滋賀県立総合病院 宮地 良樹 総長・病院長

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1月改称 エクセレントホスピタルを目指す

【みやち・よしき】 静岡県立静岡高校卒業 1977京都大学医学部卒業 1982 米ミネソタ大学リウマチ内科留学 1998 京都大学大学院医学研究科皮膚科教授 2005 同附属病院副院長2014 滋賀県立成人病センター(現:滋賀県立総合病院)病院長 京都大学名誉教授 2017 滋賀県立成人病センター総長兼務

 滋賀県唯一の県立総合病院として県民の健康を支えてきた「成人病センター」が、2018年1月から、「滋賀県立総合病院」に改称した。病院運営への思いを新たにする宮地良樹総長・病院長に話を聞いた。

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◎循環器疾患をはじめがん治療も

 1970年に開設し間もなく50年。今でいう「生活習慣病」が増加していた時代で、開設当初は県民の検診事業を柱にしていました。

 1975年に外来診療を開始。京都大学から派遣された医師を中心にした循環器内科の診療が当院の発展に寄与しました。その後、時代の変化とともにがん、脳神経疾患といった幅広い疾患に対する高度医療にも取り組んできました。

 2009年には滋賀県唯一の「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定されました。大学病院と比較しても見劣りしないような患者数を受け入れ高い治療実績を挙げています。

 また、診療面では他にも多くの得意分野があります。副院長でもある川那辺圭一整形外科科長は、股関節外科が専門で、これまで約3000例の人工股関節置換術の実績があります。

 私が2014年に病院長に着任した後は、乳腺外科を独立させ、併せて形成外科にも力を入れています。もともとは乳腺外科の乳房再建が目的でしたが、頭頸(けい)部がんなどの再建でも実績を挙げています。

◎得意分野を高度医療センター化

 2016年11月に新病棟を開設しました。高度医療に対応するためのハイブリッド手術室(1室)、ハイケアユニット(16床)などを新設。

 加えて「患者サポートラウンジ」を設置。入退院の手続きや相談窓口などを集約化することで患者さんへのサービス機能を充実させました。カフェ、コンビニエンスストア、レストランなども一新し、快適な病院作りを目指しました。

 また、併せて、当院の得意な分野をより強化することを目的に、八つの「高度医療センター」を立ち上げました。乳腺センター、肺がんセンター、人工関節センター、放射線治療センター、心臓血管センター、消化器センター、脳卒中センター、頭頸部腫瘍センターとなります。

 当院は総合病院ではありますが、得意分野を持つことは他の病院との違いを打ち出す意味でも重要だと考えています。

 例えば、乳腺センターであれば乳腺外科と放射線科、形成外科などが連携。関わっている診療科が診療科の垣根を越えて、協力しながら最善の高度医療を提供できることがセンター化の強みだと考えます。

 県立の「小児保健医療センター」との一体化の必要性も課題として挙がっています。医師確保のために研修医の獲得にも力を入れていますが、従来の「成人病センター」のままでは、当院の機能と病院名が一致していない。医学生や研修医たちに当院の役割を理解してもらえないのではないか。そのような指摘もありました。名実ともに総合病院になるために、名称の変更を決断したのです。

◎地域医療と全県型医療の両立を

 当院は県立病院であると同時に、湖南医療圏という地域に根差した病院でもあります。2017年2月に地域医療支援病院となりましたので開業医の先生との連携にも力を入れています。

 連携医院としての登録をお願いしたところ、現在250施設と患者さんの紹介、逆紹介が円滑に進む体制が整いました。

 顔の見える関係を作りたいと考え、地域連携室の職員が全施設に伺いました。私自身も60施設ほど訪問しました。

 当院の患者さんの6割は、守山市、野洲市などに在住です。地域包括ケアシステムを構築するためにも、われわれは地元に根差した病院でもあるべきだと考えています。

 2017年12月に地域包括ケア病棟(52床)を開設しました。切れ目のない医療を患者さんに提供するためにも病棟の運用に力を入れます。

 一方で、「全県型医療」という県全体を見据えた医療の提供にも取り組んでいます。笹田昌孝前総長・病院長が在任中に取り組み始めた「遠隔病理診断ICTネットワーク」はその一つです。

 滋賀県は県の真ん中に琵琶湖があるため、都市間のアクセスも少し不便で医師の偏在が顕著です。なかでも、病理の医師が不足しています。その解決がネットワークの狙いです。

 外科手術で一番大事なのは、手術時に実施される「術中迅速診断」。術中に「腫瘍が除去できたのか」、「良性か悪性か」を判断しなければならない。つまり、その場に診断をするための病理の医師がいなければならないのです。

 そこで県内にネットワークを構築し、摘出した腫瘍を、特殊な機器によって「バーチャルスライド」として作成。そのデータを、当院をはじめ病理医が待機する連携病院に送れば病理の医師がそれを診て診断します。手術の現場に病理医がいなくとも遠隔で診断ができるのです。

 「滋賀県モデル」として確立し、2013年に運用が始まりました。今後も県全体の医療に対して、われわれが県立病院としてできることは何かを、常に考えていかなければなりません。

◎患者満足度を調査、公開

 2016年から、「日本病院会臨床指標(クオリティ・インディケーター)プロジェクト」に参画しています。患者満足度、入院患者の転倒・転落発生率など32の測定項目を毎年調査し、病院の質を客観的に捉え、改善しようというものです。全国で約350病院が参加しています。

 結果については当院のホームページで公開していますが、これを公開するのも各病院の判断。私は、このような情報を公開することで職員も「病院を良くしたい」と思ってくれると考え、積極的に公開しています。

◎職員がやりがいを感じる病院に

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 病院運営の目標として「エクセレントホスピタル構想」というテーマを掲げています。

 「質の高い医療を提供すること」「病院を良くすること」で患者さんの満足度を上げ、経営の安定化を目指すものです。

 時間はかかるとは思いますが、好循環を作りたいと考えているのです。

 そのためには「どのようにしたらより良い病院になるのか」を考えなければなりません。大切なのは「患者さんの満足度向上によって、職員がやりがいを感じること」だと考えます。この視点が欠けていたら病院は良くならない。

 医療者は、医療を通じて社会に貢献したいとか、人に尽くしたいとか、何かの夢があって今の仕事に就いたのだと思います。その夢の達成感や、やりがいが絶対に必要です。職員の満足感は、患者さんの満足度にもつながるでしょう。

◎人のために働く

 私は自分の人生を3段階に分けて考えてきました。まず、25歳までは勉強をする時間。50歳までは自分と家族のために働く時間です。

 そして、50歳からは人のために働く時間です。

 なかでも、医療人にとって人材の育成は一番大事なこと。大学教授に在任中は、私は11人の教授を輩出しました。教え子が育っていくことは自分のこと以上にうれしいものでした。

 今後も、後進を育て続けることは、私の使命の一つでもあります。

滋賀県立総合病院
滋賀県守山市守山5-4-30
TEL:077-582-5031(代表)http://www.pref.shiga.lg.jp/e/seijin/


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