期医療にどこまで力を入れるのか、判断が難しいところだと思います。しかし、私としては未来につながる取り組みに目を向けたいと思うのです。

―2018年は周辺の状況にも変化が訪れます。病院づくりにおいて意識していくことは。

 5月、奈良県総合医療センターが当院の近くに移転オープン。私たちの地域での役割も、少しずつ変化していくことになります。

 同センターが高度急性期医療を担い、当院は引き続き一定の急性期医療を提供しつつ、高度急性期を終えた患者さんの回復期、そして在宅、介護への移行を支える立ち位置へとシフトします。

 すでに前院長の代から2016年の訪問看護ステーション開設、2017年2月に地域包括ケア病棟40床の整備と、次の時代を意識した準備を着々と進めてきました。

 JCHO(地域医療機能推進機構)が理念として掲げているように、私たちが目標としているのは「地域医療、地域包括ケアの要」となること。奈良県総合医療センターともしっかりと話し合って、連携のあり方を探っていきます。

 地域への貢献という側面では、積極的に病院の外へ出ていく活動、市民と交流する場の創出に力を入れています。

 月に1度、近鉄大和郡山駅前商店街の店舗の一角をお借りして、無料健康相談「まちの保健室」を開いています。また、ほぼ毎月のペースで、当院地下の食堂で多様な疾患の知識、予防法などを解説する健康教室、講義室では糖尿病教室を企画しています。

 昨年、当院に勤務する感染管理認定看護師が保健所と連携し、市内の幼稚園と小学校の教職員を対象とした「吐物処理実技研修会」も実施しました。学校現場で起こる感染性集団発生の現状や問題点などを共有。今後も継続的に開催できればと考えています。

―院長が大切にしていることは。

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 院長室の扉はずっと開けたままにしています。私が「院長1年生」としてたくさんのことを吸収しなければならない今、多くの職員とコミュニケーションを図りたいと考えているからです。各部署から届く日々の報告や研究会、学会などに参加した職員のレポートには必ず目を通し、その内容について、私の意見をできるだけ直接伝えるよう努めています。

 超高齢社会に入って複数の疾患を抱える患者さんが増えています。これまで私自身が高齢の患者さんと関わる機会は多くはありませんでしたが、小児科医としての経験を今後の診療に役立ててもらうことはできるのではないかと思います。

 どのような症状であろうとも、子どもをまず診療するのは小児科医。可能な範囲で治療し、必要に応じてあらゆる専門科へとつないでいくわけですから、総合医と呼べる存在でもあります。

 専門性を突き詰めていく姿勢も大事。同時にそれ以外のことにも意識を向けた医療を心がけなければならない時代に入っていることも事実です。折に触れてこれまでの私の経験を話し、発想を転換するきっかけになればと期待しています。

 基本にあるのは、やはり患者さんの思いに寄り添う医療です。元気になって退院していく患者さんの姿を見るために医療者が力を尽くす。今も昔も変わることはありません。その気持ちを共有して職員と歩んでいけたらと思います。

独立行政法人 地域医療機能推進機構 大和郡山病院
奈良県大和郡山市朝日町1-62
TEL:0743-53-1111(代表)
https://yamatokoriyama.jcho.go.jp/


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