医療法人協和会 北川 透 理事長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

地域医療をけん引
来春、重粒子線治療も

【きたがわ・とおる】 灘高校卒業 1985大阪大学医学部卒業 1989 同大学院医学研究科博士課程修了1996 米国ピッツバーグ大学外科客員研究指導員1999 大阪大学医学部第一外科助手 2011 医療法人協和会協立病院病院長 2013 同理事長 大阪大学医学部附属病院卒後教育開発センター特任教授2017 公益財団法人大阪国際がん治療財団副理事長

 兵庫県南東部や大阪府北摂エリアで六つの病院、四つの介護老人保健施設などを展開する医療法人協和会。2018年からは大阪重粒子線センターの運営にも携わる。北川透理事長に取り組みへの思いを聞いた。

ka18-1-1.jpg

◎急性期から在宅まで幅広く支える体制

 当法人は、木曽賢造初代理事長(現:協和会グループ会長)が1980(昭和55)年に兵庫県川西市に開設した協立病院が発祥となります。法人としては今年35年目を迎えます。

 現在、病院や介護老人保健施設に加え、在宅事業部なども運営しています。職員数は法人全体で約3000人です。

 当法人はこれまで各地域の医療の核となる病院やクリニックといった医療施設を設置。その後、介護老人保健施設、そして在宅支援部門などをその近隣に整備して、事業を展開。地域社会の医療や介護のニーズに沿うために、さまざまなサービスを提供し、結果的に、地域の急性期医療から在宅までを支える体制を構築してきました。

◎川西市や吹田市での社会的役割

 中でも、川西市には協立病院(313床)、第二協立病院(425床)、協立温泉病院(465床)の三つの病院があり、計約1200床を運営しています。

 協立病院は主として急性期を担い、第二協立病院は透析や回復期リハビリテーション、産婦人科や小児科と専門的な医療。協立温泉病院は慢性期の医療を中心に担っています。

 川西市は人口約15万人。当法人3病院の病床数を考えると、川西市で当法人が担うべき役割は小さくはなく、その責任の重さを感じています。

 一方、吹田市には大阪大学医学部附属病院、国立循環器病研究センター、市立吹田市民病院、大阪府済生会吹田病院、同千里病院、吹田徳洲会病院など、急性期病院が数多くあります。

 このため、グループ病院の協和会病院や千里中央病院では急性期医療を中心に行うのではなく、回復期や慢性期の医療にも重点をおいて展開しています。

 現在、地域医療構想に基づいて、病院の機能分化と連携を進めていくことが重要です。このため、地域包括ケアシステムの構築が推進される中、「治す医療」から「治し、支える医療」への転換が求められています。

 加えて、「時々入院、ほぼ在宅」を進めていくためには、病院と老健施設そして在宅部門の密接な連携が必要です。

 実際、がんの末期や重度の神経難病の患者さんなど、在宅での生活を継続したいと希望する患者さんは多数います。

 しかしそのような患者さんが在宅に戻りたいと思っても、「症状が悪くなった時はどうしたらいいのか」「いざという時入院できるのか」といった不安があるとスムーズな在宅移行は困難です。

 われわれとしては、患者さんの要望に応えながら、症状が悪化した際には、在宅支援だけでなく、レスパイト入院、あるいは入院で受け入れる体制を構築。安心した在宅生活を送ることにつながると考えています。

◎セラピストの人材教育に注力

 在宅復帰を進める中で、これを推進する重要な鍵のひとつは、リハビリテーションだと考えています。

 病院でのリハビリの重要性はもちろんですが、入院中だけ一生懸命リハビリを行い、家に戻ったら何もしないのではあまり意味がありません。

 退院後も通所リハ、訪問リハ等を通してリハビリを継続。最終目標は在宅での自立した生活であり、社会参加だと考えています。

 このためには、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーションの専門職が医師と共に、家族やケアマネジャーを巻き込んで計画を立てていくことが重要です。

 現在、法人全体で約400人のリハビリ専門職が在籍しています。3年ほど前から増員を進めており、病院だけではなく、介護施設や在宅支援部門でのリハビリの充実を目指しています。

 リハビリ専門職の教育や研修も大きな課題です。急性期医療から回復期、慢性期、在宅までの継続したリハビリをきちんと理解し、それを実践できることを目指した教育・研修プログラムを整備していこうと考えています。

 まず、入職後数年の間にこうした法人内の施設を異動しながら研修を行い、病院から在宅までのリハビリの継続性を学びます。その経験を踏まえて、各人の希望に応じた部署で活躍してほしいと考えています。

◎重粒子線センターの運営方針

ka18-1-2.jpg

 今年、新築移転した大阪国際がんセンター(旧:大阪府立成人病センター)に隣接して、2018年に「大阪重粒子線センター」が国内6施設目の重粒子線治療施設として開業予定です。

 2013年に、医療法人協和会が大阪府立病院機構の重粒子線がん治療施設整備運営事業における民間事業者となり、準備を進めてきました。今年設立した「公益財団法人大阪国際がん治療財団」が施設運営を担っていくことになります。

 重粒子線治療は、わが国が中心となって開発を進めた先進医療として、世界的にも注目を集めています。しかし、保険収載されているのは「切除非適応の骨軟部腫瘍」(2016年から)のみ。治療効果に関するエビデンスという点では、まだ十分ではなく民間が取り組むには課題も多い治療であると考えています。

 今後は、医療法人協和会や共同事業者のグリーンホスピタルサプライ、大阪府、大阪府立病院機構、そして大阪府下の5大学医学部の「産・官・学」が連携することで、本事業を成功させ、がん治療成績の向上に少しでも寄与することができればと願っています。

 大阪重粒子線センターは大阪市中央区大手前にあり、地下鉄の最寄り駅からは徒歩5分の大変アクセスの良い大阪の中心地にあります。また、大阪国際がんセンターに隣接していますので重粒子線の治療だけでなく、化学療法も含めた集学的治療も可能です。2018年3月に稼働し、患者さんへの治療開始は、同年の10月ごろを予定しています。

 患者さんは全国、さらには海外からも来院されることが予想されます。しかし、がんの患者さんの治療は、必ずしも重粒子線治療のみで完結するものではなく、再発する可能性もあります。

 このため、海外からであっても、医療施設を通じて紹介いただき、その上で治療後も、しっかりしたフォローが可能な体制で臨むことが重要だと考えています。

 すでに、米国のスタンフォード大学やメイヨークリニックから、建設中の施設を訪問していただいています。今後、国際的な連携についても進めていく計画です。

医療法人協和会(法人本部)
兵庫県川西市中央町15-25
TEL:072-758-7223
http://www.kyowakai.com/


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る