大阪府済生会吹田病院 黒川 正夫 院長

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未来への積極投資
人づくりとICT

【くろかわ・まさお】 1978 京都府立医科大学卒業 同整形外科入局 1988 公立湖北総合病院整形外科部長 1998 大阪府済生会吹田病院整形外科部長2005 同副院長 2014 同院長

 吹田市唯一 の病院として産声を上げてから70余年。「生(いのち)を済(すく)う病院」として根付く大阪府済生会吹田病院。6代目院長に就任して4年目を迎えた黒川正夫氏に、オリジナルナースバンクやICT(情報通信技術)を活用した「さいすいヘルスケアネット」など、独自の取り組みについて聞いた。

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◎独自のナースバンク「くわいナース制度」

 当院は28の診療科と8つのセンターを持つ500床の急性期病院です。開設は戦後間もない1945年10月。「千里ニュータウン」がまちびらきしてからは、地域のお産ブームを一手に引き受けて発展してきた歴史を持ちます。今も周産期医療に関しては力を入れています。

 当院には「くわいナース制度」いう独自の登録制ナースバンクがあります。潜在看護師の発掘と有効活用を目的に2008年に開始。「ライフイベントによってキャリアを中断することなく働き続けたい」という看護師がターゲットです。

 最大の特色は、1日2時間、週1回からでもOKという極めてフレキシブルな勤務体制。時間帯や曜日は、看護師 自身で決めることができます。働きたい日を提出してもらい、看護部が受け入れ部署を調整して勤務スケジュールを作成するというシステムです。

 仕事内容は、保清・環境整備・点滴作成など、看護師資格があればできる基本的な業務がメイン。子どもの急な発熱や、学校行事などで休む場合にはいつでも対応しますし、院内保育所も低額で利用できます。

 また、ブランクがある人のために、独自のe-ラーニングも導入するなど、復帰しやすい体制も整えています。

 現在の登録人数は50人強。制度を利用して勤務する「くわいナース」からは、「急な休みも遠慮なく取れる」「久々に患者さんと関われてうれしい」などの声が上がっています。受け入れている当院の職員からも「欠員のカバーができた」「受け持ち患者のケアに時間がとれた」などの意見が聞かれます。

◎訪問看護へつながる人づくり

 「くわいナース制度」は一定の成果を収めた一方、同じ人が同じ勤務体制で勤め続けるというケースも増加しました。

 再習得してもらった知識や技能を、必要とされる現場にもっと還元してほしいという思いもあり、新たな活躍の機会を提案しています。

 具体的には、当院と提携している訪問看護ステーションに移り、仕事を続けてもらっています。今では病院以外でもプライドを持って頑張っている方が増えています。

 訪問看護に携わるのは「くわいナース」に限りません。看護部では半年間、訪問看護ステーションで勤務する独自の義務研修をしています。

 地域に回復期や療養型、地域包括ケア病棟などが少ないという現状を考えると、退院してすぐに在宅で過ごすようになるケースが多い。しかし訪問看護ステーションにはなかなか人材が集まらず、現状を打開するための人づくりが求められています。

 今後、訪問看護は確実に需要が伸びる分野です。そこを担える人材を育成することは、私たちに課せられた使命でもあると思っています。

◎「人材開発室」で横のつながりも

 医療で最も必要なことは「ペイシェントファースト」。自分の持つスキルを患者さんに最大限還元するような風土・文化が重要です。

 そこで院長就任時に独立させたのが「人材開発室」。教育と研究を柱に人材を育成する部署です。

 意識しているのは、横のつながり。入職してすぐ、1年目、若手、中堅など職種の枠を超えた階層別研修を実施。少しずつコミュニティーが醸成されてきたように思います。

 吹田市の人口は2030年以降、減少に転じると予測されています。その環境に適応するために、急性期をベースにしながら、退院後の生活をいかにサポートするかが大切です。医療と福祉に取り組む済生会の特長として、訪問看護を含む退院後の支援にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。

◎ICTの活用でカルテを共有

 今年4月、試験的に始めたのが地域連携ネットワークシステム「さいすいヘルスケアネット」。患者さんの電子カルテの一部をかかりつけ医と共有するものです。

 現在、公開対象とする情報などについては、モニターになっている診療所と相談しながら進めている段階です。クリニカルパスに含まれている情報は早期に共有が可能になるでしょう。検査結果、X線やMRI、CTなどの画像情報も形式が決まっているので、すぐに共有することができます。

 一方で、サマリーなどカルテ情報は共有するのが難しい。電子カルテはメーカーがばらばらで共通の言語になっていないためです。

 そんな状況の中で、私が取り組みたいのは、院内外のカルテ情報の統一フォーマット化です。電子カルテを一つひとつ加工するとなると時間や人手がいくらあっても足りないので、内容をすぐにフォーマットに移行できるシステムが必要です。正しい情報さえインプットできれば、将来的にはAI(人工知能)が自動的に処置内容などを判断できるようにもなるでしょう。

 並行して取り組んでいるのが、名刺入れ程度の大きさの端末で、訪問看護先の患者さんの心電図などのデータを収集する実験です。どんなデータを集めてどう利用できるか、開発メーカーと協議しながら進めています。このような情報も「さいすいヘルスケアネット」で活用できたらと考えています。

 「さいすいヘルスケアネット」が広がれば、訪問看護の効率も上がるでしょう。ステーションに出勤せずとも、利用者さんのお宅へ直接行ける。可能性が広がりそうです。

◎「健康管理センター」「健都」に移転

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 当院が運営するセンターの一つに「健康管理センター」があります。今は院内に設置していますが、来年の秋ごろに移転する予定です。

 場所は、JR吹田駅の隣にある岸辺駅の駅前。吹田操車場の跡地で進んでいる北大阪健康医療都市、通称「健都」プロジェクトに乗り入れるかたちです。

 「健都」には国立循環器病研究センターや吹田市立市民病院、国立健康・栄養研究所も移転する予定で、医療クラスターとして期待されています。循環器病予防が一つのキーワードになってきますので、当院もぜひ参加していきたい。これまでのように診断・治療からスタートする医療ではなく、その手前の予防から始めて治療、在宅までをまとめて担いたいと思っています。

 商業ビルにはクリニックも8施設ほど入居する予定と聞いています。当院の健康管理センターでは、二次検診、人間ドッグ、企業検診を中心に据えていく予定です。

 移転後の健康管理センターは、診療所として独立しますので、済生会の一員として無料低額診療事業となでしこプラン(生活困窮者支援事業)にも取り組みます。

 大阪の済生会8病院で実施している釡ケ崎地区健診事業とともに、これまでも支援してきた、健診を受けにくい、あるいは健診に抵抗のある患者さん方も積極的に受け入れて、健康管理のお手伝いをしていけるようしたいですね。

大阪府済生会吹田病院
大阪府吹田市川園町1-2
TEL:06-6382-1521(代表)
http://www.suita.saiseikai.or.jp/


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