兵庫医科大学 野口 光一 学長

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すべては学生のために充実した教育環境を提供

【のぐち・こういち】 1983 大阪大学医学部卒業 1989 同大学院医学研究科修了 同医学部第2解剖助手 1991 和歌山県立医科大学第2解剖助教授 1994 兵庫医科大学第2解剖教授 2016同学長

 兵庫医科大学(兵庫県西宮市)は2013年に「急性医療総合センター」、2015年に「健康医学クリニック」を開設。来年4月には「教育研究棟」の利用を開始し、さらなる教育環境充実に力を注ぐ。

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◎愛情と科学的視点双方を持った医師を養成

 建学の精神である「社会の福祉への奉仕」「人間への深い愛」「人間への幅の広い科学的理解」にのっとった、人間への深い愛情を持ち、かつ科学的な観察・理解に基づいて、社会の福祉に奉仕できる医師の育成を目指しています。

 これらを口で言うのは簡単ですが、実際に人を育てるということは、それほど簡単にできることではありません。そこで本学では豊かな人間性を持った医師を育成するための種々のカリキュラムを用意しています。

 1、2年次の早期臨床体験実習では、学生に医療の現場を見学してもらったり、看護や介護の仕事を体験したりしてもらいます。これにより、患者さんの気持ちを理解することにつなげています。

 また、3年次には、訪問看護ステーションで訪問看護師とともに行動し、在宅医療を体験する在宅ケア実習を行います。

 これらの実習を通じて、医療が病院の中だけのものではないこと、そして、世の中にはいろいろな境遇に置かれた人が存在することを知ることができると思います。

 患者さんの自宅に行って、生活を知ることは、とても大事なことです。学生のうちにこうした経験をすることは、将来、患者中心の医療を実践する上で、役立つでしょう。

◎学びのモチベーションを高める

 本学では、早期臨床体験実習で実際に医療の現場を見て、体験することによって医学生としての自覚を持ってもらい、医師の仕事のやりがいを知ってもらいます。

 また、人間は誰しも、自分が好きなもの、興味があるものには熱意を持って取り組むものです。まずは医師の仕事に興味を持ってもらい、モチベーションを高めてもらうことが重要だと考えています。そこで、医学部に入学してすぐに受けてもらう「医学部へようこそ」というカリキュラムでは、医療の最前線で活躍する教員に自身の体験談を語ってもらい、学生に医学に対する興味を深めてもらい、モチベーションが高まるような取り組みをしています。

 さらに本学では、高学年の学生が低学年の学生の指導をする「ピアサポート制度」を導入しています。高学年の学生には授業の受け方、試験対策の立て方などの指導をしてもらいます。

 成績が伸び悩んだり、大学に来なくなったりする学生は生活のリズムが狂ってしまっていることがあります。ピアサポート制度ではそういった生活面の指導も実施しています。

◎きめ細かな学習支援

 当法人の兄弟校である兵庫医療大学(神戸市)には薬学部、看護学部、リハビリテーション学部の3学部があります。

 毎年9月には、本学の3年生と兵庫医療大学の薬学部、看護学部、リハビリテーション学部の4年生が共同で「チーム医療演習」を実施しています。四つの学部の学生が入り交じった6〜7人のグループに分かれ、与えられた課題についてグループ内で討議。解決方法を模索し、その結果を発表してもらうという演習です。

 この取り組みによってお互いの専門性を認識・尊重しながら問題解決に臨むという、チーム医療に求められる基本的で大事な姿勢を学ぶことができます。

 また、卒業時の学生の臨床能力を評価する「臨床実習後OSCE(ポストクリニカルクラークシップOSCE)」が2020年度から全国の医学部で実施される予定ですが、当大学では10年前からこの臨床実習後OSCEと同様の取り組みである「アドバンスドOSCE」を臨床実習を終えた直後の6年生の6月に実施しています。

 アドバンスドOSCEでは、模擬患者を相手にした診察で患者の話を聞き、検査をして診断を行います。外科では手術衣を着て、シミュレーターによる縫合・抜糸などもします。

 また、遺伝カウンセリング、死亡宣告など、患者説明などの課題もあります。このように、臨床技術だけでなく、患者さんとのコミュニケーション能力など、臨床能力をトータルで評価しているのが特徴です。

 その後に「臓器別特別演習」を行い、学生一人ひとりの学習到達度に応じた卒業試験・医師国家試験対策を実施し、全員の医師国家試験合格を目指しています。

 具体的には「問題解決能力を養うための教育」「学力別クラス編成」「正しい学習を導くための適切な評価」を三つの柱に据えています。そして、勉強しやすい環境、適切な目標設定、個別指導・合宿・グループ学習などのきめ細かい学習支援をしています。

 こうした結果、2009年の第103回と、2012年の第106回の医師国家試験の新卒の合格率は100%。ほかの年も90%前後で、関西の医学部の中でもトップクラスの合格率を誇っています。

◎研究医を養成

 基礎研究や臨床研究に従事する医師を養成するための「研究医コース」をカリキュラム内に設けています。

 研究医コースは、3年生を対象にした「研究の基礎を身につけるプレコース」と、4〜6年生を対象にした「テーマを持って研究する専門コース」の2段階で成り立っています。

 3年次のプレコースでは学内の研究室を複数ローテートしてもらい、研究医としての土台固めをしてもらいます。4〜6年次の専門コースでは研究室を選択し、本格的に研究をしてもらいます。

 研究医コースにいる間は海外留学も可能で、留学費用の半分を本学が負担します。

 基礎研究でデータを出して、それを国内外に発表する経験は、臨床においても大切です。本学の教授もほとんどは、若いころに基礎研究に従事していました。

 将来、もし教室のリーダーになって臨床研究をまとめるときがきたら、きっとその経験が生きることでしょう。

◎世界大学ランキングで高い評価

 イギリスの教育専門誌「ザ・タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が毎年発表している「世界大学ランキング」の日本版2017において、本学が教育リソース分野で医学部を持つ私立大学で1位、全体でも13位になりました。

 この「世界大学ランキング」は「教育リソース」「教育満足度」「教育成果」「国際性」という4分野の評価項目で構成されています。

 本学は「教育リソース」分野での学生1人あたりの職員数、教員1人あたりの論文数・被引用回数、大学合格者の学力、教員1人あたりの競争的資金獲得数などが高く評価されたのです。

 本学の創設者である森村茂樹先生は、研究に対してとても熱意を持っていた人で、各教室に支給する研究費や、研究施設に対する投資に力を注いでいました。

 世界大学ランキングで評価された1人当たりの競争的資金獲得数の多さや1人当たりの論文提出数などは、この賜物(たまもの)だと思います。今後も研究に力を注いでいくつもりです。

 2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典さんは、日本の大学の研究費不足に対し「このままでは将来、ノーベル賞が出ない国になる」と警鐘を鳴らしています。その証拠に研究論文の数は減少傾向です。2005年ごろはアメリカに次ぐ世界第2位だったのが、2013年には中国とドイツに抜かれて世界第4位になってしまいました。近年、日本の大学の研究費は高名な先生の教室に重点的に配分される傾向にあります。しかし、そのような重点主義には限界があるのではないかと私は考えています。

 本学では教室間にそれほど差が出ないように配慮して研究費を配分するようにしています。各教室が切磋琢磨(せっさたくま)してこそ初めて研究成果という芽が出てくると思うのです。

◎教育研究棟を新たに建設

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 教育研究施設のさらなる充実のために、現在、新たに教育研究棟を建設中で、来年4月から利用を開始します。

 鉄骨造りの12階建てで、1階から6階までは図書館や学生食堂、学生ラウンジ、ラーニングスクエアなど学生のための施設を設置。7階から11階は実験室や研究室。12階には6年生専用の自習室を設けるようにしています。

 3階のラーニングスクエアは開放的な空間で、学生が集まって仲間と議論するスペースになると思います。

 今の学生は1人で勉強するのではなく、友だちとグループで勉強する傾向にあります。仲間と集えるスペースを設置することで、勉強に対するモチベーションの向上につながることを願っています。

 また、12階の6年生専用自習室は24時間利用可能です。国家試験のための勉強に使ってもらえればと考えています。

 教育研究棟出入口はもとより、各所にセキュリティーシステムが備わっており、防犯対策は万全です。

 教育研究棟がオープンすることで、これまで以上に快適で、充実した教育環境を提供できると思います。

 医療の世界は日進月歩です。医師を引退するまで、学び続ける姿勢がないと取り残されてしまいます。自らを高める努力をコツコツと続けられる人にぜひ入学していただきたいと願っています。

兵庫医科大学
兵庫県西宮市武庫川町1-1
TEL:0798-45-6111(代表)
http://www.hyo-med.ac.jp/


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