長崎大学大学院医歯薬学 総合研究科循環器内科学 前村 浩二 教授

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循環器医療の地域連携を推進

【まえむら・こうじ】 ラ・サール高校卒業 1986東京大学医学部卒業 1996 同第三内科助手 米国ハーバード大学留学 2001 東京大学医学部附属病院循環器内科助教 2008 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学教授

 長崎大学循環器内科学の前村浩二教授は、2008年の就任以来、長崎県内の循環器医療をけん引してきた。講座運営への思いなどを聞いた。

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◎長崎の循環器医療最後のとりでとして

 当院は、特定機能病院として、先端医療に取り組んでいかなければなりません。県内で初めてTAVIや冷凍(クライオ)アブレーションを取り入れたことなどもそうですが、常に、先進的な医療に取り組む使命があります。また、当院は「植込み型補助人工心臓」の患者さんの治療にも力を入れており、これまで6人の手術を実施、現在は外来で3人を診ています。

 また、県内唯一の医学部として、また、長崎の地域医療の最後のとりでとしての責任を担っています。

◎新たな取り組み冷凍アブレーション

 心房細動の治療として、冷凍アブレーションを始めました。

 従来の高周波アブレーションはカテーテルを動かしながら肺静脈周囲を点で1周焼灼。一方冷凍アブレーションはバルーンを使い、1度で円周状に冷凍凝固させます。高周波で施術する場合の施術時間は約3時間、クライオの場合は約2時間。患者さんの体への負担も少なくなります。

 心房細動へのアブレーションは、昨年は50例から60例の実績。今年は、70例から80例となる見込みです。

◎内科全般を診る医師養成

 医学部は地域医療を支える教育機関でもあります。学部の学生をはじめ、研修医、専門医を育て、それらの医師を地域に派遣しなければなりません。

 都会の病院であれば、専門の医師として循環器領域の治療しかしない、ということも成り立ちます。しかし、地域の大学病院の場合、関連の病院に行った時に「私は循環器疾患だけしか診られません」というわけにはいきません。

 内科全般を総合的に診療できる上で、専門として循環器疾患が診られることが大事です。関連病院の医師の8割ほどは総合内科医の役割を担っているかもしれません。

◎心不全パンデミックに備える

 高齢化に伴い、循環器疾患の増加、いわゆる「心不全パンデミック」への対策も考えていかなければなりません。

 日本循環器学会は2016年に「脳卒中、循環器病克服5カ年計画」をつくりました。脳卒中、循環器病の死亡率を減らすことを目指し、人材育成、予防・啓発などの戦略を挙げています。

 長崎県においても、特に高齢者の心不全の患者が増加しています。これに対応するためにも、地域で連携を取りながら心不全患者を診る体制が必要です。

 しかし、現在はまだ、その連携が取りきれていないのが実情です。

 例えば、大学病院に救急でかなり高齢の心不全の患者さんが運ばれてくることがあります。しかし、その方は高齢のため侵襲的な治療はほとんどできない。つまり、大学病院として本来やるべき治療ができないのです。

 結果的に、高度な医療が必要な患者さんに対応できないといったケースも起こりかねません。

 一般的な心不全は、各地域の病院である程度は対応するなど、病院の役割分担は今後必要になってくるかもしれません。

◎地域での多職種連携の動きも

 心不全の場合、その後の回復期での治療、特に心臓リハビリテーションが重要です。あわせて、心不全の患者さんを在宅で診られるような多職種連携の体制を整備し、そのための人材を育てなければいけません。

 長崎県や九州の場合、私が世話人を務めている心臟リハビリテーション研究会や心リハ学会の九州地方会などをはじめ、多職種の組織も早くから作られ、連携も活発です。特に、セラピストなどメディカルスタッフは発表会、勉強会なども積極的に取り組んでいます。

 最近では心臓リハビリテーションの概念が広がっています。

 これまでは、運動療法を中心に体を動かすことが心リハの考え方でした。しかし最近では、これに加えて、食事の指導なども含めて非薬物療法が心不全の再発を防ぐポイントです。

 そのためには、患者教育が一番重要です。よって、患者さんを指導する立場の医師、看護師、リハスタッフがチームで一緒に患者さんを診ていくための連携がより重要となってくるのです。

◎関心高まる心不全の緩和ケア

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 循環器疾患に関わる医療職が、心不全の緩和ケアに取り組もうとしています。現在、がんの緩和ケアは当たり前になっていますが、心不全の緩和ケアはあまり取り組まれていませんでした。

 医療者が、循環器疾患に対し「最後まで治療を施す」「あきらめない」といった考えで治療にあたっていますから、患者さんの緩和ケアをするというところにまで目を向けていませんでした。

 今年4月、本学で初めて「長崎心不全緩和ケア研究会」の講演会を企画したところ、100人を超える医療職が集まりました。

 循環器疾患が増加するなか、多職種の医療職が高い関心を持っていることがわかりました。今後、大学主導で取り組まなければならないテーマのひとつです。

◎心脈管作動物質学会会長に

 2018年2月9日、10日、本学で「第47回日本心脈管作動物質学会」を開催、会長を務めます。

 この学会は、循環器の臨床の医師と基礎系の医師が共に論議できる場。心脈管作動物質に関する最新の研究成果を発表。また討論も活発です。

 テーマは「温故創新―心脈管学の新しい潮流」。西洋医学の礎を築いた長崎から新たな情報を発信したいと考えています。

長崎大学大学院医歯薬学 総合研究科循環器内科学
長崎市坂本1-7-1
TEL:095-819-7200(代表)
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/junkanki/


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