兵庫県立加古川医療センター 小川 恭弘 院長

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東播磨の"命のとりで"機能移管で病病連携も

【おがわ・やすひろ】 大阪府立北野高校卒業 1977 神戸大学医学部卒業 1981 医学博士 1988 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学研修 2005 高知大学医学部教授(放射線医学講座) 2012 同大学臨床医学部門長兼務2014 兵庫県立加古川医療センター院長

 兵庫県臨海部の中央に位置する東播磨地域の基幹病院として、2009年に新設された兵庫県立加古川医療センター。小川恭弘院長は2014年の赴任後、病病連携などに手腕を振るってきた。

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◎民間病院と連携診療機能を移管新設

 昨年12月、南棟を増築し、「リウマチ膠原(こうげん)病センター」や人工透析をする「血液浄化センター」などを開設。近隣にある民間病院「甲南加古川病院」から診療機能を一部移管し、運用を始めたものです。

 甲南加古川病院の前身は、リウマチ科で知られた国立加古川病院。国立病院が国立病院機構へ統合される中、採算が取れないという理由で民間へ移譲された後も、甲南加古川病院リウマチ膠原病センターとして発展してきた経緯があります。

 県内全域から訪れる3000人近い患者さんを抱えていましたが、経営的には苦しく、継続が危ぶまれる状況でした。

 そこで2014年の赴任後すぐ、甲南加古川病院のリウマチ膠原病部門と腎臓透析部門を当院へ移転する計画に着手しました。

 まず入院患者さんには当院に移ってもらい、それまでの主治医が引き続き診療に当たる。当院の循環器や脳外科の医師は甲南加古川病院で外来を担当する。スタッフや患者さんの中にある「両院を行き来するハードル」を下げることに注力しました。

 さらに甲南加古川病院の医師、臨床工学技士、看護師の中で希望者を募り、当院に移ってきてもらいました。先方には後輩の放射線科医もいましたし、職員間の意思疎通がうまく図れたことも、円滑な機能移転につながったように思います。

 結果として、当院は急性期、甲南加古川病院は慢性期として、すみ分けができました。合併後も稼働率が上がらずに苦しむ病院も多い中、移管によって、どちらも経営が成り立つ状態にできたのは珍しいケースではないでしょうか。

 経費も増築代の10億円程度ですみました。病床数は増やさずに、在院日数を維持しながら診療機能を強化することは、経営面でもメリットが大きい。何より、患者さんを守るための病病連携の事例になったのではないかと思います。

 ここ東播磨は病院や診療所などが数多くある地域です。医療機関が連携し、機能的に役割分担することで、さらに良質な医療が提供できると思います。

◎五つの政策医療を実践

 当院の前身は80余年の歴史がある兵庫県立加古川病院です。老朽化に伴い、今の場所に新築移転したのが9年前。合わせて名称変更しました。

 県立病院として、五つの政策医療を柱に診療しています。一つ目は、三次救急。兵庫県域の4分の1にあたる東・中・北播磨地域、人口約180万人のエリアをカバーしています。

 二つ目は生活習慣病の診療。もともと得意分野で、がんや糖尿病、高血圧症などの医療において県の拠点的な機能を担います。

 三つ目は緩和ケア。常勤医4人、全室個室25床の専門病棟を備えています。四つ目は神経難病医療。悪性関節リウマチなども含まれます。五つ目は、感染症。1類、2類感染症の指定医療機関として8床を有し、高度専門医療を提供します。

 一般病棟の病床数は290床で、うち130床が個室。ゆったりした環境で療養できると好評をいただいています。

 救命救急センターはICU8床、HCU6床、救急病棟16床の計30床。緩和ケア病棟と感染症病棟を含めると合計で353床です。

 病床数は決して多くありませんが、高機能な基幹病院として地域に根付いていると思います。

◎ドクターヘリの基地病院

 一つ目の柱である三次救急を担うのが、救命救急センター。意識不明や多発外傷といった命に関わる患者さんを24時間受け入れています。

 救急科の医師は13人。「1人の重症救急患者さんを、病院前から病状が安定するまでの間、一貫して診療する」ことが特色です。

 ドクターカーによる病院前救急診療に加え、2013年には兵庫県ドクターヘリの運行管理をスタート。製鉄記念広畑病院(姫路市)との共同運行体制をとっており、運行範囲は東・北播磨に加え、西・中播磨、丹波エリアに及びます。

 昨年度の出動件数は575件。現場出動が479件、災害出動が3件、傷病者の施設間搬送が93件でした。ドクターヘリで診療した傷病者は病状や病院の得意分野などに応じて運ばれており、当センターで半数ほど、残りは他病院で受け入れています。

◎災害拠点病院としての使命も

 県で16カ所指定された地域災害拠点病院の一つでもあります。東播磨地域では唯一で、災害時にDMAT(災害時派遣医療チーム)が活動する基地病院となります。

 私が赴任してきたころは周囲に建物はありませんでしたが、県が医療福祉ゾーンとして進める開発が少しずつ形になってきました。来年には兵庫県立健康科学研究センターが移転してきます。

 さらに1年半後には隣にスーパーやドラッグストアの物流倉庫ができる予定です。幸いなことに、災害時には院内備蓄だけでなく、この物流倉庫から提供される食料も使えることになりました。

 今後も健康・医療・福祉関連施設の集中が進めば、災害時医療もより効率的になります。住民にとっても大きな安心につながると思います。

◎エボラなどの1類感染症に対応

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 感染症に関しては、県に二つしかない第1種感染症指定医療機関として位置づけられています。もう一つは、神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市)です。

 感染症の中でも、感染力や重篤性などに基づく危険性が一番高いのが1類感染症。これらに対応できる感染症病床があるのは、全国にも52施設しかありません。

 専用病床は第1類2床、第2類6床。地下から専用エレベーターで患者を隔離収容できるようになっています。

 国内ではまだ1類のエボラ出血熱の感染が確定された人はいませんし、2類のSARS(重症急性呼吸器症候群)も入ってきていませんが、世界中の人々が往来する今、危険性は常にあります。

 例えば去年は、カンボジアからの帰国者が関西国際空港で発熱し、SARSの疑いがあると当院に収容されました。検査の結果は、ただのインフルエンザでしたが、水際で食い止めて広がりを防ぐ役割の重要さを改めて実感しました。

 専門医は常時必要ではありませんが、週1日、神戸大学の感染症内科の医師に来ていただいています。感染症防御の指導や安全管理に携わってもらい、いざというときは神戸大学と連携して対処する仕組みを確立しています。

兵庫県立加古川医療センター
兵庫県加古川市神野町神野203
TEL:079-497-7000(代表)
http://www.kenkako.jp/


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