鮫島病院 鮫島 健 名誉院長

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さらなる啓発と環境整備を

【さめじま・たけし】 1958 九州大学医学部卒業 1964 九州大学附属病院神経精神科助手 1975 国立肥前療養所副所長1982 鮫島病院開設 同院長 2017 同名誉院長

 日本精神保健福祉連盟会長、日本精神科病院協会名誉会長など、精神科領域の複数の組織の要職を務める鮫島病院の鮫島健名誉院長。

 長年日本の精神科医療を見つめ続けてきた同氏が考えるこの領域の未来とは。

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◎認知症患者への対応と課題

 厚生労働省が2015年1月に発表した「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて」(新オレンジプラン)では2025年には認知症の患者さんが700万人を超えるだろうと推計しています。

 当院を開院したのは、1982(昭和57)年。当時、認知症は「精神疾患であり、医療の対象だ」という認識が一般的でしたので認知症患者はすべて精神科の病院に入院していました。

 現在は、せん妄や暴力・暴言などのBPSDが強く、対応が難しい患者さんは精神科に入院。多くは在宅または特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホームなどを利用するのが一般的です。

 施設職員の認知症患者への対応、理解は年々深まってきています。しかし厚労省が実施した委託調査によると、一部の施設で認知症患者への身体拘束があることが報告されています。

 精神保健福祉法の第36条第3項では精神科に入院する患者さんの行動の制限について「患者の隔離その他の行動の制限は、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない」と規定しています。

 要するに精神科病院では精神保健指定医が認めた場合にのみ身体拘束が可能なわけです。しかし一般の施設でも身体拘束が必ずしも適切とは言えない状況でもなされています。これは重大な人権侵害だと言えるのではないでしょうか。

 今後も認知症患者は増え続けるわけですし、身体拘束が今後も増え続ける可能性は十分に考えられます。認知症患者に対する適切な対応方法についての啓発はこれからの課題です。

◎増える大人の発達障害

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 かつて統合失調症は症状の安定が難しく、患者さんは一度入院するとなかなか退院できない状況が続きました。しかし、近年は薬物治療の進歩などで、症状をコントロールできるようになりました。入院せずに外来で治療を受けて地域の中で日常生活を送ることも可能な時代です。

 ひと昔前の入院患者は統合失調症の患者さんがほとんどでしたが、近年はうつ病などの気分障害や認知症、発達障害の割合が増えてきています。

 発達障害の人は、特定領域の才能が優れていると言われています。幸運にも、そうした自分の才能に気付き、それを生かせる職業に就くことができればいいのでしょうが多くの人はそうではありません。

 学生時代は成績優秀。しかし実は発達障害があり、就職したらミスを繰り返してしまう。いわゆる「大人の発達障害」の方が、当院の外来患者さんでも増えてきました。

 ミスなどで職場での立場が悪くなり、ストレスでうつ病を発症する発達障害の人もいます。当院では発達障害の患者さんに対して復職支援を実施しています。

 また周囲の無理解によって、いじめの対象となってしまう子どもさんもいるでしょう。ただ、発達障害や自閉症などの障害がある子どもさんをみてくれる加配の先生がいる保育園や幼稚園、小学校に入ることができれば発達障害の子どもさんでも安心して通わせることができます。

 これからの精神科医療は地域や学校と協力していく時代です。病院の中だけでなく、病院の外でも「チーム医療」が求められているのです。

◎うつ病とアルコール依存症

 佐賀市富士町の高齢化率は41.1%と市内で最も高齢化が進行しています。独居世帯や老老世帯がとても多いのです。

 当院の高齢患者さんには認知症のほかにもアルコール依存症の方が多いですね。

 アルコール依存症とうつ病を合併する人は多く、うつ病になって過度の飲酒をしてしまうと自殺のリスクを高めます。断酒は無理だとしてもせめて週に2日、お酒を飲まない日を設定してほしいと思います。

 「DARK(ダルク)」という施設があります。この施設は覚せい剤やシンナー中毒者などを対象にした民間の薬物依存リハビリ施設です。施設スタッフも回復途上の薬物依存者で、入所者にアドバイスをしたり、レクリエーションをしたりといった活動を通じ、入所者の薬物依存からの脱却を目指しています。

 DARKは現在、全国37都道府県に67施設があります。一方、アルコール依存症対象の施設で、これほど全国的なネットワークを構築している組織はありません。

 アルコール依存症の人に「あなたはアルコール中毒だから病院に行きなさい」と言ってもなかなか素直に従ってくれないでしょう。そうした方の受け皿となるような施設の整備、拡大をこれから考えていく必要があるかもしれません。

◎地域の民間精神科病院の存在意義

 厚生労働省は今年、統合失調症などで精神科に長期入院する患者さんを2020年度末までに最大3万9000人減らすという目標を定めました。

 2004年にも患者さんを減らす同様の目標を掲げていましたが目標に到達できなかった経緯があります。

 また、入院患者を減らして精神病床を削減することによって不要になってしまった病棟は、条件付きでグループホームなどの居住施設への転換を認めています。

 地域包括ケアシステムの一環としての在宅促進だと思うのですが、そのためには地域住民の偏見を解消しなければなりません。

 地域の訪問看護ステーションやクリニックと、精神科病院との連携の強化も求められてくるでしょう。その中核になるのが地域の民間精神科病院です。

鮫島病院
佐賀市富士町小副川272
TEL:0952-64-2231(代表)
http://samejima-hospital.com/


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