社会福祉法人 小倉新栄会 新栄会病院 藤井 一朗 病院長

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慢性期医療に感じる医師の醍醐味

【ふじい・いちろう】 1974 鹿児島大学医学部卒業九州厚生年金病院(現:JCHO九州病院) 1976九州大学第二内科 1993 社会福祉法人小倉新栄会新栄会病院病院長

 1995年以来、全国の政令都市の中で、最も高い高齢化率を示し続けている北九州市。2017年3月末時点で29.6%となった。

 新栄会病院の藤井一朗病院長は高齢化が進行する地域の実情を見極め、1998年に急性期病院から、慢性期病院へ転換。運営を進めてきた。今年9月には九州歯科大学と口腔ケアに関する協定を結ぶなど、新たな取り組みにも積極的だ。

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◎40代での決断

 1993年に当院が九州大学第二内科の関連病院となったのにともない院長として着任しました。まだ40代と若く、院長職が務まるか大変不安でしたが、先輩方から「自治体病院や大病院に比べると、制約も少なくかなり思い切った運営ができるのではないか」というアドバイスがあり決めました。

 その当時の当院は184床。手術室も備えた外科手術も行う急性期病院でした。しかし、当院がある小倉北区には小倉記念病院、新小倉病院、健和会大手町病院、そして北九州市立医療センター。また、当時の国立小倉病院(現:小倉医療センター)もあるなど、400床以上の大病院がずらりと揃っています。そのような環境で病院運営をどう進めていくのかは大きな課題でした。

 1997年12月に現在地に移転。この時は、まだ手術室もあり、一般病院としての移転でした。しかし、その際に19床減らして、165床に減床。60床を療養病床群にしました。翌1998年の10月には、病床すべてを療養病床に。

 病院長として着任以来、5年間赤字続き。周辺にある急性期の大病院と同じような診療をしても勝ち目はありません。それであれば、来るべき高齢社会に備えた病床にするしかない。この病院が生き残っていくためには、どうするのか、考えに考えた上での大きな決断でした。

◎誰のための医療か

 慢性期の病院にするに至るまでは、各地に講演会を聞きに行ったり、専門家のアドバイスを受けたりとずいぶん勉強をしました。

 私の時代は、「療養病床」という言葉が医師にも浸透していない時代でしたので、院内の理解を得るのもなかなか難しかった。

 私自身の葛藤もあり決断まではかなり悩みました。九州大学はじめ県内の他の医学部からも医師を派遣してもらっていましたので相談に行くと、教授の多くが私の考えを理解して下さいましたので心強かったです。

 もし、当院がなくなれば、入院している患者さんの行くところはあるのだろうか。そして、「誰のために医療をやるのか」「何のために医療をやるのか」と考えました。患者さんのことを考えれば、「これはもうGOだ」と決心しました。

◎切れ目のない医療の提供を模索

 現状は、介護療養型病床(60床)と医療療養型病床(105床)の計165床です。

 国は地域包括ケアシステムを推し進めていますが、その大きな柱のひとつが在宅へのシフトです。

 当院も関連の施設を含めて国の方針に沿った形で運営。慢性期病院として、切れ目のない医療を提供していく必要があると思っています。

 2008年には外来に在宅療養部門を設置。2010年には在宅支援病院、2012年には機能強化型在宅療養支援病院の認可を受けました。

 いずれも、認可されるには厳しい施設基準があります。特に、機能強化型在宅療養支援病院は、過去1年間の在宅みとりが2件以上、緊急往診4件以上といった実積が求められます。これまで、当院が在宅に力を入れてきたことが認可につながりました。

 旧病院があった隣接地に、2015年に特別養護老人ホーム「新栄きよみずの杜」を建設。同じ小倉北区内で当院から車で5分ほどの片野地区には「ケアハウス小倉」があります。

 「新栄きよみずの杜」は120室。9階建てと、地域では高層の建物だったこともあり、建設前には、周辺の方を対象に説明会を開催。当院の高齢者医療に対する方針を説明すると、「親の将来を考えるきっかけになった」「地域のために頑張って」といった声もあり手応えを感じました。

 「新栄きよみずの杜」は6人の医師で主治医制を敷いているのが特徴で、入所する方も病院系列だということに安心感を持たれるようです。

 こうして、慢性期の入院治療から施設入所、そして在宅まで、切れ目のない医療、福祉のサービスを提供できる体制をつくりさらに発展させようと考えています。

◎北九州市初医科歯科連携を結ぶ

 今年9月に、九州歯科大学(北九州市)と連携協定を結びました。来年から同大学の5年生全員が、当院に研修に来ます。

 学生たちは病院や特養の見学、研修を通じて、慢性期の口腔ケアについて臨床現場で学ぶことができます。誤嚥(ごえん)性肺炎の発症など、口腔ケアに関する臨床研究にも協力していくことになりそうです。

◎慢性期医療のやりがい

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 慢性期の医療は、みとりも踏まえて、その人にとって安心できる老い方、さらに死の迎え方をサポートすることも大切です。そのためには、その方の人生を理解したいという思いや、いつ頃まで自立して過ごしていたのかといった情報の共有などが必要です。

 疾患だけでなく、患者さんのこれまでの人生に目を向けながら、一人の人間に深く関わりますので、医師としての醍醐味(だいごみ)も感じます。

 「その方らしさ」を大切にすることが基本の考え方にあります。疾患ではなく「人間を診る」「人生を診る」。そのような気持ちで常に患者さんに向き合っていきたいですね。

社会福祉法人 小倉新栄会 新栄会病院
福岡県北九州市小倉北区弁天町12―11
TEL:093-571-0086(代表)
http://www.shin-eikai.com/byouin/


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