医療法人千寿会 道後温泉病院 奥田 恭章 院長

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8月、新病院オープン
関節リウマチ診療と今後のビジョン

【おくだ・やすあき】 1986 香川医科大学(現:香川大学医学部)卒業 1992 道後温泉病院リウマチセンター内科部長2009 同副院長 2013 同院長

 広い廊下や温かみのある色彩で統一された開放的な空間―。

 8月に新病院での診療を開始した道後温泉病院は、専門のリウマチ診療のみでなく、病診連携及び在宅療養支援の役割にも力を入れている。新病院の特徴と地域における在り方を聞いた。

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◎新病院の特徴

 以前は、ホテルだった建物を病院に改装して使用していました。しかし、耐震強度を満たしておらず、建てた時の図面の紛失により耐震補強工事も困難で、建て替えの必要がありました。そこで2015年、新病院建設に着工。2017年8月に新病院での診療を開始しています。

 病床数は234床から224床に少しダウンサイジングしましたが、病院全体の面積はこれまでよりも広くなりました。

 これまでは9階建てで一病棟38〜40人の入院病床数だったのを、新病院では7階建てにして一病棟最大60人が入院できるようにしました。

 大きな窓から太陽の光が降り注ぎ、道後地区一帯を見渡せる開放的なリハビリテーション室。ここでは、セラピストによる関節リウマチなどの手術後の患者に対する筋力強化訓練や関節可動域訓練(ROM訓練)、脳血管障害や急性期の心臓疾患後の患者を対象とした立位訓練や平行棒歩行、自転車漕(こ)ぎなど、さまざまなリハビリが行われています。

 リハビリ室に行かなくても、歩行練習のために、1周77mある病棟の廊下の幅を広くし、十分な歩行スペースを確保しています。10mごとに歩行距離を示す印がしてあり、患者さんが目標をもってリハビリに取り組めるように工夫しています。

 温泉は、これまでよりは小規模ですが病棟に設置しています。ADLが悪い人も介助浴・特浴室で入浴することができるので、障害のある患者さんにも喜ばれています。

◎リウマチ患者の傾向と治療について

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道後温泉の街並みを一望できる、開放的なリハビリテーション室

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病棟の廊下にある歩行距離表示。歩行訓練をする患者さんのやる気を支えている

 リウマチを発症するのは40代〜50代がピークです。それより若い年代は、女性ホルモンが影響するため4対1ほどの割合で女性が多く発症しますが、発症年齢が高齢になるにしたがってその男女比は1対1に近づいていきます。

 薬物療法の進歩により、リウマチは外来での治療が主流になってきています。メトトレキサートやアザルフィジンENなどの抗リウマチ薬で治療を開始し、それで効果が十分でない場合は生物学的製剤による治療をお勧めし、導入しています。

 病棟は、抗リウマチ薬を使用しても病状が安定しない場合の活動性コントロールや、関節が変形・破壊されて人工関節置換術などを受けた患者さんや合併症を併発した患者さんが一時的に入院しています。また病診連携を通じてADLの低下した患者さんの受け入れも行っています。

 高齢でリウマチを発症する人の中には、生活様式や肥満が原因で膝に過度な負担がかかり、リウマチを発症する前から苦しんでいる人もいます。この場合、関節破壊が早く進行し、ADLが急激に低下するため、人工膝関節置換術を早期に検討する場合があります。

 リウマチのコントロール不良の結果として生じる重篤な合併症で「AAアミロイドーシス」があります。急性期蛋白SAA(SAA)が分解不全をおこし、SAAの約3分の2の大きさのAA蛋白が臓器に沈着し、ネフローゼ症候群や腎不全といった腎障害や、消化管に障害が生じる疾患です。

 私は、厚生労働省の難治性疾患対策研究班(関節リウマチ、アミロイドーシス)に所属しており、疫学研究や診療ガイドライン作成などに関与しています。

 AAアミロイドーシスは薬物治療によるリウマチのコントロールがうまくいかない人に発症します。消化管生検にて約6%の患者さんに沈着を認めますが、リウマチのコントロール状態も近年良くなってきており、その数は減少傾向にあります。治療法も着実に進歩しており、当院ではリウマチ性疾患群の中核病院を目指し、治療の成果を論文化して発信。その多くが臨床や研究の場で広く利用されています。

◎充実した職員数

 常勤の医師は15人。日本リウマチ学会専門医が9人で、うち7人が指導医です。それ以外の若い医師もみんなリウマチの専門医取得を目指して頑張っています。また、日本リハビリテーション学会認定医は6人います。

 約10年前に20人ほどしかいなかったリハビリスタッフは、地域における優れたリハビリテーション病院としての役割を果たすために、新卒を毎年5人以上ずつ積極的に採用して増員。現在は理学療法士が34人、作業療法士が24人、言語聴覚士が3人と計61人在籍しています。看護部も日本リウマチ財団認定のリウマチ登録ケアナースを38人が取得。各部署が研究会や学会で当院の臨床の成果を発表しており、全国レベルでも高い評価を受けています。

 また、結婚や出産を経て復帰してくる職員も多く、メディカルスタッフの定着率は高いです。

◎地域における在り方と今後の展開

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 国は地域医療構想として高度急性期、急性期、回復期、慢性期への機能分化を進めており、松山市でも規模の大きな病院は、急性期に特化するところがほとんどです。

 そこで、新病院では地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟を増床し、病診連携を充実させて急性期後の患者さんを積極的に受け入れています。自宅に帰る人は支障なく生活が送れるくらいまでADLを改善させることを目標にリハビリを実施しています。

 また、医療費を抑えて地域で診ていくという観点から訪問診療の需要が高まってきています。

 そこで当院では2014年「在宅療養後方支援病院」の施設基準を取得しました。在宅診療を担うクリニックや介護施設と連携し、在宅や施設での療養や診療が一時的に困難になった患者さんを受け入れます。

 受け入れ後は全身精査と加療、リハビリを行います。自宅での生活が難しい場合は、医療ソーシャルワーカー(MSW)を介入させ、適切な施設につなげる役割も担っています。

 「リウマチセンター」としての役割、急性期を脱した患者さんへの「リハビリテーションセンター」としての役割(ポストアキュート)、さらには「在宅療養の後方支援」的役割(サブアキュート)。この三つを柱に、長年培ってきた専門的チーム医療力をもって、今後も地域医療に貢献していきます。

医療法人千寿会 道後温泉病院
松山市道後姫塚乙21-21
TEL:089-933-5131(代表)
http://doh-racenter.jp/


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