地方独立行政法人 市立吹田市民病院 衣田 誠克 総長

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2018年秋 新病院開院 マグネットホスピタルの実現に向けて

【きぬた・まさかつ】 大阪府立天王寺高校卒業 1978 大阪大学医学部卒業同附属病院第二外科研修医 2003市立吹田市民病院(現:地方独立行政法人市立吹田市民病院)副院長 2013同総長

 北大阪健康医療都市(健都)への移転を今秋に控える吹田市民病院。今年の臨床研修病院合同説明会では例年の2倍以上の学生が集まるなど寄せられる期待も大きい。「開院が非常に楽しみです」と笑顔で語る衣田誠克総長に、病院の今後の展望を聞いた。

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◎新病院について

 大阪府は国際級の複合医療産業拠点として「北大阪健康医療都市(健都)」の形成を、当院から2km離れたJR岸辺駅の周辺で進めています。完成後は岸辺駅の線路を南北にまたぐ「南北自由通路」から、国立循環器病研究センターや駅前複合施設に通路が続きます。駅前複合施設の2階通路を通り抜け、連絡通路を通ればそのまま外に出ることなく病院の2階入口に入ることができるようになります。

 新病院の開院は2018年秋を予定しています。2019年7月には隣接地に国立循環器病研究センターが開院します。心臓病や脳血管障害をはじめとする循環器病疾患の専門病院である国立循環器病研究センターと総合的な診療科を持つ当院が隣接した場合、脳神経外科や循環器内科が競合することが考えられるため、これまでに15回、機能分担や内部連携について話し合いを重ねてきました。

 その結果、高齢化が進むことで増加する心臓疾患や脳血管障害、糖尿病、高血圧といった慢性疾患を抱える患者や急性期を脱した患者、脳外科の中でも神経や脳腫瘍については当院で診て、極めて緊急性の高い循環器疾患の患者については国立循環器病研究センターが受け入れることに決まりました。

 検査データや診療内容、患者の情報を共有することができないかと2病院の電子カルテの便宜性を図ることなど、当院が開院するまでの最優先事項として話し合いを進めています。

◎地域における病院の在り方

 吹田市内には大阪大学医学部附属病院、千里救命救急センター、国立循環器病研究センターがあるため高度急性期を担う病床数が多く、2030年になっても高齢化率は30%を超えないだろうと推測されています。一方で、同じ豊能医療圏の北部、能勢町や豊能町は周囲を山に囲まれており救急要請をしても救急車の到着に20分程度要します。高齢化も深刻で2025年には45%を超えることが予想され、同じ医療圏でも大きな地域差があります。

 こういった地域では交通アクセスの良さで病院を選ぶ人も多く、他の医療圏の病院を受診する人も少なくありません。新病院についても隣接する摂津市との距離が近いため同市からの患者が増えることが予想されます。そのため摂津市医師会や同市の開業医などと、医療圏を超えた密な連携が重要になるでしょう。

 移転することで現在病院がある地域の住民になるべく不便を感じさせないために、新病院への直行便のバスなど新たなアクセスの方法を協議しています。

◎四つの視点で病院作り

 新病院を作るにあたり、患者・機能・経営・職員それぞれの視点から病院の在り方を見直し、新市民病院の基本方針を考えています。総合的な医療機能の維持と地域のニーズに沿った医療を提供することを考え、二次救急医療のさらなる充実を図ることを目的として、新病院では集中治療室(ICU)とは別に救急専用病床を8床設置します。診療科についても新たに「救急診療科(総合診療科)」と「放射線治療科」の設置を検討しています。

 当院の整形外科は年間の手術症例数が1200例以上と大阪北摂地域最多の手術件数を誇ります。高齢化に伴う骨折などの外傷、ぜんそくなどの呼吸器疾患、がんといった疾患の治療後、身体機能の早期回復を図るために、リハビリテーション機能を充実させる必要がありました。そこで現在40床ある地域包括ケア病床を45床の回復期リハビリテーション病床に転換することにしました。

 新病院移転先の北大阪健康医療都市(健都)には、約2.8haの都市型居住ゾーンがあり、今後マンションなど開発が進むことで居住ゾーンとなる摂津市の人口は現在の85000人からさらに2000人程度増える見込みです。若い家族も増えることを考え、周産期環境のさらなる充実を図っていきたいと思います。

 新病院建設計画の発表後に行われた臨床研修病院合同説明会では、当院のブースを訪れる学生の数が2〜3年前の2倍近くに増え、みなさんが新病院に寄せる期待の大きさを感じました。たくさんの人が集まり、人が人を育てる。そんな環境を作っていきたいですね。

◎今後の展開

 隣接する国立循環器病研究センターと連携をしていく上で、合併症として抗血小板薬や抗凝固薬を使用する患者さんに出血が起こった時の命題として、内視鏡検査が増えることが予想されます。新病院では内視鏡検査室をこれまでの3室から6室の2倍に増室します。これにより消化管の検査や診療、また同じ場所で時間を分けて行っていた気管支鏡検査がいつでもできるようになります。症例数が増えることで医師の技術やモチベーションが向上することにも期待しています。

 病院を新築移転するにあたり、院内で新しい医療機器の入れ替えに関する要望を調査したところ予算をオーバーしてしまいすべての要望をきくことはできませんでしたが、健全な経営を続けて段階を踏んでそれぞれの要望にできる限り応えていきたいと思います。

◎人材の育成について

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 私は消化器外科が専門です。今は「外科医は絶滅危惧種」だと言われるほど若い医師のなり手が少なくなりました。

 以前は「先輩の技術は目で見て盗め」と言われていましたが、これからは私たちの持っている技術を若い医師に教え、優秀な人材を育てていきたいですね。前期研修で外科を回って少しでも興味を持ったらぜひ外科に来てほしいと思います。

 やりがいを感じるのは患者さんが「ありがとうございます」と言って笑顔で退院していく時。たとえ患者を助けることができなかった場合でも、家族の方から「この病院で診てもらえて良かった」と言ってもらえると、やりがいを感じます。

 外科に限らず、若い医師には成功経験をさせていきたいし、自分が経験した失敗で避けられる失敗はしなくても良いように若い医師を育て、医師としての心得も伝えていきたい。医師という職業は良い意味での師弟関係だと私は思うのです。

 病院の健全な経営を重視して、具体的な数値目標だけに向かって診療するのではなく、目の前にいる患者を診る。その背景にはさまざまな職種のスタッフが存在していること、仲間同士が支えあうことで診療ないし病院が成り立っていることを職員一人ひとりが常に意識の中に持ち続けてほしい。そうして継続した結果が健全な経営にもつながると考えています。

 新病院ができてハード面が整備されることで良い人材が集まり、困難なものも含めて症例数が増え、より良い医療を提供できるようになり、患者も集まってくる。そんな「マグネットホスピタル」を実現させるために、まずは職員にとって魅力的で働きやすい職場環境の整備や研修制度の充実に努めていきます。

地方独立行政法人 市立吹田市民病院
大阪府吹田市片山町2-13-20
TEL:06-6387-3311(代表)
http://www.city.suita.osaka.jp/hospital


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