岐阜大学大学院医学系研究科 産科婦人科学 森重 健一郎 教授

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オール岐阜で産婦人科医療を支える

【もりしげ・けんいちろう】 1985 大阪大学医学部卒業 1992 米メイヨークリニック研究員 2002大阪府立成人病センター医長(婦人科) 2007大阪大学大学院医学系研究科准教授(産科学婦人科学) 2010 岐阜大学大学院医学系研究科産科婦人科学教授

 岐阜大学大学院医学系研究科産科婦人科学では妊孕(にんよう)性の温存をテーマにした医療を展開している。

 また同大学を中心とした「岐阜県がん・生殖医療ネットワーク(GPOFs)」を立ち上げ、県内の生殖医療に貢献している。

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―教室での取り組みについて教えてください。

 婦人科腫瘍分野では妊孕性を温存する治療に力を入れています。

 例えば子宮頸がんでは、通常は子宮を全摘出するのですが、患者さんの希望があり、かつ病巣が2㌢未満の場合、子宮を残すために患部である子宮頸部のみを切除する子宮頸部広汎摘出術を実施しています。

 また、ごく初期の場合であれば円錐切除といった部分的に患部を切除する方法を用います。

 子宮体がんは手術で子宮、卵巣、卵管、リンパ節をとるのが一般的です。再発のリスクがある場合は、手術後に化学療法や放射線治療も実施します。しかし、早期であれば子宮温存のためのホルモン療法の選択が可能です。

 研究面では細胞死の一種である「フェロトーシス」を難治性の子宮頸がんや卵巣がんの治療に応用する研究を推進、新たな治療法の開発を目指しています。

 周産期医療分野では、県内の医療機関で出産した人が分娩(ぶんべん)後に大量出血した場合など母体疾患に対して婦人科と放射線科、高度救命救急センターと協力して、母体救急をしているのが特徴です。

 日本産科婦人科学会周産期委員会の報告では妊婦の死亡原因の3分の1が産科出血で、分娩の300例に1例、大量出血があるとしています。

 岐阜大学医学部附属病院では常時、産後の出血を止めるための子宮動脈塞栓(そくせん)術(UAE)を提供する体制が整っています。子宮動脈塞栓術とはカテーテルを子宮動脈に挿入し、血流を遮断する術式です。低侵襲で入院期間が短くて済むのが特徴です。

 生殖医療分野では「がん生殖」に力を入れています。

 がん生殖の対象は婦人科のがん患者さんだけではありません。放射線治療や、ある種の抗がん剤投与では、閉経する可能性が高まり、妊娠、出産ができなくなってしまいます。

 そこでがん治療前に卵子あるいは卵巣を採取し、凍結保存。結婚している方であれば受精卵の状態にして凍結保存などをしています。そして治療が終了したら体内に戻す。これが「がん生殖医療」です。

―患者さんへの説明も重要ですね。

 岐阜大学医学部附属病院がんセンター「がん・生殖医療外来」ではがん治療による不妊の予防や対策について専門医が相談にのっています。

 対象は40歳未満の女性。がん治療をすることで妊孕性が低下することが予想される人で、カウンセリングを希望する患者さんです。

 岐阜県では岐阜大学が中心となって2013年に日本で初めて病院間の垣根を越えて生殖医療に対応するための「岐阜県がん・生殖医療ネットワーク(GPOFs)」を立ち上げました。

 このネットワークは岐阜県内の若年がん患者、がん治療医、生殖医療専門医を結びつける組織です。現在、岐阜県内23の病院とクリニックが参加しています。

 当院のがん・生殖医療外来がネットワークの拠点となって、カウンセリングをした患者さんに対して岐阜大学を含む県内のネットワーク内の生殖医療施設が連携。患者さんに妊孕性に関する適切な情報提供と温存処置を実施し、QOL改善のためのサポートや、がん治療医の負担軽減などに取り組んでいます。

―他の病院との連携が不可欠。

 医療資源には限りがあります。県内の各病院があれもこれも診ようとするのは非効率的だと思います。それよりも各病院、クリニックが密に連携し、岐阜県の産科婦人科医療を支えていかなければなりません。

 産婦人科医を目指す若い人に向けたメッセージを掲載し、岐阜県の産婦人科医療のことが分かる「夢プロジェクト・岐阜の産婦人科医の魅力」というホームページを公開しています。

 このホームページでは県内各病院の産婦人科医が「不妊治療」「周産期医療」「医師のはたらき方」などについて執筆しています。この領域を志す若い人が岐阜県の産婦人科医療をイメージしやすいような内容になっていると思います。

 岐阜大学とその研修病院では産科、婦人科、生殖医療、内視鏡など、すべての領域で密度の濃い研修を提供する努力を重ねてきました。

 当大学では母体の救命救急、化学療法、放射線治療を併用した手術療法、卵巣組織の凍結を含めたがん生殖医療、先天的な異常がある胎児の治療は長良医療センター、極小未熟児や早産は岐阜県総合医療センター、婦人科内視鏡手術は岐阜市民病院といったように、それぞれの病院で専門領域を学んでもらいます。複数の病院を経験することで幅広い知識を得ることができます。

 また本人の希望に応じて日本周産期・新生児医学会専門医、日本婦人科腫瘍学会専門医、日本生殖医学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会認定医などを取得することも可能です。

 研修3年間は、産婦人科医としてのプライマリケアを学んでもらいます。その後、その方の希望に合わせたサブスペシャルティを選択してもらいます。

―岐阜県の産婦人科医療の課題は何でしょう。

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 岐阜市の周辺とそれ以外の地域では大きな医療格差が存在します。それをいかに解消していくかが大きな課題です。

 たとえ岐阜市以外の地域で医師が増えたとしても、指導できる立場の医師が岐阜市周辺に集中しています。今後は指導する医師が各病院間を流動的に移っていき、指導をして地域の底上げを図っていくといった派遣システムの変更も考えていかなければならないでしょう。

―産科婦人科のやりがいについて教えてください。

 私は産婦人科医とは女性の生殖を扱うことが仕事だと思っています。

 私たちは今の赤ちゃんが無事に出産できるだけではなく、次も元気な赤ちゃんを産んでもらうためにどうすればいいかを常に考えています。次世代の生命をつないでいくこと。それが、産婦人科医の役割であり、やりがいだと思うのです。

岐阜大学大学院医学系研究科 産科婦人科学
岐阜市柳戸1-1
TEL:058-230-6000(代表)
https://www1.gifu-u.ac.jp/~sanfujin/


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