第11回LMF研究会―解明進む「低分子化フコイダン」

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臨床応用の可能性広がる

 9月3日、アクロス福岡(福岡市)で「第11回LМF研究会」が開かれた。プログラムのメインは、北海道から沖縄まで、全国から参加した会員による「低分子化フコイダン(LМF)」を活用した症例報告。研究会の特別顧問を務める白畑實隆九州大学名誉教授らが基礎研究で蓄積してきた知見は、臨床の場でどう生かされたのか。会場では、さまざまなアプローチでLМFを取り入れた成果が発表された。

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 同会は2011年、LМFの基礎研究と臨床研究の推進を目的に設立。作用や機能を解明し、治療、疾病予防につなげるべく、多施設共同研究などに取り組んでいる。現在、会員数は50人。北海道から沖縄まで各地の医療者が名を連ね、研究ネットワークのさらなる充実を図っている。

 フコイダンはモズクやコンブ、ワカメから抽出した「ぬめり成分」。酵素の働きによって分子量500以下まで分解したものが低分子化フコイダンと呼ばれる。

 消化管から吸収しやすく、腫瘍の増殖を抑制する作用があるとされる。LМF研究会は「進行がん患者のQОL(生活の質)に及ぼすフコイダンの抗炎症効果に関する探索的検討」の表題で「インテグレーティブ キャンサーセラピーズ」に臨床論文を発表。サプリメントとしては珍しいケースだ。フコイダンの研究は世界的にも進んでおり、論文数は1500超。増加傾向にある。

アポトーシスを誘導

 今回、LМF研究会の世話人を務めたのは医療法人喜和会喜多村クリニック(福岡県大野城市)の喜多村邦弘院長。「低分子化フコイダンとがん治療」と題した基調講演では、現時点で考えられるLМFの主な作用と、同クリニックでがん患者の治療に低分子化フコイダンを用いた症例を報告した。

 「がんは、アポトーシス(細胞死)を起こさない、免疫を抑制する、血管新生を誘導する、複製することで死滅しないなど、10の主な特徴をもつといわれる。LМFにはこれらを幅広くカバーする働きが期待されている」と喜多村院長。

 これまでLМFのがん細胞に対する「三つの作用」として「がん細胞を自然死へ導く」「がん細胞の周囲に新しい血管ができるのを防ぐ」、そして「免疫力を強化する」が挙げられていた、と説明した上で、「三つの作用に加えて、がん細胞の接着を阻止したり、転移・浸潤を防いだりするほか、マウスによる実験では、がんの増殖を阻害して、延命効果が認められたとする研究成果も報告されている。がん細胞と正常細胞を見分け、正常細胞には影響を及ぼさないことも分かってきた」と述べた。

 LМF研究会の特別顧問である白畑實隆九州大学名誉教授、同大学院の照屋輝一郎助教(農学研究院生命機能科学部門システム生物工学講座細胞制御工学分野)が実施した基礎研究では、線維肉腫、白血病といった悪性腫瘍においてLМFを投与したところ、「がん細胞のアポトーシスを誘導し、減少させる結果が得られた」という。

 「活性酸素を抑制するほか、マクロファージやNK細胞を活性化し、間接的に腫瘍免疫力を向上させることも確認されている」と解説した。

相乗効果に期待

 喜多村院長は、「私が最も関心を寄せているのは、抗がん剤の作用を増強すると考えられる点。例えば乳がんではシスプラチンにLМFをプラスすると、LМFを使用しない場合と比較して、がん細胞が死滅する割合がおよそ2倍に増加したとの報告がある。また、抗がん剤の副作用を軽減するデータも発表されている」と、抗がん剤とLМFの併用についても言及した。

 同クリニックでは、さまざまなアプローチによるLМFの臨床応用を探っている。

 「70歳男性の肺がんのケースでは、タキソテールと併用してLМFを1日300cc投与した。1カ月間で、急激に腫瘍マーカーが低下。併用開始前と後のCT検査により、6cmの腫瘍がほぼ消失したことを確認。抗がん剤とLМFがそれぞれどの程度作用したかは分からないが、一般的にこの大きさの腫瘍が1カ月間で消えてしまう例は極めて珍しい。これまでの基礎研究の報告を踏まえると、やはり相乗効果によるものではないか」と見解を述べた。

 また、抗がん剤を使用しない症例もある。喜多村院長は、「50歳女性、卵巣がん術後、腹水細胞診検査で陽性だった女性は、1日400ccのLМFを服用した。約4週間で腫瘍マーカーが正常化。その後も再発は認められなかった」と報告した。

 喜多村院長によると、がんが再発したり、転移したりするのは、「がん幹細胞」を一掃するのが難しいからだという。

 腫瘍が2mmを超えるサイズに成長すると、酸素や栄養を必要として血管新生を起こす。抗がん剤や放射線治療を逃れたがん幹細胞が「循環腫瘍細胞」として血液中をめぐり、再発や転移の原因となることがある。

 「循環腫瘍細胞を用いた検査の結果では、LМFが、がん幹細胞にもアポトーシスを起こすことを示した。がん治療のベースに使用する天然成分の一つとして有用だと考えている」と結んだ。

第11回LМF研究会

[プログラム]

2017年9月3日 第11回LMF研究会
アクロス福岡
世話人:喜多村 邦弘氏(医療法人喜和会 喜多村クリニック 院長)
代表世話人:川口 光彦氏(医療法人川口内科 川口メディカルクリニック 院長)

[第1部]

●基調講演
医療法人喜和会 喜多村クリニック 院長
喜多村 邦弘氏
「低分子化フコイダンとがん治療」

●症例報告1
九州大学 名誉教授
医療法人原三信病院 顧問 寺嶋 廣美氏
「原三信病院におけるハイパーサーミアとLMFの併用例について」

●症例報告2
西本クリニック 院長 西本 真司氏
「甲状腺がんⅣ、乳がんⅡ、盲腸がん腹膜播種Ⅳ、大腸がんⅠ胸部帯状疱疹症例の抗p53抗体改善、長期延命症状改善報告」

[第2部]

●パネルディスカッション
「LMFの臨床応用について」
[パネリスト]
医療法人喜和会 喜多村クリニック 院長 喜多村 邦弘氏
統合医療センタークリニックぎのわん 院長 天願 勇氏
西本クリニック 院長 西本 真司氏
医療法人康陽会 花牟禮病院 院長 花牟禮 康生氏
九州大学大学院 助教 照屋 輝一郎氏

●症例報告3
希望クリニック 院長 堀田 由浩氏
「当院の統合医療的がん治療の経験」

●論文発表報告
琉球大学医学部附属病院 特任助教 高橋 秀徳氏
「Integrative Cancer Therapiesへの発表について」

●症例報告4
鈴木形成外科 院長 鈴木 晴恵氏
「フコイダンクリームの使用症例」
螺良歯科医院 副院長 螺良 修一氏
「フコイダンクリームを活用した歯科的対応」

【次回開催】

「第12回LMF研究会」 2018年9月
世話人:螺良歯科医院 副院長 螺良 修一氏

LMF研究会事務局(公益社団法人 生命科学振興会内)
http://lmf-assoc.jp/
問い合わせはメールのみ受け付け

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螺良修一氏

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鈴木晴恵氏

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堀田由浩氏

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西本真司氏

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寺嶋廣美氏

●症例報告1
九州大学 名誉教授 医療法人原三信病院 顧問 寺嶋 廣美

 60代男性、肺がんⅣ期の患者。2015年10月に原三信病院(福岡市)でハイパーサーミア(温熱療法)を希望。同年11月、LМFとハイパーサーミアの併用を開始。2016年6月、CT検査で肺がんの病巣縮小を確認。全身状態良好となった。2017年3月にニボルマブの副作用で副腎機能が低下。化学療法、LМF、ハイパーサーミアを継続し、食欲良好で呼吸困難も減少した。

●症例報告2
西本クリニック 院長 西本 真司

 60代女性、乳頭腺管がんの患者。初回の化学療法後、全身に強い倦怠感があり治療を中止。セカンドオピニオンを希望し当院を受診。抗がん剤治療の中止後、「3日間統合医療断食療法」の糖質制限食とLMFを中心とした統合医療で、500を超えていた抗p 53抗体が、10を割るまで低下。職場復帰後、定年まで勤め上げ、術後5年4カ月、QOL良好。

●症例報告3
希望クリニック 院長 堀田 由浩

 60代男性、胃がんⅣ期の患者。術後8カ月間、化学療法と温熱療法、ビタミンCを摂取。1年3カ月後のPET-CT検査で再発を確認。化学療法とLМF併用で3カ月後、改善がみられた。再発の理由は、根本的な原因である免疫力の低下が改善できていなかったためではないか。患者一人一人の原因を総点検し、個別の工夫が必要だと感じている。

●症例報告4
鈴木形成外科 院長 鈴木 晴恵

 アトピー性皮フ炎の20代女性。エステティシャンだが薬品で手が荒れるなどの理由で客に触れる業務を担当できず。ステロイドと併用してフコイダン含有クリーム「パワーフコイダンクリーム」を40日間使用。症状が改善し、現在、ステロイドの使用はやめている。

螺良(つぶら)歯科医院副院長 螺良 修一

 口唇ヘルペスの30代男性。「パワーフコイダンクリーム」を1日3回塗布することで、大幅な改善がみられた。また、他院に入院加療中の1歳8カ月男児のケース。主治医の要請により下口唇潰瘍に対してフコイダンクリームを1日3回塗布。1週間程度で改善した。


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