地方独立行政法人 市立大津市民病院 片岡 慶正 理事長・院長

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2017年4月地方独立行政法人化 市民とともにあるために

【かたおか・けいしょう】 滋賀県立膳所高校 1978京都府立医科大学医学部卒業 同第3内科勤務1993 米メイヨークリニック留学 2007 京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科教室准教授 2009 大津市民病院(現:地方独立行政法人市立大津市民病院)副院長 2010 同院長 京都府立医科大学特任教授 2017 地方独立行政法人市立大津市民病院理事長・院長

 2017年に東京大学の研究チームが公表した最新の調査によると、滋賀県は平均寿命と健康寿命がともに全国第一位。「大津市は特に医療の面で充実しており住みやすい街」だと語る片岡慶正理事長に市立大津市民病院の特長、四つの「強み」を聞いた。

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◎これまでの歩みと救急医療体制

 大津市制が発足した翌年の1899年、滋賀県立避(ひ)病院(伝染病院)が県から大津市に移管された後、当院の前身となる大津市立圓山(まるやま)病院が開設され、今年で創立119年を迎えました。これまでの歴史を引き継ぐ形で県内唯一の第一種感染症に対応する感染症病床が8床あるのも特徴の一つです。

 患者の8割を占めているのは大津市民です。その大津市の人口も2014年から減少局面に入りました。大津医療圏は441床の市立大津市民病院のほか796床の大津赤十字病院、612床の滋賀医科大学医学部附属病院、325床のJCHO滋賀病院と500床前後の病院が多く集まる地域です。

 2003年には大津赤十字病院とともに滋賀県で初めてとなる「地域医療支援病院」の指定を受け、大津医療圏の急性期医療を担っています。

 当院では2003年に救急外来「ERおおつ」を開設し、24時間365日体制で患者を受け入れて重症度や救急度、専門性に応じた治療を施しています。2014年12月には救命率の向上と後遺症低減を目的としてドクターカーの運用を開始しました。その後市内の大津赤十字病院、滋賀医科大学医学部附属病院も順次ドクターカーを導入。現在は3病院交代制でドクターカーを運行しています。

 このように市民が安心して医療を受けることのできるシステムが大津市には根付いているのです。しかしこのことに気付かず、道路や鉄道などのインフラが充実しているため、疾患によっては他市他府県の病院を受診する方も少なくありません。

 「ERおおつ」では若い人材を育成するために研修医が診療する際は必ず指導医が付きます。こうして患者・研修医ともに安心できる診療環境が整っています。

 ICTを使った救急診断サポート体制が構築されています。画像診断サーバールームとホットライン、それに各科の医師15〜16人がタブレット端末を持ち、いつでも患者の情報を共有・相談できるようにしています。それにより、どの診療科の医師が当直についても診療を的確にサポートする体制が整っているのです。このシステムを導入して8年。以前よりも人的資源を効率的に活用することで、迅速かつ正確な診療を提供できるようになりました。

◎病院の四つの特長

 一つ目の特長は「トリプル認証」。一貫したサービスなどを提供し、顧客満足度を向上させるためのマネジメントシステム規格であるISO9001認証を2005年に取得しました。

 2012年には日本病院機能評価機構の病院機能評価Ver.6.0を取得。2013年には卒後臨床研修評価機構の認定を取得しました。このトリプル認証を取得している病院は滋賀県内では当院だけです。

 二つ目の特長は幅広い診療科における「鏡視下手術」。伝統的に京都大学、京都府立医科大学、滋賀医科大学から医師の派遣を受けて各科で最新かつ高いレベルの治療が行われてきました。手術支援ロボット「ダビンチ」をはじめ内視鏡による鏡視下手術は消化器外科・消化器内科にとどまらず呼吸器外科、婦人科、泌尿器科などでも幅広く行われています。

 三つ目は緩和ケア病棟における「命のスープ」です。当院の緩和ケア病棟では2008年から料理研究家・辰巳芳子氏の指導のもと、厳選した素材を使用してボランティアの方が「命のスープ」を作り、毎週火曜日に緩和ケア病棟の患者さんにふるまっています。レパートリーも豊富で自然な優しい味が毎回好評です。辰巳芳子氏のドキュメンタリー映画「天のしずく」(2012年公開)では当院の緩和ケア病棟でも撮影が行われました。

 四つ目は「神経難病対策」です。当院は滋賀県重症難病医療拠点病院として神経難病に特化した病床を持っており、そこで滋賀県内の神経難病患者の入院を広く受けていました。しかしレスパイト入院のために当院まで来るのは家族の負担も大きい。そこで研修会を実施し、他の医療機関においてもレスパイト入院ができる環境を整備しました。

 また、神経難病の在宅医療ニーズに応えるために、かかりつけ医となる地域の在宅医や訪問看護師に神経難病患者の対応などの研修会を実施。その結果、当院だけでなく地域で神経難病の患者を診る体制が少しずつできてきたのです。それを受けて、それまで45床あった神経難病患者の病床を20床までダウンサイジングすることができました。

◎2017年4月、地方独立行政法人に移行

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 昨春、地方独立行政法人化しました。それまでは大津市が運営する公立病院だったので、経営状態に関わらず公務員である職員の給料は一定で定期昇給もありました。しかし今は病院の理念「市民とともにある健康・医療拠点」を実践するためにも職員の意識改革を行い、病院の収益を職員全員で上げていく努力をしていかなければなりません。それには職員の意識改革とモチベーションを向上させることが重要です。

 そこでまずは当院が抱える問題を可視化し、職員一人ひとりの生産性を向上させるために、3カ月に一度、診療科ごとに一人当たりの収益や残業時間をデータ化して公表しました。

 救急の患者が来て残業をしなければならない時はもちろんあります。しかしそれが生産性のある残業なのか詳しく調査・改善し、現在は残業時間が100時間を超える職員はいません。

 年に2回実施している「診療科ラウンド」では各診療科の部長、医師、看護師、メディカルスタッフを交えて協議。問題点や要望を抽出し、今後の方向性を明確にすることにつなげています。

 職種別で職員に働き方に関するアンケートを実施したところ、病院の方向性を前向きに支持する者がいるほかに反発する意見も浮き彫りになりました。しかしそれは組織における「2・6・2の法則」のうち良くない働き方をする「2」の部分が表面化してきたのだと前向きに受け止めています。

 院長、副院長、診療局、看護局、医療技術局、事務局の4局長が集う毎朝のミーティングでも「2・6・2の法則」を頭に入れて、投書箱の患者の声と向き合っています。そうした声も健全な病院経営に反映させていきたいですね。

 病棟稼働率は日によって100%を超える場合もありますが、その場合も断ることなく患者を受け入れています。それが患者に寄り添うために当院が果たす責務であると思うからです。

 地域のかかりつけ医で薬のコントロールが悪くなったり、合併症を起こしたりした患者を当院で診る形で「かかりつけ医制度」のもと、紹介・逆紹介システムも活発に利用されています。大津医療圏は医療機関数が多いですが、病院同士で競合するのではなく、患者さんの信頼を勝ち取れば経営は安定すると思うからです。

 市立大津市民病院は変わろうとしている今まさに過渡期です。職員が「当院に勤務して良かった」と笑顔で胸を張って言える病院、患者さんも「何かあれば大津市民病院に行こう」と思ってもらえるような病院を目指し、一つひとつの課題に取り組んでいきます。

地方独立行政法人 市立大津市民病院
大津市本宮2-9-9
TEL:077-522-4607(代表)
https://och.or.jp/


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